新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
2018年08月23日
8月23日指標
昨夜の中古住宅販売件数は、事後差異がマイナスだったにも関わらず、直後1分足は小さな陽線で反応しました。但し、その後3分間は陰線側に振れ、それからヒゲを残して陽線側に転じたようです。ともあれ、たった数pipsの話ですから、やはり本指標への市場の関心は低いように思われます。
今回の指標結果は約2年半ぶりの低い水準でした。
本日は、16:30に独PMI速報値、23:00に米新築住宅販売件数が発表されます。
PMIの現時点での市場予想は、総合が55.2、製造業が56.5、サービス業が54.3で、事前差異は△1.6となっています。
指標発表直後の反応方向への影響力は製造業PMIが最も強く、その前月改定値は56.9でした。
指標発表後の反応程度は直後1分足の過去平均跳幅が10pipsです。但し、過去全体の63%は平均以下しか反応しません。最近の傾向は、事後差異や実態差異が大きくなっており、その結果、反応程度も以前よりも大きくなっています。
本指標の詳細分析はこちらです。
新築住宅販売件数の現時点での市場予想は、販売件数が64.3万件、前月比が+2.2%、事前差異は+1.2となっています。+2.2%という数字が高すぎるので、予想が修正されるかも知れません。
本指標が中古住宅販売件数に1・2か月先行するという話や、家具などの耐久財消費に繋がるという話は、FX取引上の意味がありません。
ただ、昨夜の中古住宅販売件数の結果を見ると、低価格帯住宅の販売数がかなり落ち込んでいます。これが金利上昇によるものならば、新築住宅販売も同様となる可能性が高いと思われます。低価格帯の方が數が多いのです。
指標結果の市場予想に対する良し悪しは、指標発表直後の反応方向と相関があるものの、その差は反応程度と相関がありません。過去の直後1分足跳幅は約90%が10pips未満に留まっています。しかも、指標発表から1分後と11分後を比較すると、反応を一方向に伸ばし続けていたことは31%しかありません。
本指標の詳細分析はこちらです。
今回の指標結果は約2年半ぶりの低い水準でした。
本日は、16:30に独PMI速報値、23:00に米新築住宅販売件数が発表されます。
PMIの現時点での市場予想は、総合が55.2、製造業が56.5、サービス業が54.3で、事前差異は△1.6となっています。
指標発表直後の反応方向への影響力は製造業PMIが最も強く、その前月改定値は56.9でした。
指標発表後の反応程度は直後1分足の過去平均跳幅が10pipsです。但し、過去全体の63%は平均以下しか反応しません。最近の傾向は、事後差異や実態差異が大きくなっており、その結果、反応程度も以前よりも大きくなっています。
本指標の詳細分析はこちらです。
新築住宅販売件数の現時点での市場予想は、販売件数が64.3万件、前月比が+2.2%、事前差異は+1.2となっています。+2.2%という数字が高すぎるので、予想が修正されるかも知れません。
本指標が中古住宅販売件数に1・2か月先行するという話や、家具などの耐久財消費に繋がるという話は、FX取引上の意味がありません。
ただ、昨夜の中古住宅販売件数の結果を見ると、低価格帯住宅の販売数がかなり落ち込んでいます。これが金利上昇によるものならば、新築住宅販売も同様となる可能性が高いと思われます。低価格帯の方が數が多いのです。
指標結果の市場予想に対する良し悪しは、指標発表直後の反応方向と相関があるものの、その差は反応程度と相関がありません。過去の直後1分足跳幅は約90%が10pips未満に留まっています。しかも、指標発表から1分後と11分後を比較すると、反応を一方向に伸ばし続けていたことは31%しかありません。
本指標の詳細分析はこちらです。
以上
2018年08月22日
2018年08月20日
2018年8月20日〜8月24日の主要経済指標の過去反応要点
2018年8月20日〜8月24日の主要経済指標の過去反応パターンを挙げておきます。
ここでは、いずれも現在の経済状況なんて関係なく、そのパターンを論じています。論拠はリンク先に詳述しているので、そちらもご参照ください。
8月20日(月)
注目指標無し
8月21日(火)
8月22日(水)
8月23日(木)
8月24日(金)
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
ここでは、いずれも現在の経済状況なんて関係なく、そのパターンを論じています。論拠はリンク先に詳述しているので、そちらもご参照ください。
8月20日(月)
注目指標無し
8月21日(火)
- 10:30 豪州(RBA)金融政策会合議事要旨公表
8月22日(水)
- 23:00 7月集計分米国中古住宅販売件数
本指標が新築住宅販売件数集計から1・2か月遅行している、という話は有名なものの、そんな現象は起きていません。そんなことより、2017年6月以降ほとんど反応しなくなっています。おそらく、好景気による慢性的な中古住宅の供給不足によって、多少の需要増減があっても市場が本指標の多少の変化に意味を見出せなくなりつつあるため、と推察されます。
8月23日(木)
- 03:00 FOMC議事要旨公表
- 16:30 8月集計分独国PMI速報値
指標発表直後の反応方向への影響力は、製造業PMIが最も強いようです。
