2017年12月12日
《その174》 『 is-a 』の関係
基底クラスを指すポインタは、派生クラスを指すことができます。また、基底クラスへの参照は、派生クラスを参照できます。このことを、下のプログラムで確認してみます。
◆ クラス Aaa を基底クラスとして、public派生により 派生クラス Bbb を作ります。
最初に、下のプログラムの説明を書きます。
【基底クラス Aaa について】
非公開データメンバ int a,公開メンバである コンストラクタ Aaa,公開メンバ関数であるゲッタ get_a とセッタ set_a で構成されています。
コンストラクタ Aaa が、デフォルトコンストラクタとしてはたらく場合(引数無しで呼び出された場合)は、データメンバ a は 10 で初期化されます。
【派生クラス Bbb について】
クラス Aaa を親として、public派生により 作成される子クラスです。
コンストラクタ Bbb が、デフォルトコンストラクタとしてはたらく場合は、データメンバ a は 30 で初期化されます。
【関数 twice について】
Aaa型クラスオブジェクトへの参照を受け取り、データメンバ a の値を2倍します。
基底クラスへの参照は、派生クラスのオブジェクトを参照することができます。
関数 twice は、Aaa型クラスオブジェクトへの参照を受け取る仕様(プログラムの★1)であるにもかかわらず、実際に関数としてはたらく際には、Bbb型クラスオブジェクトへの参照を受け取る(プログラムの★2)こともできる点に注目してください。
【その他】
基底クラスのメンバ関数型のポインタ(プログラムの★3)は、派生クラスオブジェクトのメンバ関数を指すことができます(プログラムの★4)。
基底クラスオブジェクト型のポインタ(プログラムの★5)は、派生クラスのオブジェクトを指すことができます(プログラムの★6)。
『 is-a 』の関係
今回のプログラムの例では、基底クラス Aaa への参照は、派生クラス Bbb を参照できました。また、Aaa へのポインタは、Bbb を指すことができました。
このことから、
「Bbb は Aaa の一種である。」
「Bbb is a Aaa.」 (*。・ ・。* ) an? Aaa.
と表現することもできる、ということから、このような関係を『 is-a 』と呼ぶことがあります。
// ------------------------------------
#include <iostream>
using namespace std;
class Aaa { // ◆基底クラス
int a;
public:
Aaa(int n = 10)
: a(n) { }
int get_a() const { return a; }
void set_a(int n) { a = n; }
};
class Bbb : public Aaa { // ◆派生クラス
int b;
public:
Bbb(int n = 30)
: Aaa(n), b(99) { }
int get_b() const { return b; }
};
void twice(Aaa& x) { /* ★1 */
int n = x.get_a();
x.set_a(2 * n);
}
int main() {
Aaa a1;
Bbb b1;
cout << a1.get_a() << '\n';
cout << b1.get_a() << '\n';
twice(a1);
twice(b1); /* ★2 */
cout << a1.get_a() << '\n';
cout << b1.get_a() << '\n';
int (Aaa::*ptr)()const; /* ★3 */
// クラス Aaa のメンバ関数へのポインタ ptr の宣言
ptr = &Aaa::get_a;
// ポインタ ptr がメンバ関数 get_a を指すように設定
cout << (b1.*ptr)() << '\n'; /* ★4 */
Aaa* ptr2; /* ★5 */
// Aaa*型のポインタ ptr2 の宣言
ptr2 = &b1;
// ポインタ ptr2 がメンバオブジェクト b1 を
// 指すように設定
cout << (*ptr2).get_a() << '\n'; /* ★6 */
}
// ------------------------------------
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