2018年07月29日
仮想通貨のプロたちがイーサリアムを「空売り」する理由
仮想通貨市場で第2位の時価総額を誇るイーサリアムの価格は、今年に入り36%下落した。しかし、一部の専門家はイーサリアムの下落はこれらかも続くとみている。
ニューヨーク本拠の仮想通貨ヘッジファンド「Tetras Capital」は、今年に入りイーサリアムの空売りで利益を出している。同社は2018年5月からイーサリアムの空売りを始めたが、当時の価格は572ドルから659ドルだった。それが今では470ドル付近まで下落した。
6名の従業員を抱えるTetrasはフォーブスの試算では3000万ドル(約33億円)を運用中だ。同社はイーサリアムに空売りをかける一方で、ビットコインには投資を行なっていると創業メンバーのAlex Sunnarborgは述べた。
テック系のスタートアップ「Socialcast」を2011年に1億ドルで売却したTimothy Youngも、家族が運営するサンフランシスコ企業「Hidden Hand Capital」を通じて、イーサリアムの空売りを行なっている。Hidden Handは1億ドル以上を仮想通貨で運用中だ。
TetrasやHidden Handらは、イーサリアムの480億ドル(約5.3兆円)に及ぶ時価総額の正当性に疑問を抱いている。最大の理由の一つはイーサリアムのトランザクション処理容量が1秒あたり15件しかない点だ。これに対し、クレジットカードのVisaは秒間2万4000件のトランザクションが可能だ。
「イーサリアムには極めて優秀な開発者が集まっている。長期的に考えれば、処理容量の問題は解決されるだろう。しかし、短期でみると価格とテクノロジーの間に大きな乖離がある」とYoungは述べた。
イーサリアムは単一の企業が支配するものではなく、DAppsと呼ばれる非中央集権的アプリケーションがプラットフォーム上で稼働している。しかし、個別のアプリのユーザーが5000人に満たない状況でありながら、ネットワークの容量は満杯に近い。ネットワークの混雑がプラットフォームを利用するための費用の高騰を招いている。
イーサリアムの開発者らは混雑を解消するソリューションを生み出そうとしているが、Tetrasの関係者は大きな前進がもたらされるのは当分先のことだと考えている。「最も楽観的な見通しでも、人気のDAppsが快適に稼働するためには、約2年の時間が必要だ」とTetrasは先日公開したレポートで述べた。
投資家はテクノロジーを理解していない
一方でブルックリン本拠の仮想通貨投資企業「CoinFund」の創業者、Jake Brukhmanはこの見方に反対だ。Brukhmanはイーサリアムを2015年7月から保有しており、CoinFundの保有資産の20〜42%をイーサリアムが占めているという。
「イーサリアムには間もなくstate channelsと呼ばれるソリューションが投入され、トランザクションの速度が向上する。ほかにも年内に実装が進むプロジェクトがいくつもある。ブロックチェーン領域でイーサリアムは最大のエコシステムを築いており、そのポジションは今後も揺らがない」とBrukhmanは述べた。
だが、投資家たちはイーサリアムのテクノロジーにほとんど関心を払っていないとYoungは指摘する。「トランザクションの問題を解決する有望な技術が、CasperやPlasmaと呼ばれるプロジェクトだが、彼らのチームのユーチューブ動画の再生回数は数百回にも届いていない。投資家の大半はそこにある技術を理解できてない」と彼は述べた。
Tetrasによると、昨年発生したICOブームがイーサリアムの価格上昇を招いたという。ICOの大半はイーサリアムをベースとしているからだ。しかし、ICOには今後、厳格な規制が適用される可能性もある。「これはイーサリアムの需要を干上がらせることにつながる」とTetrasはレポートで指摘した。
引用元:Forbes JAPAN
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180728-00022275-forbes-bus_all
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