満員御礼とあって、初日の相撲は大いに盛り上がった。
どの場所もそうだが、序盤戦は力士達の動きが硬く、割合、あっさりした相撲が多く見られたものだが、本日は熱戦に次ぐ熱戦で場所は大いに活気にあふれていたのは、うれしいことでした。
前半戦の好取組、王鵬対阿武咲の一番は、時間こそ短かったが、内容は見るべきものがあった。
立ち合いの当たりは両力士ともに頭で思い切り当たり合って、すぐに激しい突き押しの応酬となる。
やや王鵬が攻め勝って、阿武咲をのけぞらせたが、右から突き落としに付け入られて、一気に押し出されてしまった。
せっかく主導権を握りながら、引いて墓穴を掘ったのは、大いに反省してもらいたい。
若いのだから、楽をして勝とうとする気持ちを持たないでもらいたい。
今が伸び盛り、苦労して勝つことを覚えることが大事である。
阿武咲は見事な押しで会心の一番。
そろそろ本領を発揮してもいいころであろう。
錦富士と竜電の一番は、微妙な土俵際の攻防で手に汗を握ったが、勇み足で竜電が勝ちを拾った。
相撲は錦富士が圧倒したが、詰めを誤った。
私も勇み足で何番が負けたことがあるが、誠に悔しいものだ。
錦富士も今夜は眠れないだろう。私にはその気持ちがよくわかる。
注目の阿炎は難敵の琴ノ若を激しい突っ張りで土俵下まで吹き飛ばした。
元気いっぱいである。
少し気が早いような気もするが、連続優勝もまんざら夢ではないような気がする。
玉鷲と霧馬山の相撲も場内を大いにわかせた、物言いがついて、取り直しになったが、老雄玉鷲が驚異の粘りをみせて、進境著しい霧馬山に勝ったのは、立派というほかあるまい。
まさに鉄人である。
元大関どうしの一番は、御嶽海が先手先手と攻めて勝った。
正代はまだ立ち直りには、ほど遠い感じである。
大関復帰へ待望の10勝は難しいようだ。
豊昇龍は翔猿を左から小さく張り、右上手を取ると、一気に寄りきった。
目にも止まらぬとよく言うが、まさに目にも止まらぬ一気の攻めは見事のひと言。
体も尻の筋肉がたくましさを増している。
昔は一晩寝ると強くなる力士がいたが、豊昇龍がその一人であろう。
強いと言えば、若隆景も負けずに速い相撲をみせた。
苦手な初日を会心の相撲で乗り切ったのは何よりである。
本日は集中力の勝利と言っていいだろう。
大いに期待する。
貴景勝も若元春に相撲をさせなかった。
余裕すら感じた。
好調そうでよかった。
本日は私も解説していて楽しかった。
横綱不在でも良い場所になりそうであります。
楽しかったので、調子に乗り過ぎて少々、しゃべり過ぎて疲れました。
腹も減りました。北海道のじゃがいもでも食べましょうか。
ちょうど北の富士カレーが残っているので、そのいもを入れて食べるとしましょう。では、お休みなさい。
(元横綱)
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