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posted by fanblog

2017年06月13日

石野卓球の「DJF400」

DJFシリーズは概ね良かった。ヘルだけは自分の好みではなかったけれど、クロード・ヤングの「DJF1100」なんかはかなり気に入って何度も聴いた。

「DJF125」ウェストバム ★★★★
「DJF250」カール・コックス ★★★★★
「DJF400」石野卓球 ★★★★★
「DJF750」ヘル ★★★★★
「DJF1100」クロード・ヤング ★★★★

石野卓球/DJF400 【CD】

価格:2,203円
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感想(0件)




中でも石野卓球の「DJF400」は傑作だと思う。電気グルーヴだけでなくて、石野卓球のソロ・アルバムやこういったDJ MIXシリーズもいくつか持っているけれど、「DJF400」ほど何度も聴いたものはない。しかも、これを聴くのは必ず夜で、電車や自転車等で移動していて、かつ一人の時だけだ。

聴き込むとわかることだけれど、素材として使われている作品のほとんどが無機質で、温もりを欠く音楽だ。なんというか、暗い空間にひとり放り出されて、次々と変わっていく不思議な景色を感じながら旅をしているような気分になる。そこには人間らしい人間は一人もいなくて、表情を持たない顔や、永久に煙を吐き出しては吸い込み続けるポンプや、突き出たり引っ込んだりを繰り返す細い丸太たち、その他いろいろな場面が入れ替わり立ち替わり自分の近くにやってきては去っていく。

聴いているうちにパンドラの箱に閉じ込められたかのごとく、感情が外に出ようともがき出す。けれども箱は開かない。相変わらず場面は無機質に順番に切り替わっていくだけだ。始まったときは、不思議なことに心が躍っていたのに、このまま延々と重苦しい空間を漂っていなければならないのかという気分になってくる。心が少しずつ乾いてくる。

そして、ついに感情を呼び起こす作品がやってくる。パンドラの箱が開けられて、感情があふれ、雪崩れて景色を染める。頭の中はトランス状態のようにとろけていく。いつまでも浸っていたい、そんなつかの間のエクスタシーも、結局は場面の一つに過ぎない。途中から再び無機質な音が侵攻をはじめ、並行をたどり、最終的には飲み込まれてしまう。そのまま空っぽになった心とともに音楽は去っていく。

・・・とまあ、独りぼっちに酔いしれられるというのか、ある意味中二病な作品なのかもしれない。とにかく、聴くのはある「特別な」「動いている」「一人きりの」「夜」だ。知らない間にそのようなタイミングで聴くようになり、それ以外の場面で聴くことなどできないようになった。

当然、聴く人によって印象は異なるかもしれないけれど、共感してくれる人もいるのではないかと思う。石野卓球がどのような思いを込めて作ったのか、本当のところはわからないけれど、自分が感じたものに近いのではないかと思ったりもする。




posted by ひえち豆 at 22:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽
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