《その218》仮想派生: C++，C++/CX に挑戦！

2018年01月03日

《その218》仮想派生

仮想派生の例

　class A { ･･････ };
　class B : virtual public A { ･･････ };
　class C : virtual public A { ･･････ };
　class D : public B, public C { ･･････ };

　右上図は、上記のようなコードで仮想派生を行った場合のイメージ図です。図に示すように、派生クラス D は、仮想基底クラス型の部分オブジェクト A を１つしか含みません。

非仮想派生の例

　class A { ･･････ };
　class B : public A { ･･････ };
　class C : public A { ･･････ };
　class D : public B, public C{ ･･････ };

　非仮想派生（仮想派生無し）の場合、派生クラス D は、基底クラス部分オブジェクト A を２つ含みます。

　以下は、
　class A { ･･････ };
　class B : virtual public A { ･･････ };
　class C : virtual public A { ･･････ };
　class D : public B, public C { ･･････ };
のタイプの仮想派生を行うプログラム例です。
　基底クラス A のメンバは、データメンバ int v と、そのゲッタ，セッタ（このセッタは値の読み出しもできます）です。
B のメンバは、A のデータメンバ v を読み出す関数のみ、
また、C のメンバは、A のデータメンバ v に値をセットする関数（この関数は値の読み出しもできます）のみです。
そして、D は、この B と C を多重継承します（D の中ではメンバの定義はありません）。

// ------------------------------------
#include <iostream>

class A {
    int v;
protected:
    int val() const { return v; }
    int& val() { return v; }
    // 関数 val のオーバーロード
    //      戻り値の型だけで識別される関数は
    //      オーバーロードできないため、２つ
    //      の 関数 val の差は const の有無。

public:
    A() : v(0) { }
    // デフォルトコンストラクタは、v を 0 で
    //                          初期化します。
};


class B : virtual public A {
public:
    int get() const { return val(); }
    // 基底クラス A の
    //    関数 int val() const { return v; }
    //              をゲッタとして利用します。
};


class C : virtual public A {
public:
    int& set() { return val(); }
    // 基底クラス A の
    //         関数 int& val() { return v; }
    //              をセッタとして利用します。
};


class D : public B, public C { };


int main() {
    D d;
    // D型のクラスオブジェクト d を生成。

    std::cout << d.get() << '\n';
    d.set() = 100;
    // 関数 set は、基底クラス A の関数
    //         int& set() { return val(); }
    //         を利用しているため、使い方が
    //         やや特殊です。

    std::cout << d.get() << '\n';
    d.set() = 999;
    std::cout << d.get() << '\n';
}
// ------------------------------------