2020年03月31日
心理学統計の検定を用いて志賀直哉の「城の崎にて」を考える4
2.3 「城の崎にて」の登場人物間で理解度が違う
「城の崎にて」は、作者が但馬・城の崎に赴き、風景描写をした短編である。ここでは、この小論の研究テーマ、直哉と鼠の努力に関し違いがあるかどうかについて作成したデータベースを基に考察していく。
解答 直哉と鼠の努力に違いがない
表1 具体度
「一の湯」の前から小川は往来の真ん中をゆるやかに流れ、円山川へ入る。ある所まで来ると橋だの岸だのに人が立って何か川の中の物を見ながら騒いでいた。それは大きな鼠を川へ投げ込んだのを見ているのだ。鼠は一生懸命に泳いで逃げようとする。→努力なし0、強い努力2 直哉0、鼠2
鼠には首の所に七寸ばかりの魚串が貫してあった。頭の上に三寸程、咽喉の下に三寸程それが出ている。鼠は石垣へ這い上がろうとする。子供がニ三人、四十位の車夫が一人、それへ石を投げる。却々当たらない。カチッカチッと石垣に当たって跳ね返った。→努力なし0、強い努力2 直哉0、鼠2
見物人は大声で笑った。鼠は石垣の間にようやく前足をかけた。然し這入ろうとすると魚串が直ぐにつかえた。そして又水へ落ちる。鼠はどうかして助かろうとしている。顔の表情は人間にわからなかったが動作の表情に、それが一生懸命である事がよくわかった。→小さい努力1、強い努力2 直哉1、鼠2
鼠は何処かへ逃げこむことが出来れば助かると思っているように、長い串を刺されたまま又川の真ん中の方へ泳ぎ出た。子供や車夫は益々面白がって石を投げた。傍の洗場の前で餌を漁っていた二三羽の家鴨が石が飛んでくるのでびっくりし、首を伸ばしてきょろきょろとした。→小さい努力0、強い努力2 直哉0、鼠2
スポッ、スポッと石が水へ投げ込まれた。家鴨は頓狂な顔をして首をのばしたまま、鳴きながら、忙しく足を動かして上流の方へ泳いでいった。自分は鼠の最期を見る気がしなかった。→努力なし0、努力なし0 直哉0、鼠0
花村嘉英(2020)「心理学統計の検定を用いて志賀直哉の『城の崎にて』を考える」より
「城の崎にて」は、作者が但馬・城の崎に赴き、風景描写をした短編である。ここでは、この小論の研究テーマ、直哉と鼠の努力に関し違いがあるかどうかについて作成したデータベースを基に考察していく。
解答 直哉と鼠の努力に違いがない
表1 具体度
「一の湯」の前から小川は往来の真ん中をゆるやかに流れ、円山川へ入る。ある所まで来ると橋だの岸だのに人が立って何か川の中の物を見ながら騒いでいた。それは大きな鼠を川へ投げ込んだのを見ているのだ。鼠は一生懸命に泳いで逃げようとする。→努力なし0、強い努力2 直哉0、鼠2
鼠には首の所に七寸ばかりの魚串が貫してあった。頭の上に三寸程、咽喉の下に三寸程それが出ている。鼠は石垣へ這い上がろうとする。子供がニ三人、四十位の車夫が一人、それへ石を投げる。却々当たらない。カチッカチッと石垣に当たって跳ね返った。→努力なし0、強い努力2 直哉0、鼠2
見物人は大声で笑った。鼠は石垣の間にようやく前足をかけた。然し這入ろうとすると魚串が直ぐにつかえた。そして又水へ落ちる。鼠はどうかして助かろうとしている。顔の表情は人間にわからなかったが動作の表情に、それが一生懸命である事がよくわかった。→小さい努力1、強い努力2 直哉1、鼠2
鼠は何処かへ逃げこむことが出来れば助かると思っているように、長い串を刺されたまま又川の真ん中の方へ泳ぎ出た。子供や車夫は益々面白がって石を投げた。傍の洗場の前で餌を漁っていた二三羽の家鴨が石が飛んでくるのでびっくりし、首を伸ばしてきょろきょろとした。→小さい努力0、強い努力2 直哉0、鼠2
スポッ、スポッと石が水へ投げ込まれた。家鴨は頓狂な顔をして首をのばしたまま、鳴きながら、忙しく足を動かして上流の方へ泳いでいった。自分は鼠の最期を見る気がしなかった。→努力なし0、努力なし0 直哉0、鼠0
花村嘉英(2020)「心理学統計の検定を用いて志賀直哉の『城の崎にて』を考える」より
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