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2024年12月20日
1161 人生のスタート
ひかるが、なぜテレビ業界を目指したのか。
昭和30年代、TVは緒についたばかりだ。
遥か南端の小島、映画館は無いが、子供心に映画を見たかった。
石垣島まで渡れば映画は見れたが、家が貧しく船賃もなく出来なかった。
南端小島、当時飛行機は無く船輸送、マンが本等は半年以上遅れて着く。
そのマンガ本の片隅に、4コマでコタツに入りながら映画が見られる。それが四角いテレビだと書いてあった。
それだ! 家に居ながら映画が見られるという、訳のわからないテレビというものの解明に人生をかけよう。
そこから人生がスタート、親兄弟を捨て、故郷も捨て、着のみ着のままで上京、夜学へ通いながら必死に勉強した。
ブログをやっている人ならウイルコム(現AUの前身)と言う会社、知っているだろう。
ホームページに誇らしく、人口カバー率99パーセントと出ているが、ひかるの育った島はまだカバーされていない、日本最後の情報過疎地だ。
半年遅れに漫画本が流れ着くが、それが唯一の情報源だ。
昭和40年、第一回東京オリンピック39年開催の翌年、勿論テレビは白黒時代で、朝と夜の放送で、昼間はフィルムのメロドママ放送。
やっとの思いでテレビ業界へ入った。
本当に人生の辛酸をなめ尽くしたと言われる状況だった。
それでも、しがみ付き夢をまっとうした。
勿論長男ではあるが、両親の死に目にも会えなかった。
そんな経験の中から、今の若者達には是非、勇気を持って己の道を貫いて欲しい。
親が何を言おうと関係ない!
親は、己の人生を既に歩んで来ている。これからは、自分の人生は自分で決断する、でいい。
この世にポコンと動き出した貴方の鼓動、100パーセント間違いなく、いずれは止まる。
何の為に今まで動いて来たのか?
今、何のために動いているのか?
これから先、どう動かせるか?
己の可能性に立ち向かおうではないか!
人生の 喜怒哀楽に ロマンあり
若者よ 思い残すな 明日は華
貴方には 誰にも盗られない 知恵がある
貴方には 誰にも止められない 鼓動がある
これしかない!
己の人生ドラマ ロマンを持て!
そして
命を張れ!
命を張れ!
昭和30年代、TVは緒についたばかりだ。
遥か南端の小島、映画館は無いが、子供心に映画を見たかった。
石垣島まで渡れば映画は見れたが、家が貧しく船賃もなく出来なかった。
南端小島、当時飛行機は無く船輸送、マンが本等は半年以上遅れて着く。
そのマンガ本の片隅に、4コマでコタツに入りながら映画が見られる。それが四角いテレビだと書いてあった。
それだ! 家に居ながら映画が見られるという、訳のわからないテレビというものの解明に人生をかけよう。
そこから人生がスタート、親兄弟を捨て、故郷も捨て、着のみ着のままで上京、夜学へ通いながら必死に勉強した。
ブログをやっている人ならウイルコム(現AUの前身)と言う会社、知っているだろう。
ホームページに誇らしく、人口カバー率99パーセントと出ているが、ひかるの育った島はまだカバーされていない、日本最後の情報過疎地だ。
半年遅れに漫画本が流れ着くが、それが唯一の情報源だ。
昭和40年、第一回東京オリンピック39年開催の翌年、勿論テレビは白黒時代で、朝と夜の放送で、昼間はフィルムのメロドママ放送。
やっとの思いでテレビ業界へ入った。
本当に人生の辛酸をなめ尽くしたと言われる状況だった。
それでも、しがみ付き夢をまっとうした。
勿論長男ではあるが、両親の死に目にも会えなかった。
そんな経験の中から、今の若者達には是非、勇気を持って己の道を貫いて欲しい。
親が何を言おうと関係ない!
