2014年11月05日
模型に夢中な“モケジョ”たち
男性の多くが、一度は組み立てたことがあるだろうプラモデル。
今、その展示会やコンテストに足を運ぶと、「女性」の姿が目立ちます。
“モケジョ”と呼ばれる、模型の女性愛好家たちです。
「女性がプラモデル?」「なぜ?」
男性ばかりだった展示会に女性が
9月、東京で開催された国内最大のプラモデルの展示会、「全日本模型ホビーショー」。
男性ファンに混じって、大勢訪れていたのが「女性」たちです。
会場には、戦車や飛行機などの定番に加えて、アニメをデザインした車や、かわいらしいキャラクターの模型なども並んでおり、プラモデル市場が“男性の独壇場”から“男女共存”に変化しているのを感じました。
“モケジョ”が求めるもの(1)「かわいらしさ」
女性の間で模型が人気になっているのはなぜなのか。
展示会に来ていた女性たちに話を聞きました。
そのうちの一人、仙台市に住む藏川美樹さん。
5年前に夫の影響で模型作りを始めましたが、今や夫の幸彦さんをしのぐ熱中ぶりです。
いま、夫婦でハマっているのが、モーターで走らせる自動車の模型です。
しかし、ふたりの作品は対照的でした。
幸彦さんは「格好良さ」を追求しているのに対し、藏川さんのこだわりは、「かわいらしさ」。
ボディーはピンクに塗装し、ネイルアートのようにきらびやかな装飾も施します。
さらに車とデコレーションケーキの模型を組み合わせるという大胆な作品も製作。
かわいらしさを全面に出していました。
“モケジョ”が求めるもの(2)「自己表現」
模型を通して、みずからの表現力を高めようとしている女性にも出会いました。
ファッション業界で働く加藤有希さんです。
夜、仕事を終えて帰宅すると模型作りに取りかかります。
「模型づくりをすると、仕事モードから全然違うモードに切り替えることができて、いい気分転換になる。」とのこと。
加藤さんが熱中している一つがアニメの人気キャラクターの模型です。
独自の塗装にこだわり、オリジナルの模型とは全く別の世界観を追求しています。
オリジナルは白を中心とした色合いですが、加藤さんは赤と黒で二体の模型を作りました。
「光と闇」を表現したといいます。
「自分なりの表現をすることが楽しく、達成感がある。」と語っていました。
“モケジョ”増加には、アニメの影響が
そもそも“モケジョ”が増え始めた理由は何なのでしょうか。
“モケジョ”たちに聞いてみると、もともとアニメの中で、クルマや戦車が描かれ、そうしたキャラクターがデザインされた模型も登場し、女性の人気を集めるようになったということでした。
こうした可愛らしさをきっかけに、徐々に女性の間にもプラモデルを作る喜びが広まったのです。
“モケジョ”拡大をねらう模型メーカー
プラモデルの出荷額が全国の9割以上を占める静岡県では、模型メーカーが女性市場を拡大しようと動き出しています。
老舗の模型メーカーでは、「女性用商品の開発チーム」を立ち上げました。
第一弾として商品化を果たしたのが「本物そっくりなスイーツ」の模型です。
これまでプラモデル用に開発してきた膨大な種類の塗料をスイーツに活用しています。
例えば、戦車で使用する茶色の塗料を使うと、リアルなチョコレートができます。
メーカーでは、こうした女性向け商品が将来、経営の柱の一つにつながればと期待しています。
男性の模型愛好家たちからも注目
“モケジョ”の作品は、男性のプラモデルの愛好家からも、注目を集めています。
みずから、模型クラブを主催する俳優の石坂浩二さん。
ことし、コンテストで「女性の部門」を設けたのですが、寄せられた作品の独創性に驚いていました。
“モケジョ”たちが作ったのは、「岩の上に飾られた空色の戦車」や、「木々のなかで、動物たちに囲まれた戦車」、「海底に沈み、魚などの住みかになった戦車」などでした。
「男性は、模型で本物を再現するということに重きを置いて、よりリアリティを追い求める。だから、そこに強く主張が出てこないんですね。一方、女性は模型で自分を表現しようとしている。そして、何かを訴えかけようとしているのではないでしょうか。」と石坂さんは語っていました。
これまで男性が中心だった模型の世界ですが、いま女性たちが、自由な発想で新たな境地を切り開こうとしているのだと、取材を通して感じました。
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