2017年10月29日
日本は勝てるのか。W杯欧州予選1位通過の「伏兵国」はこんなに強い
出場「13」枠を巡るワールドカップ欧州予選は第1ラウンドの全日程が終了し、各グループの首位となった9チームがロシア行きの切符を手にした。続く第2ラウンドでは、各グループ2位のなかの最下位となったスロバキアをのぞく計8チーム(スウェーデン、スイス、北アイルランド、アイルランド、デンマーク、イタリア、ギリシャ、クロアチア)によるプレーオフが11月9日〜11月14日にホーム&アウェーで行なわれる予定だが、今回は見事に首位通過を果たした9チームの顔ぶれを確認しておきたい。
まず、順当に本大会出場を決めたのは、フランス、ポルトガル、ドイツ、イングランド、スペイン、ベルギーの強豪6ヵ国。いわゆる「ヨーロッパの第1グループ」とされる強者たちだが、なかでもドイツ、イングランド、スペイン、ベルギーの4ヵ国はいずれも無敗で首位通過。圧倒的な強さを見せた一方で、昨年のユーロ2016優勝国ポルトガルと準優勝国のフランスは予想外の苦戦を強いられ、ようやく最終節で本大会出場を決める格好となった。
一方、首位通過を果たした残り3ヵ国のアイスランド、ポーランド、セルビアは、W杯優勝を狙うには厳しいものの、いずれも旋風を起こす可能性を十分に秘めたダークホース的存在。日本ではあまり馴染みのない国かもしれないが、対戦するとなると実にやっかいな注目のチームが揃った印象だ。
とりわけ今回の予選突破で世界を驚かせたのが、近年急激な成長を遂げているアイスランドだ。アイスランドと言えば、昨年フランスで開催されたユーロ2016においても初出場でベスト8進出という快挙を成し遂げたことで世界の注目を浴びたばかりだが、その勢いは今回のW杯予選でも続き、クロアチア、ウクライナ、トルコといった強豪を押さえて見事にグループ首位通過。悲願のW杯初出場を手中にしたことで、ユーロでの躍進がフロックではなかったことを証明してみせた。
チーム最大の特長は、選手全員の並外れたハードワークをベースとした組織的な守備と、シンプルな攻撃。速攻時は1本のロングパスでディフェンダーの背後を突き、遅攻時にはサイドからクロスを入れてゴール前で仕留めるかたちは実に効率的だ。しかもコーナーキックとロングスローからの得点パターンも豊富なので、自分たちのリズムではない時間帯においても得点できるという強みもある。
今予選でタレント軍団クロアチアを上回るグループトップの16得点をマークしたことからもわかるように、アイスランドを単なる堅守速攻のチームとして見てしまうと、そこには落とし穴が待っている。基本システムが4−4−2から4−2−3−1に変化した点も含め、これがユーロ2016時からもっとも進化している部分だ。
そのチームの中軸を担っているのが、トップ下でプレーする10番MFギルフィ・シグルズソン(エバートン)とキャプテンのMFアーロン・グンナルソン(カーディフ・シティ)のふたりだ。シグルズソンはアイスランドサッカー界の英雄エイドゥル・グジョンセンの後継者とも言える同国のスター選手。テクニック、戦術眼、精度の高いフリーキックを武器に、ほとんどの得点に絡むなどチームに不可欠な駒となっている。
一方、立派な顎ひげがトレードマークのグンナルソンはボランチの一角としてプレーする「チームの舵取り役」。お馴染みのロングスローに注目が集まりがちだが、球際の強さや技術の高さに加え、文字どおり”不屈の精神”を前面に出したプレーぶりがチーム全体を鼓舞。精神的支柱にもなっている。
彼らを含めた多くの選手たちは、2007年に出場わずか8チームのユーロU−17本大会に出場を果たした黄金世代だ。アイスランドの約33万人という人口がW杯史上最少記録となったことが注目されがちだが、ヘイミル・ハルグリームソン監督率いるチームがロシアでグループリーグ突破を果たしても何ら不思議ではない実力者であることは覚えておきたい。
同じく、ユーロ2016でベスト8に進出するなど近年目覚ましい成績を収めているポーランドは、W杯でもベスト8進出を虎視眈々と目論む「強い伏兵」だ。今予選で強力なライバルが存在しなかったのは確かだが、2位デンマークに勝ち点5ポイント差をつけての首位通過は文句なしの成績。最新FIFAランキング(9月14日発表)で6位に位置するのもうなずける。
躍進の最大のバックボーンになっているのは、ご存知エースストライカーのFWロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン)の存在だ。今回の欧州W杯予選で1大会における歴代最多記録となる16ゴールを記録するなど、このワールドクラスなくしてポーランドの躍進は語れない。
