2018年04月18日
中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳スペシャル 兇賊」
4月14日午後8時から、CS放送の時代劇専門チャンネルで、中村吉右衛門主演「鬼平犯科帳スペシャル 兇賊」が放送されました。
この作品では、亡くなられた大杉漣さんが、人間の心をもっていないかのような凶悪な賊「網切の甚五郎」を演じています。
網切の甚五郎は、「鬼の平蔵」こと火付盗賊改長官・長谷川平蔵(中村吉右衛門さん演じる)に強い殺意を抱き、何としてでも殺そうと、手下と時間かけて企み、周到な準備と策をめぐらし、長谷川平蔵を窮地に追い込むのです。
或る時、江戸から離れた地の小さなお堂に、元盗賊の九平(小林稔侍さん演じる)が雨宿りをしていました。
と、そこへ、九平が中にいるとも知らず、甚五郎とその仲間がやってきて、火付盗賊改方長官の長谷川平蔵を殺す、などと物騒なことを言います。
九平は元盗賊ですが、ただ盗むだけであって、人を殺すようなことはしませんでした。それでも罪は罪。自分が捕まって処刑されるのでは、と恐れながら暮らしていたものですから、甚五郎の剣呑な話は彼の脳裏に焼き付きました。
それから月日がたち、一年後、長谷川平蔵が火付盗賊改長官とは分からぬような姿でふらっと居酒屋に立ち寄ります。偶然ながら、その居酒屋「加賀や」は、九平が亭主となっている店でした。
店は粗末で金持ちや身分ある者など立ち寄りそうにない店だが、酒も料理も旨い。長谷川平蔵はこの店が気に入りました。
客は少なく、なじみ客らしい夜鷹のおもん(若村麻由美さん演じる)という者がいました。機嫌のよい長谷川平蔵はおもんに酒をおごってやったりします。
それを見て感服し、長谷川平蔵の人柄にほれ込んだ九平は、相手の本当の身分を知らぬまま、店を出た彼のあとをつけます。
帰り道、長谷川平蔵は浪人らしき数名に囲まれます。
「長谷川平蔵と知ってのことか」
だが相手の浪人らしき者たちは平蔵の名前を聞いてもひるむ様子無く、襲い掛かってきました。
難なく撃退する平蔵。気になるのは、相手が者たちが自分を「鬼の平蔵」こと長谷川平蔵だと分かったうえで襲ってきたこと。浪人に恨まれる覚えはない。これは誰かに雇われた殺し屋か?
ところで九平は平蔵の名乗りを聞いていないため、彼が火付盗賊改の役宅に入るのをみて、しかも平蔵が門内に入る際に振り返って九平に「ごくろう」と言ったのを聞いて、やっと九平は彼(平蔵)の正体を知るのです。そして店を休業してしまいます。
夜道で九平に尾行されていたことを知っていた平蔵は、急な休業を不審に思い、密偵たちを使って調べさせます。
そんなことを知らない九平がある日、一年前の雨宿りの時のお堂で見た網切の甚五郎一味を江戸の町の中で見つけます。
甚五郎は凶悪極まりない盗賊で、長谷川平蔵が追っていたのでした。
九平はというと、甚五郎らの隠れ家を突き止めます。
甚五郎たちは、長谷川平蔵殺害の秘策を練っていました。
同じころ、平蔵は妻の久栄(多岐川裕美さん演じる)の親戚の者に、或る大身旗本に会ってくれと何度も頼まれていました。あまり乗り気がしなかったものの、たっての頼みで断り切れず、その大身旗本とやらが待つという料亭(ひと気の無い場所にある)に一人で向かう平蔵。静かな場所にある広い料亭で、他に客はいない様子。入ってすぐに、店の者に、「腰のもの(刀)を預かります」と言われ、そのまま預けます。
案内された部屋に入ると、大身旗本とは思えない身なりの男がいます。
「俺の顔に見覚えはないか?」
「さて」
男は平蔵を親の仇だといいます。その男こそ甚五郎でした。
甚五郎の父親は昔、本所界隈の者から蛇蝎のごとく嫌われ恐れられていた暴れ者で、若き日の、放蕩無頼の日々を送っていた平蔵が撲殺した相手でした。
「親が親なら子も子だな」
平蔵はあきれます。平蔵も若き日には義母に苛め抜かれて家を飛びだし、無頼の生活をおくっていたが、そんな平蔵でも「許せぬ悪」として殺した、鬼畜のような男がいた。その父親の悪事は置いといて平蔵を恨み、ずっと付け狙っていたわけだ。
「親の仇を討とうというこころだけは殊勝」
甚五郎一味に囲まれ、窮地に追い込まれながらも、余裕を見せて笑う平蔵ですが、長い刀は預けたままです。
店にいるものはすべき敵でした。では、もともとこの店にいた主人・使用人たちはどうした?
みんな殺したよ、と甚五郎はうそぶきます。
平蔵の怒りが頂点に達します。
多くの修羅場を潜り抜けてきた「鬼の平蔵」は、兇賊たち相手でも、ひるまずに戦います。
とはいえ、多勢に無勢。平蔵、絶体絶命の危機。
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