指標発表後の反応程度は直後1分足の過去平均跳幅が10pipsと、平均的な反応程度です。但し、過去全体の63%は平均以下しか反応しません。最近の傾向は、事後差異や実態差異が大きくなっており、その結果、反応程度も以前よりも大きくなっています。 - 23:00 7月集計分米国新築住宅販売件数
本指標が中古住宅販売件数に1・2か月先行するという話や、家具などの耐久財消費に繋がるという話は、FX取引上の意味がありません。後者については、新築住宅契約から家具購入に至る時差が大きすぎて、その影響を見分けることなどできません。
指標結果の市場予想に対する良し悪しは、指標発表直後の反応方向と相関があるものの、その差は反応程度と相関がありません。過去の直後1分足跳幅は約90%が10pips未満に留まっています。しかも、指標発表から1分後と11分後を比較すると、反応を一方向に伸ばし続けていたことは31%しかありません。
8月24日(金)
- 21:30 7月集計分米国耐久財受注
前月比よりもコア前月比に注目すべき、という指標解説が散見されます。けれども、2015年以降に限れば、指標発表直後の反応方向への影響力は、僅かに前月比の方が大きくなっています。
前月比が△3%以下と+3%以上だった翌月に、そして、コア前月比が△0.5%以下と+0.9%以上だった翌月に、反動が起きています。けれども、本指標の市場予想はこの反動を見こしているため、残念ながらその反動がポジション方向の論拠になりません。論拠とすべきではありません。 - 23:00 FRB議長講演
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
2018年08月19日
独国景気指標「PMI速報値」発表前後のEURJPY反応分析
独国景気指標「PMI速報値」の指標発表前後の反応分析には、
@ 総合PMI速報値
(以下「総合PMI」と略記)
A 製造業PMI速報値
(以下「製造業PMI」と略記)
B サービス業PMI速報値
(以下「サービス業PMI」と略記)
を用います。
本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
その分析対象期間は、2015年1月集計分〜2018年7月集計分(同月発表分)の43回分を用いました。特徴を見いだす調査数としては十分でしょう。
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気先行指標として信頼できる、と言われています。そして、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、サービス業よりも先行性がある、と言われています。
では何で、企業購買部門に直接調査すると、企業セールス部門に直接調査するより正確なのかがわかりません。ちょっと調べてみたものの、その理由を記した資料は見つかりませんでした。
そして、製造業の購買担当部門の先行き見通しが、サービス業の購買担当部門のそれを先行しているかは、製造業PMIとサービス業PMIが同時発表される本指標の推移を見ればはっきりします。そんな関係はありゃしないのです。
なお、本指標発表時刻30分前には仏国PMI速報値が発表され、30分後には欧州PMI速報値が発表されます。
本来ならば、本指標も含めて30分毎に発表されるこれら指標を通して取引を行う方が望ましいはずです。とは言え、30分毎に3回の発表だと、お勤めの方は隙を見てちょちょっと取引という訳にもいきません。いずれ、30分毎の関連取引を続けて行うための準備や研究にも着手したい、と思います。
過去の改定値と市場予想と発表結果の推移を以下に示します。
まずは総合PMIの推移からです。
凸凹が目立つことと、改定値(赤)がズレることが多いことを覚えておきましょう。
これを製造業PMIと見比べてみます。
凸凹が少なりなってトレンドがはっきりし、改定値(赤)とズレたことが少ないことに気づきます。また、わかりやすい市場予想後追い型となっています。
そして、サービス業PMIを見てみましょう。
総合PMIの凸凹や改定値(黒)とのズレは、製造業PMIでなくサービス業PMIのせいだったことがわかります。
総合PMIと製造業PMIとサービス業PMIを、もっと見比べやすく同じグラフ上にプロットしたのが下図です。
製造業PMI(緑)の推移はサービス業PMIの推移(橙)を先行示唆などしていません。そして、総合PMI(青)は製造業PMIとサービス業PMIの中間値でも、それらの一定比率値でもないことがわかります。
分析には、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
複数の発表項目の影響力の軽重を把握し、見るべきポイントを絞り込むため、各発表項目と反応方向の関係を求めておきましょう。
まず、事前差異は、3✕製造業PMIの事前差異ー2✕サービス業PMIの事前差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は63%で、あまりアテになりません。
次に、事後差異は、2✕総合PMIの事後差異+3✕製造業PMIの事後差異+1✕サービス業PMIの事後差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は76%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しには素直に反応します。
