2014年09月21日
「限界に挑戦」湘南に脈打つ指揮官の哲学
「頂上に最短コースで行くことに価値がある」
「常に自分たちの限界に挑戦し続けることが大事」と語る指揮官の哲学は、湘南のフットボールそのものだ
試合当日、キックオフの3時間くらい前に開くミーティングを大切にしているという。話の最中に下を向いている選手はいない。みんなが顔を上げ、監督の言葉にじっと耳を傾けている。そこでは戦術の話も、過剰にモチベーションを高めることもしない。先日は富士山への登り方を引き合いに出して、自分たちの進む道を再確認させている。
「富士山には頂上までのルートが4つある。1つは最も平坦な道のり、2つ目は休みながら行ける、3つ目は景色がすごくいい。ただ、この3つはどれも時間がかかる。4つ目は岩場が多く、危険を伴うが、最短で行ける。さて、どれを選ぶか。自分たちは4つ目を行くんだと。周りの景色を見ながら行くんじゃない。優勝という頂上に最短コースで行くことに価値があるんじゃないかと」
今季はチョウ監督が指摘する前に、選手たち自身がある程度、問題点を整理できているという。ただ言われたことだけをやり続ける思考停止とは違う。自らの頭で考え、行動する習慣が備わりつつある。湘南がピッチ上に生み出すカオスに秩序が伴ってきた理由かもしれない。
「自分の判断で球を失えば、なぜミスをしたか考えなければならない。いったい、どうすべきだったのか。自分で答えを探すのが自立だと思う。監督の指示ではなく、選手1人ひとりが自分で判断できるようになれば、いろいろな形から点が取れるし、相手はこちらの企図(きと)を読めなくなる。僕はそういうチームになってもらいたいと思っている」
いつ、どこで、誰が、何を、どのように、仕掛けてくるか。選手たちの強い意志を伴ったカオスは、より一層スケールアップしそうな予感に満ちている。「自分たちは強くなったと思ったら、そこで成長が止まってしまう。常に自分たちの限界に挑戦し続けることが大事」と、チョウ監督は言う。止まらない、終わらない、あきらめない。チームに脈打つ指揮官の哲学は、まさしくピッチ上で展開される湘南のフットボールそのものだ。
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