山田昌弘氏が家族の研究を始めたのが約40年前。家族についての研究しようとした若者はほとんど
いませんでした。と維持は約95%の若者が結婚した「皆婚社会」。男子は外、女性は家事・育児
として豊かな生活を築くことがモデルで、家族は安定しているとされてきた。
家族社会学は今と違い地味な分野でした。なぜ選んだか? 我が家の家庭環境が影響をしている。
父は自営業者でしたがいつも借金を抱え子どもの私が返済に協力せざるを得なかったからです。さらに
母は病気がちで私は今でいうヤングケアラーでした。祖母は「嫁はうちの人じゃない」と母をいじめます。
こうした環境で育つと必然的に「家族って何だろう」と思うわけです。家族の範囲は自分で勝手に決めら
れるのだろうか。家族社会学でいう『主観的家族「自分が思えば家族」』概念を子供のころから考えていた
。個族とは何か?と問われたら多くの人は
「夫婦と子どもからなり互いに信頼、必要とし、困ったときに助け合う存在」「無条件で愛情を注げ一緒
いいるとあん知る、自分であることを確認できる」などと答えるであろう。
けれどもこうした家族像は昔からあったわけでもない。戦前、多くの人が農業や自営業で暮らしていたころ
は生活組織であるばかりではなく生産組織であり愛情で結びつくということではなく、生活上の義務を
共同で果たす役割が多かった。
夕食時に家族がおしゃべりをしながら食事をする習慣は戦後生まれたもので、米国のテレビドラマが影響
しています。「パパは何でも知っている」などです。
戦後の家族像は全国に浸透していきます。しかしバブルがはじけ正社員になれない若者が増え始めた199
0年以降家族の変化が現れます。結婚できない若者が増えていったのです。学卒後も親と同居し、基礎的
生活を親に依存しながらリッチな生活を送る未婚の若者を「パラサイト・シングル」と私がなずけたのは
1997年のことです。
※パラサイトシングル=社会人になっても親元で生活死刑台的、精神的にいつまでも自立せず家事など生活
全般を両親に依存している未婚者を言う
パラサイトシングルの女性の間では収入が高い男性が現れるまで親と同居しながら結婚を待つ傾向が現れ
手晩婚化や未婚化が進みました。現在30代以下の若者が結婚する確率は75%、結婚した人の離婚率は
35%。結婚して子供を持ち離婚せず老後を迎える若者の割合は半分以下とみられます。
また、少子化の話をしますと、少子化対策を30年続けて効果が見られないのは、日本の対策は正規雇用の
女性の子育て支援に集中し結婚支援を十分にしてこなかったことが要因の一つです。
少子化の主因は未婚化です。未婚化の背景には「親同居」「世間体意識」「リスク回避意識」があります
成人して親から独立しなければならないとしたら一人より2人で生活した方が生活が楽なので恋人と暮らし
始める。しかし日本では「親同居」が一般的でその方が居心地がよく生活水準も高い場合が多い。
だから生活水重が下がるリスクのある結婚を選ばないのです。
さらに日本人は世間体意識が強いから、世間並みの生活から脱落してまで結婚は選びません。
これは若者の親世代も同様で「自分たちも出来たのだから息子や娘ができないわけがない」「結婚相手も
平均収入位求めて当たり前」と思いがちですが現実は難しいのです。
調査をすると、女性が結婚相手の望む収入は400万円以上が3分の2あるのに対し、そのような未婚
男性は4分の1ぐらいしかいません。
家族に研究を続けて思うことは、戦後の家族モデルから脱却して1人親、再婚家族、養子、同性婚などを
含め、多様な家族の形を認める寛容さの必要性です。
また家族がいなくとも孤立せず、貧困に陥らない社会保障や労働政策の拡充、コミニュテイの形成も必要。
収入が不安定でも家事や育児に積極的な男性は結婚しやすい傾向が見られます。男女共同参画の推進も
強調しておきたいと考えます。
きめ細かい支援が必要だと考えさせられました。
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