そして、実態差異は、2✕製造業PMIの実態差異+1✕サービス業PMIの実態差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は73%です。発表結果の前回改定値に対する良し悪しに素直に反応しています。
下図は、事後差異(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)の分布です。
事後差異がプラスなら陽線で反応しがちですが、事後差異がマイナスなら陰線で反応するかどうかわかりません。そして、事後差異の大きさと陽線や陰線の大きさに相関はないようです。何がどうあれ反応が小さいことがわかります。
次に、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)の分布を下図に示します。
回帰線(赤線)の傾きはほぼ1で、平均的には反応が伸びません。赤線の上下のドット分布を見ると、直後1分足が陽線であれ陰線であれ、直後1分足終値よりも直後11分足終値が反応を伸ばすか否かはわかりません。
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
指標結果に最も素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で10pipsです。反応程度としては平均的な指標です。
分布は、平均値10pips以下しか跳ねなかったことが63%となっています。
次に、2015年以降の毎年の事後差異と実態差異の平均値の推移(上図)と、直後1分足と直後11分足の跳幅平均・値幅平均の推移(下図)を示します。
事後差異と実態差異の平均値は、2017年以降大きくなっています。その結果(かどうかわかりませんが)、最近の反応は大きくなっているように見えます。
さて、先に個別の事後差異と直後1分足の分布を調べた限りでは、事後差異の程度と直後1分足の方向と値幅は、あまり関係がなさそうでした。がしかし、1年分12回の発表時の事後差異や実態差異の平均値を取り、直後1分足や直後11分足の跳幅や値幅を見比べてみると、全体的に事後差異や実態差異の大きさと反応の大きさには弱い相関があるように見えます。
指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。
事前差異は過去マイナス率が65%と、やや偏りがあります。そして、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が63%です。
事後差異と直後1分足の方向一致率は76%で、反応は素直です。また、事前差異がマイナスだったときには、直後1分足が陰線だったことが34%(陽線だったことが66%)あります。
次に、反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
直前1分足の陰線率が73%と、偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は66%しかありません。その他には、直前1分足と直後1分足の方向一致率は37%(不一致率63%)となっています。
そして、反応性分析では、過去発表後に反応を伸ばしたか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は、前述の通り66%です。そして、その66%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは85%です。
指標発表直後は、反応が伸びると信じるしかありません。ただ、全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは56%(=0.66✕0.85)です。これでは、指標発表直後に安易に追撃ポジションを取ることはできません。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
下図に直前10-1分足を示します。
直前10-1分足の過去平均跳幅は10pips、同値幅は6pipsです。これは、直後1分足の反応程度とほぼ同じです。この期間に安易にポジションをオーダーして負けると、取り返せないということです。
直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が63%です。ポジションをオーダーするかは、ちょっと迷う数字ですね。63%ではあまりお薦めできません。
次に直前1分足です。2017年9月以降、それ以前の陰線が多かった状況から陽線が多くなっています。また、以前に陰線が多かった時期は、逆ヒゲ(陽線側へのヒゲ)を残すことが多かったことがわかります。
直前1分足の過去平均跳幅は4pips、同値幅は3pipsです。
直前1分足の過去陰線率は73%あるものの、先述の通り、2017年9月以降はこの数字を信じることができません。
よって、この期間の取引は薦められません。
そして、直後1分足を下図に示します。
直後1分足の過去平均跳幅は10pips、同値幅は7pipsです。
直後1分足の過去陽線率は66%、事前差異との方向一致率は34%(不一致率66%)、そしてまた直前1分足との方向一致率は37%(不一致率63%)です。どれも決め手に欠く数字です。
事前差異がマイナスのとき直前1分足が陰線なら、指標発表直前にロングをオーダーし、発表直後の跳ねで利確/損切です。
直後11分足を下図に示します。
直後11分足の過去平均跳幅は17pips、同値幅は11pipsです。
