2018年01月08日
アルスラーン戦記 最終巻「天涯無限」の感想をば。ネタバレあり。
前回の台湾旅行記
「フィリピン航空で行く台湾。感想やオンラインチェックインは便利?」
で触れましたが、我が家が、今回利用した
フィリピン航空は機内でのエンターテイメントが皆無でした。
myPALと呼ばれる、
機内で使えるアプリを事前にダウンロードしておけば、
機内で楽しめたようですが、そんなのしらねー(笑)
ということで、今回は往復の機内で読み終えた、
アルスラーン戦記最終巻「天涯無限」の感想を
書いてみたいと思います。
以下は、旅行記とは全く関係がありませんので、
アルスラーン戦記にご興味のない方や、
興味があってもネタバレはお断り!
という方は、読み飛ばしてくださいね。
思いっきりネタバレしてますから!
アルスラーン戦記とは?
ということで、簡単に
アルスラーン戦記について触れておきます。
現実世界で言うと古代〜中世ごろの中東風文化を持つ架空世界で繰り広げられる戦乱により母国から追われた王(太)子・アルスラーンが心強い仲間の協力を得、やがて国を奪還、世界の暗部を知り変革を志していく物語。
wikipediaより引用
感想
まず思ったのは初版発行(1986年)から32年。
四半世紀よりも長い年月に、
作者もそして私を含めた読者も、
色んな意味で年を取ったんだなと思いました。
個人的な話になりますが、私が田中芳樹先生の作品を
初めて手に取ったのは今から三十年近く前、
高校生の頃でした。
銀河英雄伝説に始まり、本作アルスラーン戦記、
さらに、創竜伝。青春時代に読んだ小説の中で、
田中芳樹作品は大多数を占めていました。
銀河英雄伝説は高校生当時、すでに完結していましたが、
今回、私の人生とともに歩んできたといっても
過言ではないアルスラーン戦記が完結しました。
銀河英雄伝説読んだことのある方は、
ご存知だと思いますが、田中先生の長編作品では
「ハッピーエンドでメデタシメデタシ」という
エンディングはあまり用意されていません。
本作、アルスラーン戦記のエンディングも、
やはりハッピーエンドにはならないのか?
でも、もしかして・・・という
多少の期待もあり最終巻を開きました。
が、やはりと言うべきか、
最終巻はページをめくるごとに、
愛すべきキャラクター達が次々と退場していく、
読み進むのが辛い作品になりました。
読了した後に、去来した思いは、
正直一言では言い表せない複雑なものでした。
長年連れ添った友人を失ったような、
強いて言うなら「喪失感」というのが
一番しっくりくるのかもしれません。
アルスラーン戦記の終わり方には賛否あると思います。
物語の展開上、ハッピーエンドにもできたはずです。
でも、敢えてそれをしなかったのは、
物語の最後に書かれたエラムの言葉、
その一文に集約されているのかな、と個人的には思いました。
以下引用
「アルスラーンとは一人の王の名ではない。
王としての在りかたを示す言葉なのだ」
これまでずっと、この物語は題名の通り
アルスラーンという、晴れ渡った夜空色の瞳を持つ
青年を主人公にしたヒロイックファンタジー
だと思っていました。
でも、この一文を読んだ時、
この物語はアルスラーン一個人の英雄譚ではなく、
むしろパルス王国、ひいては
「中世ペルシアによく似た異世界」の興亡史だったんだ、
とようやく思い至りました。
英雄も凡人もすべて死に、
一時代を築いた人々は誰もいなくなる。
そして、新たな英雄が時代の扉を開き、
歴史とはいつの時代もそうして紡がれていくものだ。
中国史に関する著作も多い田中先生は
そう言いたかったのかもしれません。
歴史といえば、これは蛇足かもしれませんが、
物語のラストで自分の歴史とシンクロしたかのような
そんな錯覚を覚えたシーンが、ありました。
アルスラーンの死後50年が経ち、彼の遺言を
ようやく叶えたエラムが、アルスラーンと
初めて出会った十代の頃に若返っていく
幻想的な描写がラストシーンにあります。
読んでいる中で、私も、作中のエラムとともに
若返っていくような錯覚に襲われました。
そういえばアルスラーン戦記を初めて読んだ時、
私は彼らと同年代の十代だったな、と。
同時に私の脳裏には、その当時の出来事や思い出、
そして、アルスラーン戦記とともに歩いてきた
十代、二十代から現在までの思い出が
一気に甦ってきました。
懐かしくて、ほろ苦くて、甘酸っぱい、
そんな青春時代。
私だけでなく、三十年近く本作を読んできた
私と同年代の方なら、もしかすると
同様の思いを抱いたかもしれません。
もう、アルスラーンやダリューン、ナルサスといった
愛すべきキャラクター達が紡ぐ物語を
読むことができなくなるのは寂しいけれど
この作品に出会えたことに、ただただ感謝しています。
2013年には、ハガレンの荒川弘先生の手で、
コミカライズも始まっていて、若い人たちにも
アルスラーン戦記が浸透しているのは
長年のファンとしてはうれしいことです。
コミックがどこまで描かれるのかはわかりませんが、
もし、最終巻まで描かれるのなら、願わくば、
原作と違った展開になることを祈っています(笑)
少年誌らしい、ハッピーエンドで終わる
アルスラーン戦記も観てみたいと、個人的には
思います。(それも賛否あるんだろうけど)
それはさておき、30年もの長きにわたって、
色んな思い出をくれたアルスラーン戦記と
田中芳樹先生に感謝しています。
ありがとうございました。
そして、お疲れさまでした。
追伸
読後感がまあ、アレなので、最終巻は
旅のお供にはおすすめしません(笑)
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