「The Flexible Body/柔軟な体」の著者で、自重トレーニングのコーチとして有名なロジャー氏はそう語ります。
私たちは大人になるにつれて、固まった筋肉や骨格のゆがみなどによって身体のバランスを崩し、どこかしらの痛みをうったえる機会が増えていきます。
この崩れたバランスを整えて身体の本来あるべき機能を取り戻すためにロジャー氏がすすめるのが「スクワットの姿勢」。
スクワットというと膝を曲げてお尻の位置を上下させる反復運動をイメージするかもしれませんが、彼のいうスクワットとは、体の部位が正しい場所に位置したある「姿勢(ポジション)」を意味します。
それは、その場にしゃがみこんだ姿勢、いわゆる幼児期によくみられる排便ポーズ。
ロジャー氏は、このポーズをするとき、ほとんどの人が本来の自然な体勢でしゃがめていないといいます。
なぜか大人になると、かかとが上がってつま先に体重がかかった不自然な姿勢になることが多いのです。
そして、この子どもの頃にはできていたはずの自然な「スクワットポーズ」に戻すことは、必ずしも運動のためだけではなく、人間が体を休めるときの本来の姿勢を取り戻すことにつながります。
ここでは、人間が本来もっているバランスのとれた自然な姿勢に回帰し、スクワットポジションを「取り戻す」方法について、ロンドンで活躍する運動コーチ、ロジャー・フランプトン氏がいくつかのヒントとともにやり方のポイントをアドバイスしたものを紹介します。
なぜスクワットの姿勢ができない大人が多いのか
その場にしゃがみこんだスクワットの姿勢で、かかとを床につけられないのはなぜか?
これは、ロジャー氏のスポーツクラブでよくあがる話題です。
そして、その原因は、私たちが幼児期から履き始める靴にあるといわれています。
私たちの体は、本来、裸足で歩くようにできています。
しかし、足の動きを制限してしまう靴を履く習慣によって足首がかたくなり、スクワットにおける可動性が失われてしまうために、床にかかとをつけられなくなるのです。
足首の柔軟性のテスト
ここでぜひあなたも足首の柔軟性のテストをしてみてください。
その場にしゃがみこんでスクワットの姿勢をしたときに、重心が前になり過ぎず、きちんと床にかかとがつきますか?
つかないのであれば足首がかたくなっている証拠です。
もしどうしてもかかとが浮いてしまうのであれば、床とかかとの隙間に、ヨガブロック、本なら2、3冊を置いて、楽な姿勢で足の裏ができる限り床と平行になるように補助してみてください。
これを繰り返し行って、本来の機能を失った筋肉の弾力や柔軟性を戻すように整えてみてください。
身体を本来あるべき状態に戻すトレーニング方法
足首も、体の筋肉や関節と同様に、時間をかけてトレーニングすれば、本来あるべき姿を取り戻すことができます。そのカギとなるのが習慣化です。
習慣化できるかが結果につながる
たった10分間でもいいので、トレーニングに毎日取り組んで、習慣化してみてください。決して長い時間をかける必要はありません。
たとえば、身近なところでいうと歯磨きを考えてみてください。子供のころから毎日朝起きたときや寝る前に、歯の状態や歯ブラシの動かし方に注意を払って行うことで、私たちは歯磨きを習慣化してきました。
この毎日10分間という短い時間に、体の感覚や筋肉の動きに焦点をあてて取り組むことがなによりも大切で、これが習慣化につながるのです。
ハードな運動を時間をかけて何度も行わなくてもいいのです。本来の機能性を失った筋肉を取り戻すためには、体の感覚に集中するためにできれば10分以内にできる運動がよいでしょう。
そういった意味でロジャー氏が最もおすすめするのが、スクワット運動ではなく、かかとをつけたスクワットの姿勢を毎日10分間行うだけのトレーニング。これは、彼自身も実際に取り入れているものです。
このスクワットの正しい姿勢が自然にできるようになると、人間として生まれついた本来の安定した姿勢を取り戻すことにつながります。
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