親は、己の人生を既に歩んで来ている。これからは、自分の人生は自分で決断する、でいい。
この世にポコンと動き出した貴方の鼓動、100パーセント間違いなく、いずれは止まる。
何の為に今まで動いて来たのか?
今、何のために動いているのか?
これから先、どう動かせるか?
己の可能性に立ち向かおうではないか!
人生の 喜怒哀楽に ロマンあり
若者よ 思い残すな 明日は華
貴方には 誰にも盗られない 知恵がある
貴方には 誰にも止められない 鼓動がある
これしかない!
己の人生ドラマ ロマンを持て!
そして
命を張れ!
命を張れ!
1160 帰るな
だから沖縄出身者だけは採用したくないとまで、言い切る社長もいる。
ひかるを見てくれ、一徹に何が何でも仕事一点張りでやりとげる沖縄人だっているんだよというと、あなたはパスポートを持って本土に乗り込んだ人だ。
今の沖縄の若者はそんな覚悟も何もない、と言われてしまう。
原因は何かと考えたら、沖縄の母親は子供が旅立つ時、辛い事があったら、何かあったら、何時でも帰って来い。親の元へ戻ればいいと言って、旅立たせる。
それだ、と考え、ひかるは沖縄の母親に子供を崖から突き放す、ニ度と帰って来るな、例え乞食をしても帰って来るな、と言って旅立たせよ、と説いているが、どんなに言い聞かせても、それは無理だった。
昨日も東京の大学にいる娘から電話があり、辛かったら何時でも帰って来なさい、と母親は伝えたそうだ。
沖縄の女性は、あまりにも情が深すぎ、子供を崖から突き放せない。
結果的に親の面倒を見る、と格好をつけホームシックに負け、厳しい大人の世界へ踏み込めない。
それがいい事なのか、悪い事なのか、悩んでしまう・・・
20代、その人の人生を大きく左右する一番大事な時期である。
Y君のように地元へ帰ると、同窓生は地元企業でそれなりに活躍しだしている。
東京から帰った人間は、キャパシティが狭いからすぐ噂になる。
同窓生の下で、あるいは自分の後輩の下で、顎で使われる身となると頭へ来る。
それで喧嘩をし、また上京する。
20代で、そのような事をしていると、あっという間に30代だ。
好きな恋人がいたとしても、女は生活力をまず先に見る。
何時の間にか他の男と結婚してしまうという結果だ。
そうなると、彼女を恨みつらみ、場合によっては、彼女を奪った男にまで逆恨みをし、心が荒れる。
30代になって、余程謙虚な気持ちで、一心不乱に、人生を立て直せばいいのだが、それもまた難しい。
経験した人でなければ分からないが、30代、あっという間に10年が過ぎてしまう。人生で一番時間が短く感じられる年代だ。
所帯を持つ事もなかなか難しい状況になり、40代に突入すると、人生を立て直すのは、かなり困難である。
フリーターやニートと呼ばれる人達、本気で20代をどう過ごすか考えて欲しい。
まずは親や周りが親身になって、立て直しを支援する必要があるだろう。
生活力の基盤のない男、どんなに男まえが良くても女は逃げていくぞ・・・
ひかるを見てくれ、一徹に何が何でも仕事一点張りでやりとげる沖縄人だっているんだよというと、あなたはパスポートを持って本土に乗り込んだ人だ。
今の沖縄の若者はそんな覚悟も何もない、と言われてしまう。
原因は何かと考えたら、沖縄の母親は子供が旅立つ時、辛い事があったら、何かあったら、何時でも帰って来い。親の元へ戻ればいいと言って、旅立たせる。
それだ、と考え、ひかるは沖縄の母親に子供を崖から突き放す、ニ度と帰って来るな、例え乞食をしても帰って来るな、と言って旅立たせよ、と説いているが、どんなに言い聞かせても、それは無理だった。
昨日も東京の大学にいる娘から電話があり、辛かったら何時でも帰って来なさい、と母親は伝えたそうだ。
沖縄の女性は、あまりにも情が深すぎ、子供を崖から突き放せない。