直後1分足と直後11分足の方向一致時に、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしたことは85%あります。けれども、直後1分足と直後11分足が方向一致したことは66%と、やや低い数字になっています。
そのため、ポジションをオーダーするハードルを上げて、直後1分足が指標発表後の実態差異と同じ方向のとき、直後1分足の方向を確認してから追撃を始めることにします。そして、利確/損切の目安は、直後1分足値幅の過去平均値と直後11分足跳幅の差である10pipsの半分、5pips程度にすれば勝率が稼げそうです。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
全て事前投稿の分析記録と事後投稿での結果検証を残した2017年の本指標取引成績を下表に纏めておきます。
2017年は本指標で5回取引を行い、指標単位で4勝1敗(勝率80%)、シナリオ単位で8勝2敗(勝率80%)でした。これだけ勝率が高いにも関わらず、年間で21pipsしか獲れていません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
@ 総合PMI速報値
(以下「総合PMI」と略記)
A 製造業PMI速報値
(以下「製造業PMI」と略記)
B サービス業PMI速報値
(以下「サービス業PMI」と略記)
を用います。
本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
その分析対象期間は、2015年1月集計分〜2018年7月集計分(同月発表分)の43回分を用いました。特徴を見いだす調査数としては十分でしょう。
T.指標分析
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
【1.1 指標概要】
PMIは、企業購買担当者に直接調査して算出されるため、景気先行指標として信頼できる、と言われています。そして、製造業の材料・部品調達は、数か月先の取引先動向や製品需要から仕入れを行うため、サービス業よりも先行性がある、と言われています。
では何で、企業購買部門に直接調査すると、企業セールス部門に直接調査するより正確なのかがわかりません。ちょっと調べてみたものの、その理由を記した資料は見つかりませんでした。
そして、製造業の購買担当部門の先行き見通しが、サービス業の購買担当部門のそれを先行しているかは、製造業PMIとサービス業PMIが同時発表される本指標の推移を見ればはっきりします。そんな関係はありゃしないのです。
なお、本指標発表時刻30分前には仏国PMI速報値が発表され、30分後には欧州PMI速報値が発表されます。
本来ならば、本指標も含めて30分毎に発表されるこれら指標を通して取引を行う方が望ましいはずです。とは言え、30分毎に3回の発表だと、お勤めの方は隙を見てちょちょっと取引という訳にもいきません。いずれ、30分毎の関連取引を続けて行うための準備や研究にも着手したい、と思います。
【1.2 差異推移】
過去の改定値と市場予想と発表結果の推移を以下に示します。
まずは総合PMIの推移からです。
凸凹が目立つことと、改定値(赤)がズレることが多いことを覚えておきましょう。
これを製造業PMIと見比べてみます。
凸凹が少なりなってトレンドがはっきりし、改定値(赤)とズレたことが少ないことに気づきます。また、わかりやすい市場予想後追い型となっています。
そして、サービス業PMIを見てみましょう。
総合PMIの凸凹や改定値(黒)とのズレは、製造業PMIでなくサービス業PMIのせいだったことがわかります。
ーーー$€¥£A$ーーー
総合PMIと製造業PMIとサービス業PMIを、もっと見比べやすく同じグラフ上にプロットしたのが下図です。
製造業PMI(緑)の推移はサービス業PMIの推移(橙)を先行示唆などしていません。そして、総合PMI(青)は製造業PMIとサービス業PMIの中間値でも、それらの一定比率値でもないことがわかります。
U.反応分析
分析には、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
【2.1 反応概要】
複数の発表項目の影響力の軽重を把握し、見るべきポイントを絞り込むため、各発表項目と反応方向の関係を求めておきましょう。
まず、事前差異は、3✕製造業PMIの事前差異ー2✕サービス業PMIの事前差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足の方向一致率は63%で、あまりアテになりません。
次に、事後差異は、2✕総合PMIの事後差異+3✕製造業PMIの事後差異+1✕サービス業PMIの事後差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号と直後1分足の方向一致率は76%です。発表結果の市場予想に対する良し悪しには素直に反応します。
そして、実態差異は、2✕製造業PMIの実態差異+1✕サービス業PMIの実態差異、という判別式を用います。この判別式の解の符号と直後11分足の方向一致率は73%です。発表結果の前回改定値に対する良し悪しに素直に反応しています。
ーーー$€¥£A$ーーー
下図は、事後差異(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)の分布です。
