2018年06月14日
《その402》マルチスレッド と mutexクラス
マルチスレッド と mutexクラス
例えば、スレッド th1 での cout による画面出力のコードを比較してみると、
前回《401》のプログラムでは、
cout << "th1 ・・・" + to_string(i + 1) + "回目\n";
となっていますから、一つにまとめられた文字列を一気に出力しています。
一方、今回は、、
cout << "th1 ・・・" << i + 1 << "回目\n";
と、"th1 ・・・", i + 1, "回目\n" の3回に分けて出力しています。
そのため、本来、この3回の出力は連続して実行されるべきなのに、
非同期並列処理では相手のスレッドの状況が考慮されないため、スレッド th2 からの出力が途中に割り込んでしまう可能性があります。
今回の例でも、実際、割り込みが起きて出力が乱れています。
cout は、2つのスレッドから同時に書き込まれることを想定していないのです。
次のプログラムの出力結果は、そのことを示しています。
以下は、プログラムと出力結果です。
#include <iostream>
#include <thread>
#include <string>
using namespace std;
int main() {
thread th1 = thread([] {
for (int i = 0; i < 6; i++) {
cout << "th1 ・・・"
<< i + 1 << "回目\n";
}
});
thread th2 = thread([] {
for (int i = 0; i < 6; i++) {
cout << "th21 ・・・"
<< i + 1 << "回目\n";
}
});
th1.join();
th2.join();
}
mutexクラスを用いて、この問題を解決することができます。
複数のスレッドから同じリソースを利用する際に、mutex の lock関数をを使うことでリソースの使用を制限することができます。
今回の例のような cout による文字出力で生じる問題を解決する手段の一つとして、
次のようにして cout を必要な期間だけ排他にします。
・mutexクラスオブジェクト mtx を作成します(オブジェクト名は任意)。
・lock関数で、一定期間 cout を排他にします。
mtx.lock();
cout << "th1 ・・・" << i + 1 << "回目\n";
・unlock関数で、ロックを解除します。
mtx.unlock();
このようにすることで、他のスレッドから邪魔されることなく、一連の出力を行うことが可能になります。
以下は、プログラムと出力結果です。
#include <iostream>
#include <thread>
#include <string>
#include <mutex>
using namespace std;
mutex mtx;
int main() {
thread th1 = thread([] {
for (int i = 0; i < 6; i++) {
mtx.lock();
cout << "th1 ・・・"
<< i + 1 << "回目\n";
mtx.unlock();
}
});
thread th2 = thread([] {
for (int i = 0; i < 6; i++) {
mtx.lock();
cout << "th2 ・・・"
<< i + 1 << "回目\n";
mtx.unlock();
}
});
th1.join();
th2.join();
}
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