2019年03月03日
家族の木 Extra edition 夜職の家
浮気心
咲は家に帰って、いつものように真由美に今日起きたことを話した。真由美は「嫁さんが亭主にほれ込んでるんじゃないのかね。」と笑った。咲の家でも店でも、しばらくはこの嫁さんの啖呵がしょっちゅう話題になった。
「今日ね、あのバカホステスが騙そうとした相手が来たのよ。やつれた顔してたんだけど、ちゃんとした言葉遣いで、美香さんとお話をさせていただきたいって。凄い怖い顔で、でも落ち着いた態度で、なんか、こりゃ簡単に騙せる相手じゃないって思ったのよ。
それで、『美香は嘘をついてお金をいただこうとしてました。詐欺は犯罪ですからクビにしました。』っていうと、ちょっとぽかんとなってたの。あんまり、拍子抜けした顔されたんで、なんか面白くなっちゃって、奥さんが言ったこと教えてやったのよ。『夫の精子は一匹残らず私のものですから子供は私が引き取ります。』って、あれ、言ってやったのよ。
そしたら今までクールに苦み走ってたのが、突然耳まで真っ赤になって汗をふきふき、ジュースを一気飲みして大変だったのよ。なんていうか、可愛げがあるっていうか色気があるっていうか。あれだったら子供欲しくなるなあって思っちゃった。ちょっと、奥さんとの仲、壊してやろうかなって思うなあ、あれじゃ。」と咲が言うと真由美は嫌な顔をした。
「山下先生を裏切るような真似をしないでね。あの先生はあんたをホントに大事にしてくださってんだから。」と釘をさした。「わかってるわよ。あたしだって先生にはホントに感謝してる。愛してるのよ。」と答えた。咲の中では、金と感謝と愛は同じものだった。
咲は少し美香がうらやましかった。咲は羽目を外すということがなかった。一遍でも、ああいう男にほれ込んで馬鹿なことをしてみたいと思った。
真由美は昔のことを思い出していた。若い男にのぼせたことがあった。そのことが亭主にばれて、ひどい目にあわされた。あんな怖い思いをしたのは、後にも先にもあの時だけだった。あの時は亭主の体が弱かったから何とかなった。
毎日毎日「早く死ね。」と唱えながら相手をしたのだ。相手に負担をかけるようにした。無茶をさせるようにした。実際、亭主は心臓が止まって亡くなった。あの時の自分は鬼だった。
あんな思いは咲にはさせたくなかった。咲は確かに水商売の家で育って自分も夜の世界で成功している。それでも真由美のように野心をもってパトロンを踏み台にしてきたわけではない。若いうちからいい旦那に恵まれていい店を経営している。この世界ではいわばイイトコの人間だった。
このまま、行けば食べるに困らないし子供にも教育を付けられる。これからは教育のない経営者は成功しないと思っていた。
続く
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「今日ね、あのバカホステスが騙そうとした相手が来たのよ。やつれた顔してたんだけど、ちゃんとした言葉遣いで、美香さんとお話をさせていただきたいって。凄い怖い顔で、でも落ち着いた態度で、なんか、こりゃ簡単に騙せる相手じゃないって思ったのよ。
それで、『美香は嘘をついてお金をいただこうとしてました。詐欺は犯罪ですからクビにしました。』っていうと、ちょっとぽかんとなってたの。あんまり、拍子抜けした顔されたんで、なんか面白くなっちゃって、奥さんが言ったこと教えてやったのよ。『夫の精子は一匹残らず私のものですから子供は私が引き取ります。』って、あれ、言ってやったのよ。
そしたら今までクールに苦み走ってたのが、突然耳まで真っ赤になって汗をふきふき、ジュースを一気飲みして大変だったのよ。なんていうか、可愛げがあるっていうか色気があるっていうか。あれだったら子供欲しくなるなあって思っちゃった。ちょっと、奥さんとの仲、壊してやろうかなって思うなあ、あれじゃ。」と咲が言うと真由美は嫌な顔をした。
「山下先生を裏切るような真似をしないでね。あの先生はあんたをホントに大事にしてくださってんだから。」と釘をさした。「わかってるわよ。あたしだって先生にはホントに感謝してる。愛してるのよ。」と答えた。咲の中では、金と感謝と愛は同じものだった。
咲は少し美香がうらやましかった。咲は羽目を外すということがなかった。一遍でも、ああいう男にほれ込んで馬鹿なことをしてみたいと思った。
真由美は昔のことを思い出していた。若い男にのぼせたことがあった。そのことが亭主にばれて、ひどい目にあわされた。あんな怖い思いをしたのは、後にも先にもあの時だけだった。あの時は亭主の体が弱かったから何とかなった。
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あんな思いは咲にはさせたくなかった。咲は確かに水商売の家で育って自分も夜の世界で成功している。それでも真由美のように野心をもってパトロンを踏み台にしてきたわけではない。若いうちからいい旦那に恵まれていい店を経営している。この世界ではいわばイイトコの人間だった。
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