事後差異がプラスなら陽線で反応しがちですが、事後差異がマイナスなら陰線で反応するかどうかわかりません。そして、事後差異の大きさと陽線や陰線の大きさに相関はないようです。何がどうあれ反応が小さいことがわかります。
次に、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)の分布を下図に示します。
回帰線(赤線)の傾きはほぼ1で、平均的には反応が伸びません。赤線の上下のドット分布を見ると、直後1分足が陽線であれ陰線であれ、直後1分足終値よりも直後11分足終値が反応を伸ばすか否かはわかりません。
【2.2 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
指標結果に最も素直に反応する直後1分足跳幅は過去平均で10pipsです。反応程度としては平均的な指標です。
分布は、平均値10pips以下しか跳ねなかったことが63%となっています。
次に、2015年以降の毎年の事後差異と実態差異の平均値の推移(上図)と、直後1分足と直後11分足の跳幅平均・値幅平均の推移(下図)を示します。
事後差異と実態差異の平均値は、2017年以降大きくなっています。その結果(かどうかわかりませんが)、最近の反応は大きくなっているように見えます。
さて、先に個別の事後差異と直後1分足の分布を調べた限りでは、事後差異の程度と直後1分足の方向と値幅は、あまり関係がなさそうでした。がしかし、1年分12回の発表時の事後差異や実態差異の平均値を取り、直後1分足や直後11分足の跳幅や値幅を見比べてみると、全体的に事後差異や実態差異の大きさと反応の大きさには弱い相関があるように見えます。
【2.3 反応方向】
指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。
事前差異は過去マイナス率が65%と、やや偏りがあります。そして、事前差異と直前10-1分足の方向一致率が63%です。
事後差異と直後1分足の方向一致率は76%で、反応は素直です。また、事前差異がマイナスだったときには、直後1分足が陰線だったことが34%(陽線だったことが66%)あります。
次に、反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
直前1分足の陰線率が73%と、偏りが見受けられます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は66%しかありません。その他には、直前1分足と直後1分足の方向一致率は37%(不一致率63%)となっています。
そして、反応性分析では、過去発表後に反応を伸ばしたか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は、前述の通り66%です。そして、その66%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは85%です。
指標発表直後は、反応が伸びると信じるしかありません。ただ、全ての場合を踏まえると、直後1分足跳幅が直後11分足跳幅を超えて同じ方向に反応を伸ばしたことは56%(=0.66✕0.85)です。これでは、指標発表直後に安易に追撃ポジションを取ることはできません。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
【3.1 直前10-1分足】
下図に直前10-1分足を示します。
直前10-1分足の過去平均跳幅は10pips、同値幅は6pipsです。これは、直後1分足の反応程度とほぼ同じです。この期間に安易にポジションをオーダーして負けると、取り返せないということです。
直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が63%です。ポジションをオーダーするかは、ちょっと迷う数字ですね。63%ではあまりお薦めできません。
【3.2 直前1分足】
次に直前1分足です。2017年9月以降、それ以前の陰線が多かった状況から陽線が多くなっています。また、以前に陰線が多かった時期は、逆ヒゲ(陽線側へのヒゲ)を残すことが多かったことがわかります。
直前1分足の過去平均跳幅は4pips、同値幅は3pipsです。
直前1分足の過去陰線率は73%あるものの、先述の通り、2017年9月以降はこの数字を信じることができません。
よって、この期間の取引は薦められません。
【3.3 直後1分足】
そして、直後1分足を下図に示します。
直後1分足の過去平均跳幅は10pips、同値幅は7pipsです。
直後1分足の過去陽線率は66%、事前差異との方向一致率は34%(不一致率66%)、そしてまた直前1分足との方向一致率は37%(不一致率63%)です。どれも決め手に欠く数字です。
事前差異がマイナスのとき直前1分足が陰線なら、指標発表直前にロングをオーダーし、発表直後の跳ねで利確/損切です。
【3.4 直後11分足】
直後11分足を下図に示します。
直後11分足の過去平均跳幅は17pips、同値幅は11pipsです。
直後1分足と直後11分足の方向一致時に、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしたことは85%あります。けれども、直後1分足と直後11分足が方向一致したことは66%と、やや低い数字になっています。
