2019年11月04日
「FCメッシ」になったバルセロナ 極端な“守備軽減策”とカンテラ有望株への逆風
バジャドリード戦でメッシが躍動、ビダルとの関係性が新たな“共存のカギ”
バルセロナがようやく本格的に“開幕”した感があった。リーガ・エスパニョーラ第11節でバジャドリードに5-1と大勝。調整が遅れていたリオネル・メッシも2ゴール2アシストと、本調子に戻ったようだ。
バルサはメッシとともに生きていかなければならない。シャビやアンドレス・イニエスタがいた頃はまだそうでもなかったが、現在のバルサはメッシがいるといないでは違うチームだ。その意味で、バルサは「FCメッシ」になってしまっている。
サッカーはチームゲームではあるけれども、あれほど巨大な才能を前にするとそうなってしまうのは仕方がない。アルフレッド・ディ・ステファノ、ヨハン・クライフ、ディエゴ・マラドーナを擁したチームもそうだった。
バルサの監督は、いかにメッシと共存するかに腐心してきた。エルネスト・バルベルデ監督は昨季、ついに4-4-2に手を出している。メッシを右のハーフスペース(ピッチを縦に5等分し両端と中央の間にあるエリア)付近で前を向かせること、守備負担を与えないこと、メッシの使用上の注意は主にこの二つだ。過去には“偽9番”、“偽7番”が使われたが、バルベルデは最もシンプルな解である4-4-2を使った。ただ、4-4-2はバルサの教義では異端と言っていい。
今季、バルベルデ監督は4-3-3に戻している。そして第11節で、メッシとの新しい共存のあり方を見つけた。
メッシ、ルイス・スアレス、アンス・ファティの3トップ、メッシは右ウイングである。MFはピボーテ(ボランチ)にセルヒオ・ブスケッツ、インテリオール(インサイドハーフ)左にフレンキー・デ・ヨング、右にアルトゥーロ・ビダル。メッシとビダルの関係性が新しい共存のカギだ。
メッシは例によって主に右のハーフスペースから発進するが、プレースタイルは少し変化している。以前ならドリブルでカットインしていく場面でも、パスで味方を使うことが多くなった。独力で数人をかわしてゴールを重ねてきたスーパースターでも、30歳を超えればスタイルは変化する。ペレ、クライフ、マラドーナもそうだった。
クライフは自分の後継者だと考えていたマルコ・ファン・バステンが30歳に差しかかった時、「これからは中盤寄りにシフトしていくだろう」と予言していた。ファン・バステンは負傷のために30歳で引退してしまい、予言どおりにはならなかったが、そうしたプレースタイルの変化は自然なことなのだろう。
メッシの“守備軽減”へ、極端なほど周囲が気を遣っている
メッシがプレーエリアを下げたことで生まれる前線の空白には、ビダルが後方から走り込んでいた。メッシからのパスを見事なワンタッチシュートで得点も決めている。30メートルのスプリントを繰り返せるビダルのバイタリティー、スペースに飛び込むセンスと空中戦やボレーで無理の利く身体能力が発揮されていた。
一方、メッシの守備軽減に関しては極端なぐらい周囲が気を遣っている。
右サイドを守らなければならない場面ではビダルが2人分をこなすか、足りない時はセンターフォワードのスアレスが右へ流れて守っていた。メッシは我関せず。スアレスはわざわざポジションを入れ替えてまでメッシのために守り、ビダルは前線に飛び出した後でも平気な顔で戻ってくる。メッシは一番負担の軽い場所を選んで移動する。
メッシは守備意識の低い選手ではない。本気で奪いに行った時の守備力は相当なものだ。決して守れない選手ではないのだが、チームの方針としてメッシには守らせない。形は違えども、これまでもほぼそうしてきた。今季は極端な気もするが、メッシの年齢(32歳)を考えれば従来以上に負担を軽減したほうがいいのだろう。
おそらく、これでバルサの戦闘態勢は整ったと思う。ただ、メッシとビダルがセットになればインテリオールの席は一つ埋まってしまうので、残り一つをデ・ヨング、アルトゥール、イバン・ラキティッチが争うことになり、カンテラ(下部組織)出身の有望株だったカルレス・アレーニャには移籍の噂が出てきている。実現すれば、カンテラーノ(下部組織出身者)はまたチームに残れない。
戦い方はメッシ仕様に特化し、育てたカンテラーノは定着できず……。今はそれでもいいとしても、メッシ引退後のリバウンドが心配になるぐらい、バルサは「FCメッシ化」してしまった。避けられないこととはいえ、一蓮托生の度合いはこれまで以上になっている。