結果的に親の面倒を見る、と格好をつけホームシックに負け、厳しい大人の世界へ踏み込めない。
それがいい事なのか、悪い事なのか、悩んでしまう・・・
20代、その人の人生を大きく左右する一番大事な時期である。
Y君のように地元へ帰ると、同窓生は地元企業でそれなりに活躍しだしている。
東京から帰った人間は、キャパシティが狭いからすぐ噂になる。
同窓生の下で、あるいは自分の後輩の下で、顎で使われる身となると頭へ来る。
それで喧嘩をし、また上京する。
20代で、そのような事をしていると、あっという間に30代だ。
好きな恋人がいたとしても、女は生活力をまず先に見る。
何時の間にか他の男と結婚してしまうという結果だ。
そうなると、彼女を恨みつらみ、場合によっては、彼女を奪った男にまで逆恨みをし、心が荒れる。
30代になって、余程謙虚な気持ちで、一心不乱に、人生を立て直せばいいのだが、それもまた難しい。
経験した人でなければ分からないが、30代、あっという間に10年が過ぎてしまう。人生で一番時間が短く感じられる年代だ。
所帯を持つ事もなかなか難しい状況になり、40代に突入すると、人生を立て直すのは、かなり困難である。
フリーターやニートと呼ばれる人達、本気で20代をどう過ごすか考えて欲しい。
まずは親や周りが親身になって、立て直しを支援する必要があるだろう。
生活力の基盤のない男、どんなに男まえが良くても女は逃げていくぞ・・・
2024年12月09日
f1061 似た者同士
子供の好奇心、色々な事に、疑問を感じます。
ひかるは、野生のハトを生け捕り、飛べないよう羽先を切り、ニワトリ同様、飼い慣らそう、と実験。
難なく飼い猫に食べられてしまい、小さなウズラですら、野良猫に襲われても逃げ切れるのに、何んでいとも簡単に食べられるのだろうか、と考えさせられました。
やはり、空を飛ぶ鳥は空で生き、たとえ小さなウズラでも、地上で生きる代々の知恵が備わっているのだなぁと感心。
また、大空を飛び交う、ひばりを観察すると、巣へ入る時、直接巣には入りません。
わざと別な場所へ降り、茅の根を這って近づき、巣に入ります。
直接巣に入ると、カラスに巣の場所を狙われ、卵や雛を食べられる為、知恵を使っているのです。
しかし、巣から出る時は、直接飛び立ちます。
頭隠して、尻隠さず、の格言通り。
やる方もやる方、気付かない方も気付かない方。
どちらも、似たもの同士。
間抜けな鳥もいます。
ニワトリを野生化させた場合、卵を産む度に、必ず喜びの大声を「コケコッコー コケコッコー」と上げます。
カラスはその大声で、卵が生まれた事と、巣の場所を確認、労せずして、栄養満点な卵を頂戴。
ニワトリの馬鹿さ加減は、見て居られません。
他にも無責任な鳥がいます。
野生のハトは、人間に見つからないよう、細心の注意をし、場所を考え巣を作ります。
野生のハトの巣を見つけるのは、容易ではありません。
一度、人間が巣を見つけ、近づいた気配が感じられると、警戒し、二度と巣には戻りません。
多分、人間の匂いを感じるのでしょう。
我が子より、我が命を大事にする、臆病な生き物。
普段は、楽しく飛び回っているスズメやひばり達、台風の時どうするのだろうか。
台風を避け、遠くへ逃げるはずは無い。台風を避け、数十キロ先の島へ逃げ、翌日その島へ舞い戻って来る事は、とうてい考えられません。
それが証拠に、台風が過ぎ去った翌日には、元気よく飛び回っているのです。
その疑問は解けました。
小鳥達は、危険が迫った時、岩穴で台風が過ぎ去るのを、じっと待っているのです。
彼らは、どうしたら尊い命を守れるか、心得ていたのです。
我々も、小鳥の生き方に見習うべきではないだろうか。
時代のうねりや大きな組織力で、一人で立ち向かっては、どうしようもない事が、しばしば身に振り掛かります。
