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2017年07月07日

グアルディオラ監督のイメージとシティの経済力

移籍交渉の切り札として、多くのクラブがレジェンドの影響力を利用する。かつてマンチェスター・ユナイテッドは、トッテナム・ホットスパーに所属していた当時のガレス・ベイル(現レアル・マドリー)を口説き落とすため、同じウェールズ人のライアン・ギグスに白羽の矢を立てた経緯がある。試合出場数の確約にこだわったベイルに、サー・アレックス・ファーガソン監督(当時)が激怒。ギグスの交渉手腕は試されなかったものの、ベイルの心が揺れたとしても不思議ではない状況だった。
また、リバプールで一世を風靡したスティーブン・ジェラードも、「クラブが獲得を希望した選手とコンタクトを図ったことがある」と自伝のなかで明らかにしている。こうした試みは伝統、強豪ならではの強みだ。
だからこそマンチェスター・シティは、ジョゼップ・グアルディオラを監督に招聘したのだろう。昨シーズンはラヒム・スターリング、レロイ・ザネ、ジョン・ストーンズ、カブリエル・ジェズスを獲得し、この夏もダビド・シルバの後継者ともいうべきベルナウド・シウバを補強している。仮にマヌエル・ペレグリーニ体制が続いていたら、スター候補性がシティに興味を示していたとは思えない。


『アブダビ・ユナイテッド・グループ』が買収した2008年以降、シティの強化はスムーズに進まなかった。新興勢力を嫌う旧態依然としたヨーロッパサッカー界の風潮も災いし、移籍市場ではうまく立ちまわれなかった。ヨーロッパにおける実績が皆無であり、現役に影響力を及ぼすようなレジェンドも存在しないのだから、致し方ない。ヤヤ・トゥーレも、「ユナイテッドやリバプールのような格式、ブランドイメージを確立するには、まだまだ時間がかかる」とこぼしていた。
しかし、バルセロナとバイエルン・ミュンヘンに数多くの栄冠をもたらしたグアルディオラ監督であれば、交渉の切り札として、イメージ戦略としてもうってつけの存在だ。本人は「バルサやバイエルンに迷惑をかけるようなことはしない」と語っているものの、選手側が慕ってくれば、話は別だ。ここにシティの経済力が加味されると、交渉は速やかに締結を迎える公算が大きくなる。
グアルディオラ体制の発足により、シティは移籍市場でそれなりのアドバンテージを握れるようになってきた。この夏も積極的に動くに違いない。スパーズのカイル・ウォーカー、バイエルンのヨシュア・キミッヒ、ユベントスのダニ・アウベス……。彼らを獲得すべく、グアルディオラ監督が交渉のテーブルにつく可能性は十分にある。
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