語彙などの知識や知恵は脳の頭頂連合野や側頭連合野に記憶として蓄えられるので,この点から言えば脳の機能は人生の晩年に向かって向上しているといえます。ところが、背外側前頭前野の機能を調べる心理学検査の成績を見ると、なんと20歳ごろから直線的に低下しています。中年期以降に急に下り坂になるのではなく、脳の器質的な成長が終わる20歳ごろから直線的に機能低下が始まっているのです。
自分のしていた行動や砂上をふと忘れてしまうタイプの物忘れは、前述のとおり背外側前頭前野の機能低下を直接反映しています。しかし、比較的若いうちからこうした症状がみられるのは、この機能低下が20歳を過ぎるとすぐに始まることに起因していると思われます。
興味深いことに、どちらの検査も、すべての年代の人の成績を平均すると40代半ばの値と一致することもわかりました。この事実は「40代半ばまでは、それまでの経験でカバーしてごまかしがきくので脳機能の低下をそれほど自覚することがない。ところが、40代後半以降は背外側前頭前野の機能低下の影響の方が強くなるため、ごまかしがきかなくなる。随って、中年以降に脳機能低下を強く自覚するようになる」ことを示唆するものです。/strong>
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image