何も一人で立ち向かい、尊い命を落とす必要はなく、厳しい嵐が自分に振り掛かった時、岩穴でじっと時を待ち、思案する事も必要。
嵐が通り過ぎた時、思いっ切り行動に出ましょう。
f1060 時差処理
生きていく中、誰もが持って生まれた財産、知恵を使わない方はありません。
基本的な知識は、学校なり、本を読む事で得られますが、知恵は見方、考え方、立場や状況等で、十人十色。
絞り出せば出す程、無尽蔵に出て来ます。
親子や将来に関する問題等、少なく見ても、一人30以上の問題があるかと思いますが、一つ一つの問題に対し、いま採れる最良の方法。これしかない! 道を選んでみましょう。
30通りの、これしかない! があるはず。
後は、その最良の方法を実行するだけ。
そして、30通りの問題すべてが矢と成り、自分の方へ向かって来ますが、すべての問題には時間差があり、その時間差を利用し、一つ一つ処理して行く。
100問題があったとしても、決して、処理不可能と言う事はありません。
今は小さな問題でも、将来は大きな問題になる場合もあり、それに対しては、今の内に手を打っておけば、大きくならずに済ます。
今は大きな問題でも、時間が解決し、消滅する問題もあるかと思います。
良きリーダーに成れる人は、問題点を見つけられるか、処理出来るか、将来、伸ばすべき芽を見つけられるか、そして、育て大きく出来るか、という事へ、知恵をいかに絞り出せるかが、大事な要素ではないだろうか。
数年後に、大きな問題に成る、と判断したならば、担当者を置き、現状のまま大きくするな、と指示。
今は小さくても、将来大きな芽にしたい場合は、しっかり説明をし、目標を持たせ、担当させれば、芽は徐々に育って行きます。
将来、大きくなる問題でも、今は処理が出来ない、という場合は、担当者を置き、調査を継続。
後で経過を知らずに荒治療するのと、知っていてやる事では、処理方法に大きな差が出て来るのは当然。
男の働き盛り三十代、ひかるは八十人の部下を任され、下請けや外注を含めると、百数十人の仕事を処理していました。
だいたいが十五から、二十班に分かれ、国内外取材、翌日以降の予定や下見、打ち合わせや段取り等、同時進行。
他にも兼務が多く、電話は鳴りっぱなし、客は順番を待っている状況で、目の回る忙しさでした。
これ程多くの問題をどう整理し、同時処理しているのか、コツを教えて欲しいと言われましたが、問題処理に、前記した通り、知恵を使っていた事が分からなかったようです。
色々な問題があったとしても急ぐべきか、直接自分が実行すべきか、部下に振り分け、実行させて大丈夫かどうか、即座に判断し、指示して行けば問題にはなりません。
大事な事は、三十本の矢を描き、時差処理をして行く。
このような事は、決してコンピューターには出来ず、そこが知恵を使う人間の、偉大な要素ではないだろうか。
f1059 母は母
母は晩年、アルツハイマーとなりました。
上京させるべく父を説得するにも、「母の面倒は自分が見る」の一点張り。
やむなく、石垣島の療養施設へ入所させました。
アルツハイマー特有のものなのか、白衣の医者や看護婦、薬を極端に拒んだとの事ですが、東京のひかるの所へ行けるんだ、と言うと、素直に病院や薬も受け入れ、見知らぬ人を捕まえ、東京のひかるの所へ行くんだと口走っていたとの事。
日増しに容体が悪化しているとの連絡に帰郷。
しかし、あれだけ待ち望んだ対面は、まさかと思われる再会となってしまいました。
既に息子ひかるの面影は、母の記憶の領域に跡形も無くなっていたのです。
お母さん、帰って来たぞ! ひかるだぞ!と声をかけるにも後ずさりをし、部屋の隅へ逃げ、脅えて睨む拒否する眼差し。
妖気すら漂う、一度も見た事のない視線でした。
ひかるが帰って来たんだぞ、と近寄れば近寄る程、恐怖の色は濃くなるばかり。
何んで、息子を怖がるんだ!
