寝かしつけの散歩道　（しいなきの日記）

ジョリーさんは残念そうに、努めて真剣な口調でした。

「あなたが疑う気持ちも分かる。そういう人もたくさんいる。
でも、宇宙の意思を感じて生きることで前向きに進む人もいるの。
私はそういう人の手助けをしたくてこういう活動を始めたのよ」

何か他にもいろいろ言われたような気がしますが、
あと覚えているのはＡ美と原田さんの言葉だけ。

「しいなき、ぎいさんの本を貸してあげる。ブログも読んでみなって。
純粋にやりたいことを楽しむのは悪いことじゃないし、疑いようがなくなるよ」

「しいなきさん、罪悪感や疑いを取り払って子どもみたいに楽しむといいよ。
ぎいさんもそう言ってる」


ぎいさん。
自己啓発セミナーの教祖さま。
Ａ美や原田さんが口を揃えて評価する人。
なんなのでしょう。
非公開のコメントにも悪評しかきません。

スピリチュアルや自己啓発にハマるのは自己責任。
もしかしたら教祖に責任はないのかもしれない。

でも、その教えを疑いもなく信じた結果、行動が短絡的になるとしたら
周囲に迷惑をかけながら自分の生活を脅かすとしたら。
仮に犯罪に手を染める人が出るとしたら。

現に、こんな口八丁だけでできるような詐欺的商売をさせ、
世間の大多数からしょうもないと思われるであろうことに
ジャブジャブ無邪気にお金を使うことを喜びにさせている。

その罪はたぶん重いと、あえて書かかせてもらいます。


なんだかすっかりお説教を受けたようで後味の悪いお茶会でしたが、
カルト宗教の勧誘のように、無理やりな感じがなかったことだけは安堵しました。
「あなたには無理」とスパイ活動が見破られたようで悔しいですが、
仕方ありません。

Ａ美の様子を知りたいと潜入して、
自己啓発やスピリチュアルの洗脳や手法の恐ろしさの一端をまた感じました。
収穫とまでは言えませんし、総括をするには早いですが。


「私は龍のように自由に生きようと決めたよ」
お茶会の帰り、Ａ美からはそういった内容の長いラインが来ました。

「そう思うなら勝手にしたらいいじゃない。
６０００円が良い買い物だったのかどうかはあなたにしか決められないんでしょう」

そう返信したら微妙なスタンプが返ってきただけでした。


友人をやめるなんてことはしません。
ただ、少しだけ自分の冷却期間をおきたい。

そう思っていましたが、
また時間を置かずに事態は動きました。



Ａ美が泣きながら電話をしてきたのです。