納税月報法人版2024/4月「事例による法人税の税務調査対策」 引用
実務家のための減価償却資産等の留意点〜取得、資本的支出・修繕費、除却〜(改訂版) [ 山下雄次 ] 価格:2200円 |
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事例
所有する倉庫用建物(鉄骨造)の雨漏りがひどくなってきたため、その倉庫のトタン屋根の点検を行い、傷んだ部分(屋根全体の1割程度)につき取替工事を行いました。
A社は、この傷んだトタン屋根の取り換え工事費用を修繕費として処理。
調査官の指摘
傷んだトタン屋根の取り換えは、傷んだ屋根部分を撤去し、新たな屋根を取得したものと考えれられる。
したがって、この取替工事費用は修繕費ではなく新規の資産の取得として資産計上すべき。
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会社側の主張
トタン屋根全体の1割程度の、傷んだ部分を取り換えただけなので、修繕費処理してもかまわない。
検討
会社側の主張通り、本事例における取替工事費用は修繕費として損金処理が可能です。
本事例のトタン屋根の取り換えは屋根全部の取り換えではなく、傷んだ部分に係るものであり、その範囲も全体の1割程度。修繕費として処理することが可能であると感がられる。
なお、昭和26年大蔵省作成の「固定資産の耐用年数の算定方式」によると、建物における以下の補修費用は修繕費ではなく資本的支出に該当するとされている。
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(1)鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造のもの
アスファルト防水、床、外装タイルまたはモルタル、スチールサッシの各10分の1程度以上の補修
(2)鉄骨造、レンガ造、石造のもの
屋根、窓、外壁その他の10分の1程度以上の取替え(ただし、トタン屋根については5分の1程度以上の補修
(3)木造、木骨モルタル造のもの
屋根及び外回軸組の10分の1程度以上の取替え(ただし、トタン屋根については5分の1程度以上の補修)
なお、杉皮屋根、土居わら造のものについては、その屋根の葺替えの全部を補修した場合は修繕費に該当する。
この「固定資産の耐用年数の算定方式」は、かなり古い資料ですが、資本的支出と修繕費の区分判定の資料として活用しても差し支えないものと考えられる。
また、旧法人税基本通達235(S44廃止)によると、次に掲げるようなことのために支出した金額については修繕費に該当するとされている。
・家屋又は壁の塗り替え
・家屋の床の既存部分の取替え
・き損した瓦の取替え
・き損したガラスの取替え又は障子、襖の張替え
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対策
仮に、事例のようなトタン屋根の補修工事を屋根全体の5分の1程度以上行った場合、「固定資産の耐用年数の算定方式」の考え方によると、その補修工事費用は資本的支出に該当すると判断されることになるので注意が必要だ。
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