ただし、彼のワンマンチームかと言えば、実はそうではないのが強さの秘密でもある。特にGKヴォイチェフ・シュチェスニー(ユベントス)、DFカミル・グリク(モナコ)、MFグジェゴシュ・クリホヴィアク(WBA)、そしてFWレヴァンドフスキで形成するセンターラインはヨーロッパ屈指のレベル。これに右SBウカシュ・ピシュチェク(ドルトムント)、MFヤクブ・ブワシュチコフスキ(ヴォルフスブルク)、MFカミル・グロシツキ(ハル・シティ)、FWアルカディウシュ・ミリク(ナポリ)らを加えたレギュラー陣は間違いなく世界トップ10クラスだ。
ポーランドがW杯に出場するのは3大会ぶり通算8回目になるが、2002年と2006年に連続出場を果たしながらグループリーグで散った当時と比べると、その強さは別格。かつて1970年代から1980年代にかけて黄金時代を形成した古豪がロシアで旋風を巻き起こす可能性は高いと言えるだろう。
一方、2大会ぶり通算2回目の本大会出場を果たしたセルビアはFIFAランキング32位と、この3チームのなかでもっとも低いポジションに位置しているが、その実力は侮れない。それはアイルランド、ウェールズ、オーストリアと同じ激戦グループを勝ち抜いて首位通過を果たしたことでも実証済みだ。
チームの中心は、3−4−3システムの中盤のセンターでプレーするMFネマニャ・マティッチ(マンチェスター・ユナイテッド)だが、それ以外にもDFブラニスラフ・イバノビッチ(ゼニト)、DFアレクサンダル・コラロフ(ローマ)といったお馴染みのベテランをはじめ、多くの選手がヨーロッパの主要リーグでプレーしている。世代交代をしながらもチームの底上げはできており、これから上昇気流に乗る可能性を感じさせるチームだ。
確かにかつての旧ユーゴスラビア時代と比べるとタレントが減少し、サッカーもテクニックよりパワーを主体にしたスタイルに変化はしている。だが逆に言えば、現在ヨーロッパ第3グループに低迷しているなかでW杯の舞台に這い上がってきたあたりはさすがだ。初戦に敗れると急に淡白になってしまう伝統がある一方で、勢いに乗ると別のチームに変貌するだけに、本大会でもグループリーグ初戦に勝つことができれば、目標のグループリーグ突破の可能性は十分にあるだろう。
いずれにしても、この3チームが12月1日の組み合わせ抽選でどのグループに入るかは、大会全体を展望するうえでも注目ポイントとなることは間違いない。
まず、順当に本大会出場を決めたのは、フランス、ポルトガル、ドイツ、イングランド、スペイン、ベルギーの強豪6ヵ国。いわゆる「ヨーロッパの第1グループ」とされる強者たちだが、なかでもドイツ、イングランド、スペイン、ベルギーの4ヵ国はいずれも無敗で首位通過。圧倒的な強さを見せた一方で、昨年のユーロ2016優勝国ポルトガルと準優勝国のフランスは予想外の苦戦を強いられ、ようやく最終節で本大会出場を決める格好となった。
一方、首位通過を果たした残り3ヵ国のアイスランド、ポーランド、セルビアは、W杯優勝を狙うには厳しいものの、いずれも旋風を起こす可能性を十分に秘めたダークホース的存在。日本ではあまり馴染みのない国かもしれないが、対戦するとなると実にやっかいな注目のチームが揃った印象だ。
とりわけ今回の予選突破で世界を驚かせたのが、近年急激な成長を遂げているアイスランドだ。アイスランドと言えば、昨年フランスで開催されたユーロ2016においても初出場でベスト8進出という快挙を成し遂げたことで世界の注目を浴びたばかりだが、その勢いは今回のW杯予選でも続き、クロアチア、ウクライナ、トルコといった強豪を押さえて見事にグループ首位通過。悲願のW杯初出場を手中にしたことで、ユーロでの躍進がフロックではなかったことを証明してみせた。
チーム最大の特長は、選手全員の並外れたハードワークをベースとした組織的な守備と、シンプルな攻撃。速攻時は1本のロングパスでディフェンダーの背後を突き、遅攻時にはサイドからクロスを入れてゴール前で仕留めるかたちは実に効率的だ。しかもコーナーキックとロングスローからの得点パターンも豊富なので、自分たちのリズムではない時間帯においても得点できるという強みもある。
今予選でタレント軍団クロアチアを上回るグループトップの16得点をマークしたことからもわかるように、アイスランドを単なる堅守速攻のチームとして見てしまうと、そこには落とし穴が待っている。基本システムが4−4−2から4−2−3−1に変化した点も含め、これがユーロ2016時からもっとも進化している部分だ。
