先の衆議院選挙を契機に「103万円の壁」を引き上げることが
世間の関心を呼んでいますね。
国民民主党が選挙で議席を4倍に増やし、国政に強い影響を
持つようになり、選挙公約で取り上げた「103万円の壁」の
見直しが注目を集めているのです。
国民民主党は、働き手の手取りを増やす目的で103万円の壁を
178万円に引き上げることを主張しているのですが、これにより
国の7〜8兆円の税収不足が発生し、その内地方自治体の税収は
約4兆円も減ると言われています。
政府与党と具体的な議論を始めているようですが、どのラインで
決着が着くのか注目されているようです。
ただ、働き手の手取りを増やすことを考えると、「103万円の壁」だけで
なく「106万円の壁」や「130万円の壁」も同時に見直さなければ
実際の手取り収入の増加に大きな効果は期待できないのも事実のようです。
というのは、「103万円の壁」の見直しによる減税効果より、社会保険料の
負担によって、手取りが返って減ってしまうことが懸念されているのです。
政府与党は「年収106万円の壁」については撤廃し、週20時間以上の
労働時間を超える場合のみを社会保険加入の条件に見直す方向で
検討しているようです。
ただ、この件に関しても疑問に思うのは、労働時間を20時間以内に
限定すること自体が妥当なのかということです。
選挙では最低賃金を増やすことも公言しており、労働時間を限定することが
理に適わいことは言うまでもないでしょう。
また、人手不足が深刻になりつつあるなかで、ますます「働き控え」を
助長する結果を生みかねないのではないでしょうか。
いずれにせよ、本質的な手取り収入を増やすなら、複雑に関連しあう
「年収の壁」を整理することが必要であり、そもそも、「年収の壁」
そのものが現代社会に相応しいのか、根本的な議論が必要なのではないかと
痛感している次第ですね。