2014年08月04日
超良血・服部家の遺伝子がさわぐ
超良血・服部家の遺伝子がさわぐ
まずは服部隆之のルーツから。祖父は『別れのブルース』『東京ブギウギ』『青い山脈』ら昭和の名曲を手がけ、国民栄誉賞を授与された"和製ポップスの先駆け"服部良一氏。父は音楽番組『ミュージックフェア』、映画『連合艦隊』、アニメ『トム・ソーヤーの冒険』、朝ドラ『わかば』など幅広い分野の映像作品で活躍を続ける服部克久。つまり超良血・服部家の遺伝子がさわぐ。
服部家がスゴイのは、服部良一氏が「映画と歌謡曲」、服部克久が「テレビ番組」、服部隆之が「ドラマ」と、それぞれが移りゆくエンターテインメントのトレンドに対応し、トップランナーとして牽引してきたこと。私たち日本人は、服部家3世代の音楽を1世紀にわたって聴き続けてきたと言える。
服部克久・隆之親子は、幼少期より音楽の英才教育を受け、世界最高峰の音楽学校『パリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)』への留学経験もあるだけに、「やはり音楽は努力だけでは到達できない境地があるのか」と考えさせられてしまう。
キムタク&SMAPと相性バツグン
服部隆之が手がけたドラマと言えば、記憶に新しいところでは6月まで放送されていた『ルーズヴェルト・ゲーム』、一年前の『半沢直樹』、そして、クラシックの世界を描いた『のだめカンタービレ』など、メインテーマがインストルメンタルの作品が多い。
木村拓哉の主演ドラマでは『HERO』のほかに、2007年の『華麗なる一族』、今年3月のスペシャルドラマ『宮本武蔵』で音楽を手がけている。「主演ドラマの主題歌にSMAPの楽曲は使わない」方針の木村拓哉サイドとは相性がいいのだろう。
さらに服部隆之は、草なぎ剛主演の『TEAM』『スタアの恋』、中居正広主演の『婚カツ』、香取慎吾主演の『新選組!』も手がけるなど、SMAP主演ドラマへの貢献度が高く、冠番組の『SmaSTATION!!』も担当。耳なじみがよく、壮大かつ重厚感ある楽曲をそろえてSMAPの持つ"大物オーラ"を引き立てている。特筆すべきは、社会派からヒューマン、恋愛、コメディまで、あらゆるジャンルをこなす万能性。ドラマ制作班にとって、これほど頼りになる存在はいないだろう。
「厳しく深い」ドラマ音楽の世界
最後に、連ドラ評論家としての視点からドラマ音楽についてふれておこう。連ドラは通常3カ月で9〜11回程度の放送になるが、多忙な人気俳優のスケジュール調整や脚本・撮影の都合で、映像が完成するのが遅い。「放送数日前にやっとできた」なんてこともザラだ。それだけに服部隆之のような音楽家は、コンセプトやプロット(あらすじ)、あるいは音楽が欲しい重要なシーンのイメージだけを聞いて、作曲を進めなければいけない。しかも、「楽曲のどこを、どれだけ、どう使われる」か分からないため、予備の曲を含めて約20〜40曲が必要になるという。
作曲ができたら、あとは「監督やプロデューサーに渡して任せるだけ」が通常のパターン。だから、「放送を見るまで、どの曲がいつ流れるのか?」、作った本人すら知らないというケースも多い。ひどいときは、「数秒のイントロのみ」「メインテーマの1曲だけ」なんてこともあるため、「ガッカリするから、オンエアは見ない」という音楽家もいるようだ。
それでも服部隆之らがドラマ音楽を手がけるのは、自ら生み出した楽曲が"作品の象徴"となるときがあるからだろう。たとえば、『HERO』で言えば、あの楽曲を聞けば映像を見なくても「あっ、『HERO』だ!」とすぐに分かるのではないか。
最近は商業目的のアイドル主題歌や、「映像の添え物程度」という扱いも多いが、服部隆之のドラマ音楽はどれも耳にするだけで名シーンが目に浮かぶものばかり。だから彼のサントラアルバムは思わず買いたくなってしまうのだろう。
ecar
