このまま飽食の時代が何万年も続けば、遺伝子が変化して新たな体に進化していくでしょう。生まれながら目がなく、手も足もなく、ただ口だけをもぐもぐさせて、いくら食べ物を与えても太らない、そんな未来の姿となる可能性があります。
いえ、実際にはそうなる前に「飽食人」は地球上から姿を消して、地球は「空腹人」のものになるでしょう。
なぜなら前述のように、気が地域ほど出生率が高く、飽食地域はおしなべて出生率が低いからです。さらに糖尿病になると、男性は勃起機能障害が生じ、女性は不妊症の確率が高くなることが知られています。
21世紀を生きる私たちは、実際、このように直面していることから目をそらしてはいけないでしょう。絶えず飢えや寒さ、感染症や天変地異という生命の危機にさらされてきた人類は何度も滅びかけました。そして生き残った人類は新たな適応力を獲得して変化したのです。
一般的に進化というと、何か素晴らしい方向に身体器官などが変化することだと考えられがちです。けれども本来的な意味では、糖尿病や近視のように、かんきょうに摘応した状態への変化は『適応』と呼び、それが遺伝子変化を伴えば「進化」と呼ぶのです。世の多くの人々は、こうした変化を「病気」ととらえ忌み嫌い、病気になった運命を呪います。しかしもとはと言えば、すべて私たち自身が長年続けてきた生活習慣が原因なのです。
このことを肝に銘じて、ぜひこの機会にご自身の生活を振り返っていただきたい。<
脳細胞は、1日100万個ずつ壊れているといわれます。そんな勢いで壊れ続けていたら、早晩、脳細胞はなくなってしまうのではないかと心配でしょう。 けれど実際には何百億個とありますし、そのうち実際に使われている脳細胞は、全体のわずかに3%程度だといわれています。生涯にわたって毎日100万個ずつ壊れていったとしても、脳全体でみれば、ほんの数万分の1に過ぎないのです。
とはいえ、脳細胞がそれを上回る速さでどんどん壊れてしまえば、認知症が生じることは確かです。
ところが人間の体というのは、本当によくできているのです。「海馬」と呼ばれる部分で、神経細胞と神経細胞の間の連絡網である「シナプス」という細胞が、新たに作られ来ることが最近の研究で明らかになりました。 ただし不摂生を続けていれば脳細胞は増えません。どんな時にこの脳細胞が増えるかというと、何と「飢えと寒さ」にさらされたときというから驚きです。
飢えや寒さといった危機のおかされた時にこそ、人間の生命力は活性化するということが証明されたわけです。本当に、人間に潜在する底知れぬパワーには驚かされます。
ここで海馬について、少しだけ説明しましょう。
海馬の働きを一言でいうと、脳のなかでの記憶の取捨選択です。睡眠の「ゴールデンタイム」と呼ばれる、夜の10時から午前2時kまでの間に、海馬の中で最新の記憶が整理されます。夢とは、実際の体験を順不同につなぎ合わせたものです。だから支離滅裂で意味は通じませんが、全く体験したことのないものは登場しません。フロイトは夢判断のなかで「夢とは抑制された願望と洗剤志向の合わさったもの」と言っています。
例えば、フランス語のしゃべれない人は、フランス語をしゃべっている夢を見ることのないように、寝ている間に自分が実際に体験した記憶の中から、必要な情報、保存しておかなければならない情報だけを取捨選択し、いらない記憶をどんどんふててしまうという働きをします。
しかし、心配には及びません。ここで捨てられた記憶は、意識下では忘れられてしまっても、大脳皮質にちゃんとしまわれていて、何かきっかけがあれば引き出せるようになっています。コンピュータで情報を削除しても、復旧しようとすればメモリーのどこかに見つけ出すことができるのと似ています。
人間の体というのは、どこまでもよくできているのです。
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