そのため、ポジションをオーダーするハードルを上げて、直後1分足が指標発表後の実態差異と同じ方向のとき、直後1分足の方向を確認してから追撃を始めることにします。そして、利確/損切の目安は、直後1分足値幅の過去平均値と直後11分足跳幅の差である10pipsの半分、5pips程度にすれば勝率が稼げそうです。
W.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
- 本指標では、製造業PMIとサービス業PMIとが同時発表されます。それら指標推移を見る限り、製造業の景気がサービス業の景気を先行示唆している事実は見受けられません。
- 指標発表直後の反応方向への影響力は、製造業PMIが最も強いようです。
指標発表後の反応程度は直後1分足の過去平均跳幅が10pipsと、平均的な反応程度です。但し、全体の63%は平均以下しか反応しません。最近の傾向は、事後差異や実態差異が大きくなっており、その結果、反応程度も以前よりも大きくなっています。 - 取引の機会は2・3度です。
直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が63%です。期待的中率が63%なので、この期間の取引はあまり薦められません。
また、直後1分足の過去陽線率は66%、事前差異との方向一致率は34%(不一致率66%)、そしてまた直前1分足との方向一致率は37%(不一致率63%)です。事前差異がマイナスのとき直前1分足が陰線(になりそう)なら、指標発表直前にロングをオーダーし、発表直後の跳ねで利確/損切です。
そして、直後1分足と直後11分足の方向一致時に、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしたことは85%です。しかし、直後1分足と直後11分足が方向一致したことは66%しかありません。よって、直後1分足が指標発表後の実態差異と同じ方向のとき、直後1分足の方向を確認してから追撃を始めると良いでしょう。
ーーー$€¥£A$ーーー
全て事前投稿の分析記録と事後投稿での結果検証を残した2017年の本指標取引成績を下表に纏めておきます。
2017年は本指標で5回取引を行い、指標単位で4勝1敗(勝率80%)、シナリオ単位で8勝2敗(勝率80%)でした。これだけ勝率が高いにも関わらず、年間で21pipsしか獲れていません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
2018年08月13日
2018年8月13日〜8月17日の主要経済指標の過去反応要点
2018年8月13日〜8月17日の主要経済指標の過去反応パターンを挙げておきます。
ここでは、いずれも現在の経済状況なんて関係なく、そのパターンを論じています。論拠はリンク先に詳述しているので、そちらもご参照ください。
8月13日(月)
注目指標無し
8月14日(火)
8月15日(水)
8月16日(木)
8月17日(金)
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
ここでは、いずれも現在の経済状況なんて関係なく、そのパターンを論じています。論拠はリンク先に詳述しているので、そちらもご参照ください。
8月13日(月)
注目指標無し
8月14日(火)
- 15:00 4-6月期独国GDP速報値・7月集計分独国CPI改定値
CPIは改定値のため、事前の注目はGDPに偏ると思われます。
GDPは、発表結果が市場予想とズレたときの直後1分足の反応方向への影響が(前期比>前年比)の関係となります。その影響力は前期比が前年比の1.5倍です。但し、指標結果の良し悪しと直後1分足の反応は、方向一致率が65%とあまり高くありません。反応は小さいものの、いくつかの傾向に従えば取引しやすい指標です。 - 17:30 6月・7月集計分英国雇用統計
市場予想と発表結果の関係は、平均所得と申請件数が市場予想後追い型、失業率が市場予想先行型。英国雇用状況に詳しくなくても結果を予想しやすい点で、おもしろい指標だと言えます。指標発表直後の反応方向への影響力は、平均所得の事後差異>失業率の事後差異>申請件数の事後差異、です。指標発表前から他の平均的な指標の発表直後並みに反応するので、注意が必要です。 - 18:00 4-6月期欧州GDP改定値・8月集計分独国ZEW景況感調査
ともに、あまり影響力が大きい指標ではないため、わかりません。
GDP改定値は速報値から改定されることがあまりないことを踏まえると、指標発表前はZEW予想中心、指標発表後にGDPが改定されたらそちら中心(改定されなければZEW中心)と捉えておけば良いでしょう。 - 21:30 7月集計分米国輸入物価指数
米国輸入物価指数は、今回のように単独で発表されることが年に4・5回しかありません。過去に、小売売上高指数・Phil連銀製造業景気指数・住宅着工件数・週次失業保険新鮮件数のいずれかと同時発表されたときは、それら指標結果に反応しました。本指標は結果がどうあれチャートに影響しない指標だと言えます。
8月15日(水)
- 17:30 7月集計分英国物価統計
大きく反応しがちなので注意が必要です。
指標発表後の反応方向は、CPI前月比>CPI前年比、の順に、市場予想との差異の大きさと方向の影響を受けます。RPIやPPIは、CPIが市場予想通りだったときしか反応方向に影響しません。指標発表前から大きく反応しがちで、指標発表直後は以前から安定して反応が大きい指標です。指標発表直後に16pips以下しか跳ねなかったことは7%しかありません。また、全体の半分近く48%が31pips以上跳ねています。 - 21:30 7月集計分米国小売売上高
