2014年05月12日
第9回 ヴィクトリアマイル 出走馬(予定)情報
出走馬情報
東京・芝1600mを舞台に行われているヴィクトリアマイルは、4歳以上の牝馬の春シーズンにおけるチャンピオンを決めるGI レース。今年で創設から9年目と歴史は浅いものの、歴代の優勝馬にはウオッカ(2009年)、ブエナビスタ(2010年)、アパパネ(2011年)などのビッグネームがズラリ並ぶ。近年の世界的な牝馬優勢の傾向を反映するように、現役最強レベルの実力馬が覇を競う大一番と言えよう。今年もGI ホース4頭を含む強豪牝馬が一同に集結し、頂上決戦にふさわしい豪華なメンバー構成で、ハイレベルな混戦ムードが漂っている。
GI ホース4頭の中でも、近走内容とコース適性の高さでライバルを一歩リードしているのが、クロフネ産駒のホエールキャプチャ(牝6・田中清隆)だ。2〜3歳時は、阪神ジュベナイルフィリーズ2着、桜花賞2着、オークス3着、秋華賞3着と、惜しいところでビッグタイトルを逃してきたが、4歳時の2012年にこのヴィクトリアマイルでGI 初制覇を達成。その後は少しリズムを崩したものの、昨年の当レースで2着と復活を示す走りを披露した。さらに、3走前の府中牝馬S、前走の東京新聞杯と、東京・芝コースで2つの重賞タイトルを積み上げている。前走の直後にヴィクトリアマイル直行を決めており、3か月ぶりの実戦でも仕上がりは良好。2年ぶりのGI 制覇を飾るチャンスだろう。
未知の魅力にあふれる新興勢力の代表格は、前哨戦の阪神牝馬Sを制したスマートレイアー(牝4・大久保龍志)だ。デビューが3歳4月と遅れたが、レース経験馬を相手にした初陣の未勝利(阪神・芝1600m)→牝馬限定・500万下(東京・芝1800m)を連勝。3戦目の牝馬限定・1000万下の三面川特別(新潟・芝1800m)で4着と初黒星を喫したが、続く牝馬限定・1000万下の夕月特別(阪神・芝1800m)で3勝目を挙げると、1600万下クラスの身ながら、重賞初挑戦がGI となった秋華賞で2着に食い込んだ。父ディープインパクト譲りの強烈な末脚を武器に、ここまで〔5・1・0・2〕の好成績。3着以下に敗れた2戦は、三面川特別が約3か月ぶり、3走前の愛知杯が2か月ぶりと、いずれも休み明けが影響して直線の伸び脚を欠いたもの。中4週で臨む今回は、好勝負必至だろう。3連勝でのGI 初制覇を目指す。
デニムアンドルビー(牝4・角居勝彦)は、まだGI 勝ちこそないものの、3歳時の昨年に極めてハイレベルな走りを披露したディープインパクト産駒。GII のフローラSとローズSを勝ち、GI でもオークス3着、秋華賞4着、エリザベス女王杯5着と、すべて上位争いを演じた。さらに、3歳牝馬の身ながら果敢に挑戦した国際招待レースのジャパンカップで、国内外から集結した古馬の強豪相手に2着と大健闘。優勝馬ジェンティルドンナとハナ差の大接戦を演じたレース内容は、極めて高く評価するべきだろう。初の海外遠征となった前走の国際G1・ドバイシーマクラシック(メイダン・芝2410m)では10着に大敗したが、GI で2度の好走実績がある東京・芝コースに戻る今回は、その非凡な実力を見直す必要がある。
現4歳牝馬の中でナンバー1の実績を誇るスズカマンボ産駒のメイショウマンボ(牝4・飯田祐史)も、間違いなくV候補の一頭と言えよう。3歳時の昨年は、フィリーズレビューを制して臨んだ桜花賞こそ10着に大敗したものの、牝馬クラシック二冠目のオークスでは9番人気の低評価を覆して鮮やかな差し切り勝ち。秋シーズンには秋華賞とエリザベス女王杯を連勝、3歳時に牝馬限定GI・3勝という偉業を達成した。その後は休養に入り、約5か月ぶりの実戦となった前走の産経大阪杯では優勝馬キズナに2秒2も離された7着と完敗を喫したが、この一戦だけで大きく評価を落とすのは早計だろう。久々をひと叩きされ、調教の動きも確実に良化の兆しを見せている。
ウリウリ(牝4・藤原英昭)は、昨年の秋以降に急激に力をつけてきたディープインパクト産駒。昨年6月の牝馬限定・500万下(中京・芝1600m)を制したあと、2か月半の休養を挟んで臨んだ秋華賞トライアルのローズSで3着に好走して優先出走権を獲得。本番のGI・秋華賞では着順こそ10着ながら、スマートレイアー(2着)、デニムアンドルビー(4着)から僅か0秒2差と、差のない競馬を見せている。その後は、牝馬限定・1000万下の衣笠特別(京都・芝1800m)を順当に勝ち上がり、1600万下クラスの身で格上挑戦した京都牝馬Sを豪快に差し切って重賞初制覇を達成。前走の阪神牝馬Sでも、優勝馬スマートレイアーからハナ差の2着と大接戦を演じた。素質馬が完全に軌道に乗ってきた印象があり、全4勝中3勝を挙げている芝1600mに距離が延びるのは大歓迎。GI の大舞台でも、好勝負の期待が懸かる。