何んでこうなってしまったんだ!
辛い時、孤独な時、何時も優しい母を思い出し、例え落ちぶれた姿でも、温かい眼差しで迎え入れてくれる。
どんな時でも母にだけは信じてもらえる、という心の拠り所があったからこそ、今まで頑張って来れた筈なのに・・・
元気な姿を見せ、喜ぶ顔が見たくて頑張って来れたのに・・・
子供の頃、怒られもしました。叩かれもしました。しかし常に温かく見守る眼差しが有り、愛が有りました。
命有る限り、我が身に限って、母の愛が閉ざされるなんて・・
まさかこのような親子の再会に成るとは、一度も想像しなかった・・
夢だに見なかった・・
母の元、一つ屋根の下で生活出来たのは15歳迄。
人間、いくつになっても母は母。
もっともっと甘え「お母さん」といっぱい呼んでやりたかったのに・・
話したい事が、背負い切れない程、沢山有るのに・・
母の事を思い出さない日は、一日たりとて無かった。
母とて一日たりとも忘れなかっただろうに・・・
会える日を一日千秋の思いで待ち続けた母子。
何んで無情にも鉄の扉が降りてしまったのだろうか。
子供達との離別生活、会いたい一心が高じ、アルツハイマーに成ったのだろうか。
待たせ過ぎた! 許してくれ・・・
母の為、何一つしてやれなかった、喜ばせてやれなかった悔しさに、懺悔の波は押し寄せ、断腸の思いに唖然と立ちすくむだけでした。
母子の心さえ通わせられないアルツハイマーの怖さ。
これ程辛くて、寂しい世界があるだろうか・・
母の好物を思う存分食べさせると、脅えが和らぎ、手を握れるようになりました。
そして足腰の弱った母を背負い、散歩に出た時、あまりの軽さにつんのめり三歩歩んで立ち止まる。
ランドセルの重さにしか感じられません。
全ての記憶を失った母に心は通じず、長き別離を償う無言の歩み・・
南国の陽射に汗ばむ背中。
涙は止めどなく、踏み出す影へ、七つ・・八つ・・・・
海を見下ろす丘の上、洗剤の如く押し寄せる白いさざ波。
波の足音は、ザザザーサー、ザザザーサーと浸み、身や心、砂浜までも洗い清めて行きます。
はるばる長い旅路を渡って来たのだろうか、風は優しくすれ違い「風の渡り来る南、生まれ育った島、我が家があるんだぞ、風の行く先、東京があるんだぞ」と語りかけると、心が通じたのだろうか。
母は何時迄も、生まれ育った南の空をじーっと見つめ、他を向こうとはしません。
懐かしい古里、遠い昔の事を思い出しているのだろうか。
首に抱き付く、か弱い両手にこもる力、島を手繰り寄せているのです。
大きくあえぎ、高まる息遣い、首筋に二つ、熱く伝わる母の涙。
翌年、死に水も取れない、心を通わせる事すら出来なかった、永遠の別れとなり、生涯、ぬぐう事叶わず、消す事の出来ない、涙を背負い続ける人生と成ってしまいました。
・・親不孝 詫びる息子の 背に涙・・
f1055 人間セミ
他にもテレビの裏側には、色々なエピソードがあります。
鉄塔での高所取材時、スタッフが本番終了までは無事でしたが、いざ降りる段になり、下を見た瞬間、高所恐怖症が走り、降りるに降りられなくなりました。
下から声をかけるにも、見向きもせずボンドで貼り付けたのではないか、と思われるくらいベッタリしがみ付き、ワナワナと震える姿は人間セミその物、お笑い番組のシーンのようで、笑ってしまいそうですが命にかかわる一大事。
