2020年09月03日
長老支配、派閥均衡…高齢「菅内閣」誕生前に浮かぶ、数々の懸念
マネー現代
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75353
2019年秋に小林史明衆議院議員が党の青年局長に就任すると、オンライン会議の導入を一気に進めた。小林議員は当選3回の37歳。上智大学理工学部卒業後、NTTドコモに務めた経験を持つ。
世の中で進むDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を、もっとも遅れている組織の代表格と思われる自民党に持ち込んだ。昨年来、会議にオンラインでの参加も取り入れてきたが、新型コロナウイルスの蔓延がオンライン化の背中を押した。
自民党は全国に地方組織を持ち、「青年局」も置かれている。党組織はピラミッド構造で、支部から県連、そして党中央へと意見が集約されていくのが伝統的な組織のあり方だった。
ところがオンライン会議の導入などDX化は組織のあり方も変える。「オンライン会議になって、党中央の青年局長と直接話ができるようになった」と地方議員を務める若手などは目を見張った。いわば、フラットな組織に変わる大きなきっかけになったのだ。DXをきっかけに、自民党組織が大きく変わるのではないか、そんな予感を抱かせた。
いつか見た派閥の論理
ところが1週間後、予期せぬ事態が起きる。安倍首相が突如、辞意を表明すると、かつての長老支配、派閥支配を彷彿とさせる動きが党内に広がったのである。
フラットな組織への転換を進めようとしていた小林議員ら青年局所属の議員が、全国の党員で投票を行うフルスペック(完全な形)での総裁選を求めたのは当然の流れだった。だが、そうした声は「派閥の論理」にかき消されていく。
9月1日に開いた党の総務会では、小林議員や小泉進次郎環境相などが「フルスペック」の総裁選を求める声を挙げたが、「結局はガス抜き」(ベテランの総務会メンバー)に終わり、党員投票を省略し、両院議員総会で新総裁を選ぶことに満場一致で決した。
地方票のウェートが半分以下になる両院議員総会での選挙戦では、国会議員の票が決定的な力を持つ。
河野太郎・防衛相は最後の最後まで出馬にこだわったが、最後は所属派閥の領袖である麻生太郎・副総理兼財務省に、「ならば、派閥から出ていけ」と恫喝されて出馬を取りやめたと噂される。
長老たちの春
派閥の長老が談合で次の総理を決める――。かつて見た光景だ。今回の菅後継の仕掛け人は二階俊博幹事長。
禅譲を期待した岸田文雄政調会長や地方組織の期待が高い石破茂・元幹事長ら前々からの有力候補を外し、一気に菅氏支持をとりまとめた。
「あんなに機嫌の良い二階さんは初めてみました」と二階氏に近いベテラン議員が言うほど、キングメーカーとなった自らに陶酔しているという。
菅総理・総裁が誕生すれば、大臣ポストなどは二階氏の同意なく任命できなくなるに違いない。ご本人が希望するという幹事長続投は、本決まりだと自民党議員の誰もが口をそろえる。
国民の間で人気のある河野氏を抑え込み、いち早く菅支持を打ち出した麻生氏は、さっそく、副総理兼財務相の留任が語られている。これも麻生氏本人の希望だという。
二階氏81歳、麻生氏79歳。そして菅氏は71歳である。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75353
2019年秋に小林史明衆議院議員が党の青年局長に就任すると、オンライン会議の導入を一気に進めた。小林議員は当選3回の37歳。上智大学理工学部卒業後、NTTドコモに務めた経験を持つ。
世の中で進むDX(デジタル・トランスフォーメーション)化を、もっとも遅れている組織の代表格と思われる自民党に持ち込んだ。昨年来、会議にオンラインでの参加も取り入れてきたが、新型コロナウイルスの蔓延がオンライン化の背中を押した。
自民党は全国に地方組織を持ち、「青年局」も置かれている。党組織はピラミッド構造で、支部から県連、そして党中央へと意見が集約されていくのが伝統的な組織のあり方だった。
ところがオンライン会議の導入などDX化は組織のあり方も変える。「オンライン会議になって、党中央の青年局長と直接話ができるようになった」と地方議員を務める若手などは目を見張った。いわば、フラットな組織に変わる大きなきっかけになったのだ。DXをきっかけに、自民党組織が大きく変わるのではないか、そんな予感を抱かせた。
いつか見た派閥の論理
ところが1週間後、予期せぬ事態が起きる。安倍首相が突如、辞意を表明すると、かつての長老支配、派閥支配を彷彿とさせる動きが党内に広がったのである。
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9月1日に開いた党の総務会では、小林議員や小泉進次郎環境相などが「フルスペック」の総裁選を求める声を挙げたが、「結局はガス抜き」(ベテランの総務会メンバー)に終わり、党員投票を省略し、両院議員総会で新総裁を選ぶことに満場一致で決した。
地方票のウェートが半分以下になる両院議員総会での選挙戦では、国会議員の票が決定的な力を持つ。
河野太郎・防衛相は最後の最後まで出馬にこだわったが、最後は所属派閥の領袖である麻生太郎・副総理兼財務省に、「ならば、派閥から出ていけ」と恫喝されて出馬を取りやめたと噂される。
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派閥の長老が談合で次の総理を決める――。かつて見た光景だ。今回の菅後継の仕掛け人は二階俊博幹事長。
禅譲を期待した岸田文雄政調会長や地方組織の期待が高い石破茂・元幹事長ら前々からの有力候補を外し、一気に菅氏支持をとりまとめた。
「あんなに機嫌の良い二階さんは初めてみました」と二階氏に近いベテラン議員が言うほど、キングメーカーとなった自らに陶酔しているという。
菅総理・総裁が誕生すれば、大臣ポストなどは二階氏の同意なく任命できなくなるに違いない。ご本人が希望するという幹事長続投は、本決まりだと自民党議員の誰もが口をそろえる。
国民の間で人気のある河野氏を抑え込み、いち早く菅支持を打ち出した麻生氏は、さっそく、副総理兼財務相の留任が語られている。これも麻生氏本人の希望だという。
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