バルセロナがようやく本格的に“開幕”した感があった。リーガ・エスパニョーラ第11節でバジャドリードに5-1と大勝。調整が遅れていたリオネル・メッシも2ゴール2アシストと、本調子に戻ったようだ。
バルサはメッシとともに生きていかなければならない。シャビやアンドレス・イニエスタがいた頃はまだそうでもなかったが、現在のバルサはメッシがいるといないでは違うチームだ。その意味で、バルサは「FCメッシ」になってしまっている。
サッカーはチームゲームではあるけれども、あれほど巨大な才能を前にするとそうなってしまうのは仕方がない。アルフレッド・ディ・ステファノ、ヨハン・クライフ、ディエゴ・マラドーナを擁したチームもそうだった。
バルサの監督は、いかにメッシと共存するかに腐心してきた。エルネスト・バルベルデ監督は昨季、ついに4-4-2に手を出している。メッシを右のハーフスペース(ピッチを縦に5等分し両端と中央の間にあるエリア)付近で前を向かせること、守備負担を与えないこと、メッシの使用上の注意は主にこの二つだ。過去には“偽9番”、“偽7番”が使われたが、バルベルデは最もシンプルな解である4-4-2を使った。ただ、4-4-2はバルサの教義では異端と言っていい。
今季、バルベルデ監督は4-3-3に戻している。そして第11節で、メッシとの新しい共存のあり方を見つけた。
メッシ、ルイス・スアレス、アンス・ファティの3トップ、メッシは右ウイングである。MFはピボーテ(ボランチ)にセルヒオ・ブスケッツ、インテリオール(インサイドハーフ)左にフレンキー・デ・ヨング、右にアルトゥーロ・ビダル。メッシとビダルの関係性が新しい共存のカギだ。
メッシは例によって主に右のハーフスペースから発進するが、プレースタイルは少し変化している。以前ならドリブルでカットインしていく場面でも、パスで味方を使うことが多くなった。独力で数人をかわしてゴールを重ねてきたスーパースターでも、30歳を超えればスタイルは変化する。ペレ、クライフ、マラドーナもそうだった。
クライフは自分の後継者だと考えていたマルコ・ファン・バステンが30歳に差しかかった時、「これからは中盤寄りにシフトしていくだろう」と予言していた。ファン・バステンは負傷のために30歳で引退してしまい、予言どおりにはならなかったが、そうしたプレースタイルの変化は自然なことなのだろう。
メッシの“守備軽減”へ、極端なほど周囲が気を遣っている
メッシがプレーエリアを下げたことで生まれる前線の空白には、ビダルが後方から走り込んでいた。メッシからのパスを見事なワンタッチシュートで得点も決めている。30メートルのスプリントを繰り返せるビダルのバイタリティー、スペースに飛び込むセンスと空中戦やボレーで無理の利く身体能力が発揮されていた。
一方、メッシの守備軽減に関しては極端なぐらい周囲が気を遣っている。
右サイドを守らなければならない場面ではビダルが2人分をこなすか、足りない時はセンターフォワードのスアレスが右へ流れて守っていた。メッシは我関せず。スアレスはわざわざポジションを入れ替えてまでメッシのために守り、ビダルは前線に飛び出した後でも平気な顔で戻ってくる。メッシは一番負担の軽い場所を選んで移動する。
メッシは守備意識の低い選手ではない。本気で奪いに行った時の守備力は相当なものだ。決して守れない選手ではないのだが、チームの方針としてメッシには守らせない。形は違えども、これまでもほぼそうしてきた。今季は極端な気もするが、メッシの年齢(32歳)を考えれば従来以上に負担を軽減したほうがいいのだろう。
おそらく、これでバルサの戦闘態勢は整ったと思う。ただ、メッシとビダルがセットになればインテリオールの席は一つ埋まってしまうので、残り一つをデ・ヨング、アルトゥール、イバン・ラキティッチが争うことになり、カンテラ(下部組織)出身の有望株だったカルレス・アレーニャには移籍の噂が出てきている。実現すれば、カンテラーノ(下部組織出身者)はまたチームに残れない。
戦い方はメッシ仕様に特化し、育てたカンテラーノは定着できず……。今はそれでもいいとしても、メッシ引退後のリバウンドが心配になるぐらい、バルサは「FCメッシ化」してしまった。避けられないこととはいえ、一蓮托生の度合いはこれまで以上になっている。
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