米国などの世界大手が億人分規模での量産体制づくりを進めるが、日本が輸入できる保証はない。
開発段階から増産対応を進め、感染「第2波」への備えを急ぐ。
アンジェスを中心とした国内外14社、団体が生産体制を整える。 これまでは年内に20万人分を供給する方針を示していた。 製造を担うタカラバイオがワクチン原料を培養する設備を現在の200リットル程度から最大3千リットル級に拡張。AGC子会社や塩野義製薬子会社も原料提供での協力を表明しており、供給力を高められると判断した。
アンジェスなどは『DNAワクチン』と呼ばれるコロナワクチンを開発中。コロナウイルスの遺伝情報の一部を取り込んだ成分を体内に送り込み、事前に免疫を作るタイプで、年内の実用化を目指し、近く治験(臨床試験)を始める。 現在、世界で最も開発で先行される米モデルナも似た仕組みのワクチンの治験を勧めている。
新型コロナウイルス向けワクチンを巡っては、塩野義が国立感染症研究所と共同で開発し、年内に治験開始に向けて当局と調整中だ。 21年秋までに市場投入を目指しており、将来1千万人規模で提供できるよう生産能力を拡張する検討も始めている。 投資額は100億〜200億年を想定している。
田辺三菱製薬のカナダ子会社は8月の治験開始を計画。 東京大学と組む第一三共もワクチン開発への参入を表明している。
政府も国産ワクチン開発を後押しする。日本医療開発機構(AMED)を通じて、総額100億円を9つのプロジェクト二配分する。 12日に成立した第二次補正予算では、ワクチン開発などに総額2000億円強を盛り込んだ。 産学連携に政府も加わり国産ワクチンに力を入れるのは海外からのワクチン輸入に不安があるからだ。 治験で先行するモデルナなどは年10億回分、英アストラゼネカと英オックスフォード大学のチームは年20億回分の生産を目指している。
いずれも米政府が資金支援しており、米国に優先供給される可能性が高い。 国産ワクチンによる感染予防が整わないと経済の完全再開も難しくなる。
懸念は、ワクチンの有効性や安全性の検証だ。モデルナやアンジェスらが取り組むワクチンは世界で承認された例はない。迅速とのバランスへの目配りが欠かせないようだ。
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