本指標は「反動」が起きる指標です。がしかし、取引方針はそのことを別の面から捉えておく必要があります。前月比が+1以上か△0.5以下だった翌月は、市場予想ほどの反動が起きなかったことが80%あります。そして、コア前月比が+0.7以上か△0.7以下だった翌月は、市場予想を超えて反動が起きたことが80%あります。これらのことが矛盾している月の発表では、コア前月比>前月比、の順に反応方向が影響を受けることを参考にすれば良いでしょう。
直後1分足跳幅の過去平均は22pipsと、一見、大きく反応する指標です。また、過去にCPIと同時発表されたことも多く、資料に依っては過去の反応程度が大きめなっているものが散見されます。けれども、平均値を超えて反応したことは、ざっくり3回に1回しかありません。大きく反応することがある指標で、それほどでもなければ利確の機会を逸しかねません。そこに注意が必要です。 - 22:15 7月集計分米国設備稼働率・鉱工業生産・製造業生産
WTI原油先物価格と設備稼働率の上下動は、単月毎に見る限り相関がありません。
鉱工業生産は前月が+0.7%以上だったか△0.7%以下だったとき、製造業生産は前月が+0.6%以上だったか△0.4%以下だったとき、前月の反動を起こして市場予想をオーバーシュート/アンダーシュートしがちです。
直前1分足と直後1分足の方向一致率が33%しかない点を拠りどころに、指標発表発表直後の跳ねで3pips程度狙うしかありません。指標発表前後に大きく動いているときは、本指標とは無関係の原因です。
8月16日(木)
- 10:30 7月集計分豪州雇用統計
失業率と労働参加率は市場予想後追い型です。
そして新規雇用者数は、市場予想を発表結果が上回ったときの方が、回数も差異も大きくなりがちです。つまり、市場予想と発表結果の差異の程度に応じて素直に反応すると仮定すれば、ロングで勝負し続ければ利益を残せることになります(仮定は検証されていません)。
注意すべき点は、指標発表直後に10pips以上の逆ヒゲを形成することがときどきあります(騙しが発生します)。また、反応方向は、事後差異がプラスだったときこそ陽線での反応を期待できるものの、マイナスだった場合は大きくマイナスとならない限り、どちらに反応するかわかりません。
指標発表時刻を跨いだ取引が難しい指標です。 - 17:30 7月集計分英国小売売上高指数
大きく反応しがちな指標で、指標発表前からかなり動きます。
小売売上高にせよコア小売売上高にせよ、市場予想の上下動が発表結果の上下動に比べて小さい、という特徴があります。こうした特徴のある指標では、前月の反動が市場予想をオーバーシュート(アンダーシュート)しやすくなります。
市場予想が前回結果よりも改善もしくは同値なのに、直前10-1分足が陰線ならば、発表結果は市場予想を上回る可能性が高く、逆に、市場予想が前回結果よりも悪化もしくは同値なのに、直前10-1分足が陽線ならば、発表結果は市場予想を下回る可能性が高くなっています。 - 21:30 8月集計分米国Phil連銀製造業景気指数
本指標に先立って発表されることが多いNY連銀指数の結果が前月より改善/悪化していても、そんなことは本指標での取引の参考にはなりません。本指標自体が市場予想後追い型のため、そのことをアテにした方が良いでしょう。指標推移が上昇基調/下降基調のときは、発表結果が市場予想を上回り/下回りがちです。指標推移が上昇基調とも下降基調とも言えない停滞気味のときは、前々回結果に比べて前回結果が上昇/下降しているとき、今回の市場予想が前回結果を上回っている/下回っているなら、今回の発表結果は市場予想を下回り/上回りがちです。この期待的中率は78%です。
8月17日(金)
- 23:00 8月集計分米国UM消費者信頼感指数速報値
本指標の特徴は、市場予想後追い型であることと、なぜか前月集計分のISM非製造業景況指数との方向不一致となることが異常に多いことです。また、本指標自体のチャートへの影響は小さく、週足が200pipsを超えていたら、指標発表後に週足を削るように動き始めることも多いようです。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
英国実態指標「小売売上高指数」発表前後のGBPJPY反応分析(改訂版)
英国実態指標「小売売上高指数」の指標発表前後の反応分析には、
@ 小売売上高の前月比と前年比
A コア小売売上高の前月比と前年比
を用います。
以下、「小売売上高」の前月比や前年比を単に「前月比」「前年比」、「コア小売売上高」の前月比や前年比を「コア前月比」「コア前年比」と略記します。
本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のGBPJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
なお、この分析の調査範囲は、2015年1月集計分〜2018年6月集計分(同年7月発表分)の42回分です。
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。英国国家統計局が翌月中旬に前月集計分を発表しています。反応への影響は、コア指数>総合指数、前月比>前年比、となる傾向があります。
