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2014年06月06日

ミスが響いたアトレティコの残酷な結末A


クラックの力で勝利をもぎ取ったレアル・マドリー


決勝ではミスがあったものの、アトレティコ・マドリーが素晴らしいシーズンを過ごしたことに変わりない。シメオネは困難を乗り越えるべく新たな仕事に取り掛かることだろう




 優勝したレアル・マドリーは奇妙なチームだった。決勝の彼らはチームとしてのバランスや完成度の高さを示した訳ではなく、ベイルやクリスティアーノ・ロナウド、ラモス、ディ・マリアといった単独で試合を決められるクラック(名手)たちの攻撃力に頼ることで勝利をもぎ取ったからだ。

 今季のレアル・マドリーはシーズンを通してディフェンスラインの守備が安定せず、フォーメーションも変わりがちで、中盤から前線へのパスの供給はたびたび途切れ、イスコのような組み立て役が不在のまま個人技任せの攻撃を繰り返すことも多かった。そしてこれまでビッグゲームでは必ず決定的な役割を果たしてきたカシージャスまでもが、決勝では不安定なプレーに終始していた。

 長期離脱明けのサミ・ケディラを決勝で先発起用したことは、カルロ・アンチェロッティ監督に迷いが生じていたことをよく表している。彼はプレーの構築よりグループやロッカールームのマネジメント術に長ける監督ではあるが、勝つためにはパーフェクトな試合を全うし、かつ多少の幸運にも恵まれなければならないことをよく知っている監督でもあった。

 アトレティコはうまくレアル・マドリーをコントロールしていたが、このような相手に対してはさ細なミスでさえも大きな代償となるものだ。相手のミスを利用するスペシャリストであるレアル・マドリーは、最終的に4−1でも物足りないくらいの印象を与えるほどにアトレティコを圧倒した。だがそのうちの3ゴールは相手が力つきた延長戦に入ってから生まれたものであり、攻め手を見いだせぬまま過ごした90分の間に決めることはできなかった。


シメオネはまた新たな仕事に取り掛かる
 これだけ偉大なクラックたちを擁しているにも関わらず、悲願のタイトルを手にする過程で確固たる強さを印象づけることができなかったという意味で、レアル・マドリーは不思議なチャンピオンだった。だが今回の決勝が示した通り、フットボールにおいてはそういった要素が常に重要性を持つとは限らない。もちろんそれは、勝つために必要ないくつかの要素を兼ね備えていればの話である。

 コパデルレイは準決勝で、CLでは決勝の終了2分前に喫した失点によって同じ町のライバルに敗れたものの、2つのモンスタークラブ(レアル・、マドリーとバルセロナ)を抑えてリーガ・エスパニョーラを制したアトレティコの今季はエクセレントなシーズンだったと言える。

 だが、またしても“ロス・コルチョネロス(アトレティコの愛称)”はフットボールから残酷な仕打ちを受けた。シーズンを通して素晴らしい戦いを見せてきた彼らにとって、このような結末は相応しいものではなかった。しかも今季は終了間際の失点に泣いたバイエルン・ミュンヘンとのチャンピオンズカップ決勝からちょうど40年目のシーズンだった。歴史は当時と極めてよく似た形で繰り返されたのである。

 とはいえ、すべてが偶然だったわけではない。シメオネは必ずやリスボンでの敗因を分析、修正し、また1つ困難を乗り越えるべく新たな仕事に取り掛かることだろう。
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