そのチームの中軸を担っているのが、トップ下でプレーする10番MFギルフィ・シグルズソン(エバートン)とキャプテンのMFアーロン・グンナルソン(カーディフ・シティ)のふたりだ。シグルズソンはアイスランドサッカー界の英雄エイドゥル・グジョンセンの後継者とも言える同国のスター選手。テクニック、戦術眼、精度の高いフリーキックを武器に、ほとんどの得点に絡むなどチームに不可欠な駒となっている。
一方、立派な顎ひげがトレードマークのグンナルソンはボランチの一角としてプレーする「チームの舵取り役」。お馴染みのロングスローに注目が集まりがちだが、球際の強さや技術の高さに加え、文字どおり”不屈の精神”を前面に出したプレーぶりがチーム全体を鼓舞。精神的支柱にもなっている。
彼らを含めた多くの選手たちは、2007年に出場わずか8チームのユーロU−17本大会に出場を果たした黄金世代だ。アイスランドの約33万人という人口がW杯史上最少記録となったことが注目されがちだが、ヘイミル・ハルグリームソン監督率いるチームがロシアでグループリーグ突破を果たしても何ら不思議ではない実力者であることは覚えておきたい。
同じく、ユーロ2016でベスト8に進出するなど近年目覚ましい成績を収めているポーランドは、W杯でもベスト8進出を虎視眈々と目論む「強い伏兵」だ。今予選で強力なライバルが存在しなかったのは確かだが、2位デンマークに勝ち点5ポイント差をつけての首位通過は文句なしの成績。最新FIFAランキング(9月14日発表)で6位に位置するのもうなずける。
躍進の最大のバックボーンになっているのは、ご存知エースストライカーのFWロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン)の存在だ。今回の欧州W杯予選で1大会における歴代最多記録となる16ゴールを記録するなど、このワールドクラスなくしてポーランドの躍進は語れない。
ただし、彼のワンマンチームかと言えば、実はそうではないのが強さの秘密でもある。特にGKヴォイチェフ・シュチェスニー(ユベントス)、DFカミル・グリク(モナコ)、MFグジェゴシュ・クリホヴィアク(WBA)、そしてFWレヴァンドフスキで形成するセンターラインはヨーロッパ屈指のレベル。これに右SBウカシュ・ピシュチェク(ドルトムント)、MFヤクブ・ブワシュチコフスキ(ヴォルフスブルク)、MFカミル・グロシツキ(ハル・シティ)、FWアルカディウシュ・ミリク(ナポリ)らを加えたレギュラー陣は間違いなく世界トップ10クラスだ。
ポーランドがW杯に出場するのは3大会ぶり通算8回目になるが、2002年と2006年に連続出場を果たしながらグループリーグで散った当時と比べると、その強さは別格。かつて1970年代から1980年代にかけて黄金時代を形成した古豪がロシアで旋風を巻き起こす可能性は高いと言えるだろう。
一方、2大会ぶり通算2回目の本大会出場を果たしたセルビアはFIFAランキング32位と、この3チームのなかでもっとも低いポジションに位置しているが、その実力は侮れない。それはアイルランド、ウェールズ、オーストリアと同じ激戦グループを勝ち抜いて首位通過を果たしたことでも実証済みだ。
チームの中心は、3−4−3システムの中盤のセンターでプレーするMFネマニャ・マティッチ(マンチェスター・ユナイテッド)だが、それ以外にもDFブラニスラフ・イバノビッチ(ゼニト)、DFアレクサンダル・コラロフ(ローマ)といったお馴染みのベテランをはじめ、多くの選手がヨーロッパの主要リーグでプレーしている。世代交代をしながらもチームの底上げはできており、これから上昇気流に乗る可能性を感じさせるチームだ。
確かにかつての旧ユーゴスラビア時代と比べるとタレントが減少し、サッカーもテクニックよりパワーを主体にしたスタイルに変化はしている。だが逆に言えば、現在ヨーロッパ第3グループに低迷しているなかでW杯の舞台に這い上がってきたあたりはさすがだ。初戦に敗れると急に淡白になってしまう伝統がある一方で、勢いに乗ると別のチームに変貌するだけに、本大会でもグループリーグ初戦に勝つことができれば、目標のグループリーグ突破の可能性は十分にあるだろう。
いずれにしても、この3チームが12月1日の組み合わせ抽選でどのグループに入るかは、大会全体を展望するうえでも注目ポイントとなることは間違いない。
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