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2020年01月15日

書籍紹介:『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 』

今回はこちら、世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」を紹介します。一見難しそうな題名ですが、その内容はとても分かりやすく、昨今の経営学における教育体制についての限界を中心に物語っております。


読み終えた感想


まるで、ホラー映画を見終えたかのような感覚。


経営学部、経営系大学院に進んだからこそ、私はそう思いました。その内容は間違いなく正しく、だからこそ恐ろしく感じました。


資本主義による正しさの遂行、あるいは企業利益追求のための戦略。それは正しいことです。そして、それは正しくないことなのです……。


誰もが正しい方法を学び、正確に結論を出している


皆さんは義務教育課程を終えられていることと思います。教科書に沿って知識を学び、正しい計算方法から化学式などを得ていきます。


そして、経営学に関しても同様のことが生じております。経営学部ではSCP(Structure-Conduct-Performance:産業構造-企業行動-成果)を学び、RBV(Resource-based-view)を学ぶなど、偏差値を問わずその基礎を学習する環境を与えられます。それは、統計分析においても同様です。入手した情報をもとに正しい方法にて結論を見出します。


書店には様々な書籍が並んでおります。その中には、「コンサルティンググループのOOが教える〜」などと題名付けしたものも多くあります。それを購入するのは簡単なことです。金を払えばよいだけですから。


誰もが正しい手法を知ることとなった結果、あるいは誰もが正しい経験から得た知識を学べる環境が整った結果、どのようなことが言えるか。


答えは、正しさのコモディティ化です。


ブルーオーシャンとレッドオーシャン


経営学にはブルーオーシャンとレッドオーシャンという言葉があります。


ブルーオーシャン


ブルーオーシャンは誰もが参加していない、まだ競争が生じていない市場に参入し、利益を得ることです。例えばQBハウスはどうでしょうか。カットのみで10分1,000円、入店直ぐに切ってもらえます。


散髪店自体は非常にコモディティ化しており、レッドオーシャン市場に間違いありません。しかし、なぜQBハウスは急成長を可能としたのか?


答えは、入店後即座にカットのみされる点にあります。


よく考えてみてください。理髪店や美容院にはそのようなサービスはありませんよね。入店したらまずシャンプーで髪を流してもらい、プロのヘアメイカーとどのようなカットを行うのかについて話し合うのが普通であり、常識でもあります。あるいはカットのほかパーマやカラーなども行う方もおりますね。


これ、手軽にカットのみでよいサラリーマンにはすべて不要です。彼らが求めるのは毎回同じ髪型で、カラーなどもいりません。なんなら、最新の髪型など全く必要とはしておりません。しかし、その需要に対応する存在が無かったのです。


QBハウスの誕生は、サラリーマンが気軽に切りに行き、値段も安いため1週間で行くことさえ可能となりました。これは、隠れた需要を見つけだし、成長させた典型的な事例ですね。


レッドオーシャン


逆にレッドオーシャンは誰もが参入し、激しい競争を繰り広げている産業、あるいは市場を意味しております。例えば旅行業ですね。昨今では少子化に伴う教育旅行の参加者減、経費削減に伴う社員旅行の中止など団体旅行そのものが減少しております。個人旅行に関してもセルフブッキングと呼ばれる、自分で計画を立て、予約することも簡単になりました。


IT化により、だれもが気軽に旅行に行けるようになった時代。今日計画して明日出発なんてことも可能となりました。需要が急減する中で戦いが熾烈になるのは当たり前のことです。


正しさのレッドオーシャン化:競争優位を得られない


さて、少し脱線しましたが、この正しい手法をだれもが学び、だれもが正しい結論を出せることは、競争優位を得ることを非常に困難にさせます。なぜなら、どの会社も同じ方法で結論を出しているからです。


そうなんです。その始まりは別として過程、結論はどの会社も同じことを見出すのです。その結果はどうでしょう。他社との競争優位確立を目的に差別化した商品を作るのを、他社と同じ手法で行うのです。