まずは服部隆之のルーツから。祖父は『別れのブルース』『東京ブギウギ』『青い山脈』ら昭和の名曲を手がけ、国民栄誉賞を授与された"和製ポップスの先駆け"服部良一氏。父は音楽番組『ミュージックフェア』、映画『連合艦隊』、アニメ『トム・ソーヤーの冒険』、朝ドラ『わかば』など幅広い分野の映像作品で活躍を続ける服部克久。つまり超良血・服部家の遺伝子がさわぐ。
服部家がスゴイのは、服部良一氏が「映画と歌謡曲」、服部克久が「テレビ番組」、服部隆之が「ドラマ」と、それぞれが移りゆくエンターテインメントのトレンドに対応し、トップランナーとして牽引してきたこと。私たち日本人は、服部家3世代の音楽を1世紀にわたって聴き続けてきたと言える。
服部克久・隆之親子は、幼少期より音楽の英才教育を受け、世界最高峰の音楽学校『パリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)』への留学経験もあるだけに、「やはり音楽は努力だけでは到達できない境地があるのか」と考えさせられてしまう。
キムタク&SMAPと相性バツグン
服部隆之が手がけたドラマと言えば、記憶に新しいところでは6月まで放送されていた『ルーズヴェルト・ゲーム』、一年前の『半沢直樹』、そして、クラシックの世界を描いた『のだめカンタービレ』など、メインテーマがインストルメンタルの作品が多い。
木村拓哉の主演ドラマでは『HERO』のほかに、2007年の『華麗なる一族』、今年3月のスペシャルドラマ『宮本武蔵』で音楽を手がけている。「主演ドラマの主題歌にSMAPの楽曲は使わない」方針の木村拓哉サイドとは相性がいいのだろう。
さらに服部隆之は、草なぎ剛主演の『TEAM』『スタアの恋』、中居正広主演の『婚カツ』、香取慎吾主演の『新選組!』も手がけるなど、SMAP主演ドラマへの貢献度が高く、冠番組の『SmaSTATION!!』も担当。耳なじみがよく、壮大かつ重厚感ある楽曲をそろえてSMAPの持つ"大物オーラ"を引き立てている。特筆すべきは、社会派からヒューマン、恋愛、コメディまで、あらゆるジャンルをこなす万能性。ドラマ制作班にとって、これほど頼りになる存在はいないだろう。
「厳しく深い」ドラマ音楽の世界
最後に、連ドラ評論家としての視点からドラマ音楽についてふれておこう。連ドラは通常3カ月で9〜11回程度の放送になるが、多忙な人気俳優のスケジュール調整や脚本・撮影の都合で、映像が完成するのが遅い。「放送数日前にやっとできた」なんてこともザラだ。それだけに服部隆之のような音楽家は、コンセプトやプロット(あらすじ)、あるいは音楽が欲しい重要なシーンのイメージだけを聞いて、作曲を進めなければいけない。しかも、「楽曲のどこを、どれだけ、どう使われる」か分からないため、予備の曲を含めて約20〜40曲が必要になるという。
作曲ができたら、あとは「監督やプロデューサーに渡して任せるだけ」が通常のパターン。だから、「放送を見るまで、どの曲がいつ流れるのか?」、作った本人すら知らないというケースも多い。ひどいときは、「数秒のイントロのみ」「メインテーマの1曲だけ」なんてこともあるため、「ガッカリするから、オンエアは見ない」という音楽家もいるようだ。
それでも服部隆之らがドラマ音楽を手がけるのは、自ら生み出した楽曲が"作品の象徴"となるときがあるからだろう。たとえば、『HERO』で言えば、あの楽曲を聞けば映像を見なくても「あっ、『HERO』だ!」とすぐに分かるのではないか。
最近は商業目的のアイドル主題歌や、「映像の添え物程度」という扱いも多いが、服部隆之のドラマ音楽はどれも耳にするだけで名シーンが目に浮かぶものばかり。だから彼のサントラアルバムは思わず買いたくなってしまうのだろう。
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