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2024年02月06日

勝手に小説『扉と少女とアゲハ蝶2』

ーー出会いの扉ーー

どのくらい時間がたったのか、あきは恐る恐る目を開けてみた。
すると、そこは今さっきまでいた家の庭ではなく、大きな葉っぱが生い茂る中にいた。
「ここはどこ?お家は?お母さんは?」
あきは突然の出来事に、おどおどしながら周りを見渡してみたが、そこはあきの知る家の庭ではなかった。
「おかあさん!おかあさん!」
あきは叫んでみたが、返事はなかった。

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ふとみかんの墓を思い出して、下を見てみたが、やはりみかんの墓は無かった。
みかんの事、今のこの状況の事、お母さんがいない事などがあり、あきは我慢できず、先ほどとは違い、大きな声で泣きだしてしまった。
わぁ〜ん!わぁ〜ん!
暫く泣いていると、どこからともなく声がした。
「まったく、うるさくてかなわしないねぇ…」
「もう少し静かに泣いてくれないかねぇ…」
その声は、あきの前にある大きなひなげしの花の上から聞こえてきた。
「だれ?ぐすっ…」
あきは、泣きながらそちらの方を見て尋ねた。
すると、その『ひなげしの花』から少し頭のようなものが見えた。

出会いの扉.jpg


「あたしはアゲハ蝶の『トワ』っうもんだよ。お嬢ちゃんは見たところ形は人間のようだけど…」
トワは、なんで人間が自分よりも小さい姿になっているのかが、不思議だった。
「わたしは『あき』。人間だよ。私のママはどこ?ここはどこ?ぐすっ…」
「え〜と…。とりあえず落ち着こうか。」
トワは、また泣き出しそうなあきを見て、また大声で泣かれたらたまらないと思ったのか、落ち着かせようと話かけてきた。
「ここは、見ての通りひなげしが咲いている草むらの世界さ。」
「あんた…あきちゃんの家はどこかな?おばちゃんが聞いてあげるから。」
「わかんない…ここはどこ?わたしの知らない場所…ぐすっ…ぐすっ…」
トワは、質問が失敗したと思って、慌てた様子でひなげしの花からあきのもとへ降りてきた。
「あぁあぁ…もう泣かないの!一緒に家を探してあげるから…」
「ほんと?」
と少し安心したのか、あきはまじまじとトワを見た。

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そして、ふとした疑問が生まれた。
「なんで、わたしはアゲハ蝶のトワさんと話が出来るの?みかんは『ニャー』しか言えなかったのに。」
トワにもその質問に答えられなかったが、知らないと言うとまたあきが泣きそうになると思った。
「え〜と・・・神様のいたずらかな?みかんって猫?あきちゃんの?」
「そう!わたしの親友の猫!…でも死んじゃったの…」
「それでお墓作ってその前で泣いていたら、扉が出てきて、『ぱぁー』と扉が開いたら、中から眩しい光が出て…気が付いたら、ここにいたの」
トワは、あきの話を聞いていたが、よく状況が分からなかった。
「そっ、そうなのね…。とりあえず、ここでは何も見えないから、上に行きましょう。あたしの背中に乗んな!」
というと、トワはあきに背中を見せて、背中に乗るようにと羽を少しバタつかせた。
あきは少し戸惑ったが、今はトワだけが頼りだったので、恐る恐るトワの背中に乗った。
「それじゃいいかい?しっかり捕まってておくれ。んじゃ行くよ!」
というと、トワは大きな羽を上下にバタつかせた。
すると、少しづつ、そしてゆっくりと上空に舞って行った。

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>> 『探索の扉』に続く
posted by ジンジン at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2024年02月04日

勝手に小説『扉と少女とアゲハ蝶1』

ーー序章の扉ーー

小さな女の子が、大きな木の下にある少し土が盛ってあるところの前にしゃがみこんでいた。
しゃがみこんだまま、下を向いて泣いていたのだ。
「うっ…うっ…ぐすっ…」
盛り土の上には、木の板があり、そこには「みかんの墓」と書かれていた。
「みかん…どうして死んじゃったの?あきは寂しい…」
『あき』とはこの泣いている女の子らしい。
そして、『みかん』は、死んでしまった猫だった。
つい先日、あきが生まれる前から家で飼っていた猫が、老衰で死んでしまい、この木の下に遺骨を埋めたのだった。

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少し泣いていると、家の方からお母さんがあきに話かけてきた。
「あき。もう夕方だから、家に入りなさい。風邪ひくわよ。」
そうお母さんに言われたが、まだあきはみかんの墓のそばから動くことが出来なかった。
赤ん坊の時からの親友でもあったみかんだったので、死んだ事がまだあきには受け入れられなかったのだ。
そして、さほど時間は経っていなかったが、あきは取り合えず、お母さんのところに戻ろうとその場に立ち上がった。
すると、今まで気が付かなかったが、お墓の横に大きくそれはそれは立派な扉が立っていた。
「?こんなのあったっけ?」
序章の扉.jpg

あきは、不思議そうにその扉を覗き込むように扉に近づいて行った。
その時、突然その扉が開き始めた。
「きゃ!」
扉の隙間から、眩い光が差し込み、あきは眩しくって目を瞑ってしまった。

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>> 『出会いの扉』に続く
posted by ジンジン at 23:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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