救出作戦は大騒ぎになりました。
思い出したくない事件もあります。
雄巣鷹山日航機墜落事故。取材活動の帰社後、スタッフの食欲が進まず、落ち込みが激しかった事には参りました。
真夏の出来事、犠牲者と泣き崩れる遺族の姿が、あまりにも多過ぎ、山全体を覆う臭気と霊気中での取材。
規制線は無く、生々しい現場を見、精神的に受けたショックが大き過ぎたのです。
食べ物を見ても、衣服を焼き捨てても、風呂に何度入っても、あの臭気が鼻にこびり付き、色々なシーンが蘇って来るのです。
遺族の事を考えると生々しい事を書くと不謹慎ですが、何気なく見ると木の枝に肉片がぶら下がっていたり・・
本当にスタッフの脳の構造が破壊されかねないのです。
極力対話をし、冥福を祈り、元気をとり戻させる迄には、1カ月必要でした。
世の悲惨な出来事でも、いち早く正確に伝えるのがテレビマンの務め。
二度とあのような事故の起きない事を願うしかありません。
世の縮図を背負い、テレビマンは、今日も行く・・
f1054 冷凍人間?
テレビ界就職直後の昭和40年、晴海に新設された、零下30度という、冷凍倉庫取材に遭遇。
当時は冷蔵庫自体の普及率は低く、冷凍室付の冷蔵庫は未発売。
冷凍という言葉すらほとんど使われていませんでした。
冷凍倉庫自体も初めての開業で、大きな話題として取り上げられたのだ。
常夏の地で育ったひかるには、零下30度という世界は、かつて今まで生きて来た中では、とても考えられず、即座にコチコチの冷凍人間にされてしまう事しか頭に浮かんで来ません。
いよいよ本番になり、意地悪にも女性レポーターは奥の方へと入って行きます。
仕事なので、やらなければ、という意識はあるのですが、冷凍人間への拒否反応で足が竦み、何時でも逃げ出せるよう、入り口のノブに、しがみ付いているだけ。
本番が終ると、表へ飛び出すと同時に座り込み、二度とこのような仕事はやりたくない、と思いました。
周りからは、「テレビより、お前の恐怖に慄く顔が、一番面白かった」とからかわれ、今だに語り種。
氷や雪など、無縁の世界で育った人間が、冷凍倉庫へ入れ、と言われると冗談抜きに、どうしても浮かんで来るのは冷凍人間。
恐怖を感じ、拒否反応は間違いなく出て来ます。
もし皆さんが、これから乗る飛行機が間違いなく墜落する、と分かっていても乗らざるを得ない場合の事を想像すると、タラップを登る靴は、30キロにも感じるのではないだろうか。
ドアにしがみ付き、墜落寸前に飛び降りたい心境になるかと思います。
ひかるにとって、冷凍倉庫は、このような間違いなく死ぬのではないかと、恐怖を感じるところで、今だに零下30どという言葉は、身震いがするセリフ。
嫌な番組に冬の天気予報があります。
予報官が、「シベリアから零下30度の寒気団が南下し・・・・・・」
聞いただけで、金切り音が奥歯から後頭部へ引っ吊る感じがし、一晩中凍て付き、お願いだから、このセリフだけは絶対にやめてもらいたい.と思いますが、これは自分だけの問題ですので仕方がありません。
せめて、我が家のテレビだけは、このセリフを禁止用語とし、スピーカーから出ないよう、改造出来ないものかと考える、寒がりやの小心者。