芝のスプリント路線で大活躍してきたストレイトガール(牝5・藤原英昭)の参戦も、今年のヴィクトリアマイルの見どころと言えよう。4歳時の昨夏に本格化を果たしたフジキセキ産駒。牝馬限定・500万下→1000万下の函館スポニチ賞→1600万下の函館日刊スポーツ杯→オープン特別のUHB賞(いずれも函館・芝1200m)と破竹の4連勝をマーク。重賞初挑戦となったキーンランドC(函館・芝1200mで開催)はクビ差の2着に惜敗したものの、約3か月半の休養を挟んで、オープン特別の尾張S(中京・芝1200m)→シルクロードSと再び連勝。前走のGI・高松宮記念は1番人気の評価を受けたが、不良馬場を2番手追走から鮮やかに抜け出した優勝馬コパノリチャードに0秒7も離された3着と完敗した。芝1600mは、3歳時のオープン特別・エルフィンS(京都)で0秒4差の6着に敗れているものの、当時とは充実度が違うだけに軽視は禁物だ。
ケイアイエレガント(牝5・尾形充弘)は、キャリアを積みながら徐々に力をつけてきたキングカメハメハ産駒。約4か月の休養明けで10番人気の低評価ながら、3走前の1600万下・節分S(東京・芝1600m)を3馬身差で完勝し、待望のオープンクラス入りを果たした。重賞初挑戦となった前々走の中山牝馬Sでも10番人気で2着(同着)に好走すると、前走の福島牝馬Sを逃げ切って重賞初制覇を達成。2・3走前の走りが本物であったことを実証した。先行して速めのラップを刻み、後続馬に脚を使わせるのが好走パターン。得意の形に持ち込むことができれば、GI でも上位進出が期待できるだろう。
キャトルフィーユ(牝5・角居勝彦)は、3歳の4月にオープン特別の忘れな草賞(阪神・芝2000m)を勝つなど、早い段階から素質の片りんを見せていたディープインパクト産駒。その後はやや伸び悩んでいたが、昨年12月に1600万下クラスの身ながら格上挑戦した愛知杯で51キロの軽ハンデを活かして2着に好走、重賞2着で収得賞金を加算しオープンクラスに復帰した。約3か月の休養を挟んで、中山牝馬S2着(同着)→福島牝馬S2着と、牝馬限定GIII で3戦連続2着に入り、本格化の気配を漂わせている。相手なりに走れる印象があるだけに、1年7か月ぶりのGI 参戦となる今回も侮れない存在だ。
ラキシス(牝4・角居勝彦)は、まだ重賞タイトルを手にしていないものの、ハイレベルな戦績を誇るディープインパクト産駒。昨秋に、500万下の甲武特別(阪神・芝2200m)→1000万下の鳴滝特別(京都・芝2200m)を連勝すると、1600万下クラスの身ながらGI に初挑戦したエリザベス女王杯で優勝馬メイショウマンボから0秒2差の2着に好走。その後は休養に入り、今年の始動戦となった前々走の京都記念(4着)では、牡馬の強豪を相手に見せ場十分の競馬で3着争いに加わった。惜しくも2着で初の重賞タイトルを逃した前走の中日新聞杯では、優勝馬マーティンボロとハナ差の大接戦を演じている。全8戦が芝2000〜2200mの中距離とあって、初の芝1600mに対応できるかどうかが鍵となるが、能力は今回のメンバーの中でも上位にランクできる存在だ。
ダイワメジャー産駒のエクセラントカーヴ(牝5・堀宣行)は、4歳時の昨年に牝馬限定・1000万下→1000万下の江の島特別(いずれも東京・芝1600m)→1600万下の新潟日報賞(新潟・芝1400m)→京成杯オータムHと、破竹の4連勝をマーク。芝・マイル路線の新星と評された好素材だ。前走の中山牝馬S(9着同着)で5連勝は果たせなかったが、骨折による休養から約6か月半ぶりの戦列復帰に加えて、芝1800mの距離も初めて。厳しい条件が重なったと考えるのが妥当だろう。休養明け2戦目で通算〔2・0・1・0〕と好相性の東京・芝1600mに替わる今回、巻き返す余地は十分に残されている。
ヴィルシーナ(牝5・友道康夫)は、4歳の昨年にこのヴィクトリアマイルで悲願のGI 初制覇を達成。3歳時は、桜花賞、オークス、秋華賞、エリザベス女王杯と、牝馬限定GI ですべて2着という安定感十分の成績を残した。強烈な末脚を武器に活躍した父ディープインパクトとはイメージが異なり、先行してしぶとく粘るタイプの実力馬と言えるだろう。今年に入っての2戦は、東京新聞杯と阪神牝馬Sでいずれも11着と二桁着順の大敗を喫しているが、勝ち馬とのタイム差は1秒2→0秒5と大幅に詰めてきた。昨年は、産経大阪杯(0秒8差6着)から大きな変わり身を見せてこのレースを優勝。ヴィクトリアマイル史上初となる連覇の記録が懸かる今回、どこまで好調時の走りを取り戻すことができるか、注目したい。
ローブティサージュ(牝4・須貝尚介)は、2012年の阪神ジュベナイルフィリーズを制し、JRA賞最優秀2歳牝馬に選出されたウォーエンブレム産駒。3歳牝馬三冠戦線は、桜花賞5着、オークス9着、秋華賞11着と、好結果を出すことができなかった。4歳を迎えた今年は、京都牝馬S7着→阪神牝馬S3着と、戦績がアップ。とくに、前走の阪神牝馬Sは優勝馬スマートレイアーとタイム差なしの大接戦を演じている。復調気配は明らかなだけに、GI ホースの華麗な復活劇が見られるかもしれない。
以上出走予定馬情報です。
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