差別化もできない、競争優位も確立できないのが結論です。そこで考えられた、新たな競争優位確立の手法がアートの分野なのです。


アート


そうです。アートです。美意識とも言えますね。


といっても、それは端的に美術を意味するだけではありません。芸術はもちろんのこと、例えば道徳なども含まれます。


実は、我々が考える美術とは非常に限られたものでしかありません。芸術品のみが美術では決してないのです。


仕事意識


仕事意識も実は美意識の1つなのです。「法律に違反していないから何をしても許される」という考え、これは資本主義社会においては違法ではありません。なぜなら、法に記載されてませんからね。しかし、現実はどうでしょうか。


例えば、日本メーカーA社がコスト削減の為に海外のB社に自社製品の製造を依頼したとしましょう。A社調べではB社は違法労働などをしていない優良企業でした。しかし、実際はB社は下請け会社C社に生産を依頼しました。そして、このC社は人身売買で得た子供を使う児童労働の会社でした。


この事例、グローバル企業の多くが経験している実話です。そして、昨今、このA社は社会的に問題ありとして不買運動の対象になることが多々あります。本来非難されるべきはB社、C社にもかかわらず、何も知らないA社までもが非難されるのです。


アイヒマンの事例。組織への盲目的な服従


アイヒマンという人物をご存じでしょうか?彼は組織の目的に対して従順に従い、最大のパフォーマンスを得られるように努力した、出世意欲の高い、有能な役人でした。


だからこそナチス親衛隊中佐としてユダヤ人強制収容に強力なリーダーシップを発揮し出生街道を歩みました。


では、彼はユダヤ人を殺したかったのか?いえそうではありません。出世の為に必要なこと、すなわち国家の役人として国家政策を達成するために努力を怠らなかった、優秀な人物でしかなかったのです。


今の我々から見ると、彼の行動ははっきりと異常でしかありません。それは法的観点のみならず、道徳的観点からも問題的な行為にほかなりません。


ブラック企業と美意識


では、現代日本の労働環境はどうでしょうか。世間ではブラック企業という言葉が浸透しております。残業代を支払わない、違法な長時間労働を強制する、度重なる休日出勤など、その定義は不確定でもそれを構成する要因は複数から成り立ちます。


電通ショックや三菱電機など、罪のない若者が労働を原因として過労死しました。本当にショックでなりませんし、また対岸の火事のように決して無視できるものでもありません。


かつては24時間戦えますかのように、モーレツ社員が優秀な人材の証拠でした。それは、当時の常識が国家総動員体制を継続した、労働最優先時代だったからにほかなりません。終身雇用に守られ、残業代は完全に支払われ、結婚相手は会社が探してくれ、定年後も安泰だったからこそ可能だったといえます。だからこそ、会社は家、社員は家族だったのです。


言い換えると、この「モーレツ社員」が労働者の美意識だったのです。


 


今でもその流れをくむ会社は存在しますし、そう生きたい人間も確かに存在します。しかし、それを求めない会社、社員も多く存在するのです。そして、社会全体としては、ブラック企業は悪であると結論づけました。つまり、「モーレツ社員」は美意識から、時代錯誤の悪に変化したのです。


ちなみに、”経営美学”もまた美意識の表れです。どのような会社を作っていくのか、どのような方針で会社を運営していくのかを物語る重要な指標です。会社を探しているのなら、このあたりを見ましょうね。


差別化要因としての美意識


さて、本書「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」 (光文社新書)」が最も言いたいことは何か。それは、競争優位獲得のための差別化要因としての美意識という点です。


記述の通り、コモディティ化された手法による優位性獲得行動(=サイエンス絶対主義)は即座に模倣され。長期的な競争優位をもたらすコアになりえません。あくまでも一時的な優位にとどまるのです。


それを回避する、つまりは長期的な競争優位性を獲得し、他社との競争を優位に進めるのがアートなのです。


 


おわりに


昨今の激しい競争社会、多くの市場がレッドオーシャン化した中でいかにして他社よりも競争優位を確保するか。その答えは非常に難しいものと言えます。


残念ながら、本書を読むとそれがわかるとは言えません。しかし、そのヒントになることに間違いありません。


もし自分がそのような立場にいるのなら、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか?

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posted by kotoheihei at 17:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍
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