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2022年06月05日

n.愚者【2022.6.5】ご破算で願いましては〜

愚者の正位置。

なーんにも縛られず阿呆になって過ごしなされ、と。「阿呆(あほう)」って響きに可愛げを感じるから割と好きだったりする。

図書館で借りてきた『タロットの歴史』でこのカードに対する記述を見るとやっぱり愚者は配列からはみ出した特殊な切り札でトランプでいうJOKERにあたるとのこと。はみ出したカードだから配列の前か最後尾に置かれることが多いけど、古代エジプト人の霊魂不滅の死生観を反映した”「審判」による裁きを受けて神の国への参入を認められなかったものがもう一度地上で人生をやり直す”という解釈の下でこのカードが「審判」と「世界」の間に置かれた時期もあったそう。ウェイト版で割り振られた「0」よりもそっちの配列の方が私は腑に落ちるなあ。そういえば犬の腹に描かれた砂時計が「審判」のカードで白い鳥に真っ二つにされるんだけど、その解釈だとすんなりと腑に落とせるなー。

「愚者」という名称が定着したのも現代に入ってからのことで、それまでは「狂人」や「こじき」が主流だったあたり社会構造の変化も反映されていて妙にリアリティを感じるというのも他のカードとはちょっと毛色が違う特殊なカードだと感じる。「狂人」とも呼ばれた中世ヨーロッパの精神薄弱者は護身のための棍棒を持たされていたらしく、愚者が持っている杖はその名残だったりするのかも。あと、マルセイユ版では愚者と死神の構図が似ているというのも意味深。いろいろと興味をそそられるカードですわ、ほんとに。

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