英国実態指標は、他の主要国のそれより反応が大きいという特徴があります。
本指標は、指標発表前から過去平均で20pips以上跳ねたことも多く、指標発表後は50pipsを超えて反応を伸ばすこともよくあります。
不用意にポジションを取るべきではありません。
小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響しがちだ、と言われています。また以前は、1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動しがち、と言われていました。
けれども、そんなことは経済情勢そのものに関心がある人か小売業者に向けての情報で、FX参加者にはあまり関係ありません。
売上高とコア売上高の推移を下図に示します。
まずは、売上高前月比と前年比です。
次に、コア売上高前月比と前年比です。
ふたつのグラフは、前月比・前年比の上下動がほぼ同期しています。
そして、売上高にせよコア売上高にせよ、市場予想の上下動が発表結果の上下動に比べて小さいことに注目しましょう。こうした特徴のある指標では、前月の反動が市場予想をオーバーシュート(アンダーシュート)しやすいのです。
分析には、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
複数の発表項目の影響力の軽重を把握し、見るべきポイントを絞り込むため、各発表項目と反応方向の関係を求めておきましょう。
事前差異判別式は、1✕前月比の事前差異+1✕前年比の事前差異+3✕コア前月比の事前差異+1✕コア前年比の事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足とは、方向一致率が71%です。
事後差異判別式は、2✕前月比の事後差異+1✕前年比の事後差異+3✕コア前月比の事後差異+1✕コア前年比の事後差異、です。この判別式の解の符号と直後1分足とは、方向一致率が80%です。
実態差異判別式は、2✕前年比の実態差異+1✕コア前月比の実態差異+3✕コア前年比の実態差異、です。この判別式の解の符号と直後11分足とは、方向一致率が76%です。
各差異とも対応するローソク足との方向一致率が高くなっています。これなら他の指標や物価との対比分析や、天候や季節要因を考える必要はありません。素直に大勢に従うことが、特に利確に繋がりやすい指標だと言えます。
下図は、事後差異(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)の分布です。
縦方向(反応程度)のばらつきこそ大きいものの、全体的には右上がりのドット分布(素直な反応)となっています。
次に、その反応が伸びるか否かです。下図は、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)の分布です。
回帰線(赤線)の傾きは1.06で、あまり反応を伸ばしてはいません。特に、直後1分足終値が△20pips〜+20pipsだったときは要注意です。反応を伸ばすどころか反転したことも目立ちます。
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
直後1分足跳幅の過去平均値は30pipsに達しています。15pips以下しか跳ねなかったことは19%しかなく、30pipsを超えて反応したことは45%です。
かなり大きく反応しがちです。
2016年6月集計分では、直前10-1分足跳幅が54pips、同値幅が43pipsでした。また、2017年8月集計分では、直後1分足跳幅が94pips、直後11分足値幅が76pipsでした。驚きの反応です。
もしこんなときに逆方向にポジションを取っていたら、迷っている暇なんてありません。すぐに損切しないと、大変なことになってしまいます。
覚えておきましょう。
次に、2015年以降の反応平均値の推移を下図に示します。
比較のため、米国雇用統計を例に挙げると、2017年の同直後1分足跳幅平均は39pips、直後11分足値幅は28pipsでした。2017年の本指標は、同年米国雇用統計とほぼ同じだけ反応していたのです。
反応が大きい指標だけに、直後1分足・直後11分足ともに跳幅と値幅の落差が10pips以上あります。
と言っても、逆張りは薦められません。狙いは、直後1分足値幅(終値)を見て、直後11分足跳幅(高値か安値)を取る順張りです。
過去全平均を見る限りでは、その落差だけで23pipsもあります。ここを狙う方が、他の指標で発表直後の20pipsの跳ねを狙うより、順張りだけにずっと安全なはずです。
指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。
市場予想が前回結果より良ければ直前10-1分足は陽線、悪ければ陰線になりがちです(期待的中率71%)。また、市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しています(期待的中率80%)。
次に、反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
直前1分足は過去陰線率が74%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が73%と高い点を除けば、前述の直前10-1分足と直後11分足の方向一致率が68%と高くなっています。
そして、反応性分析では、指標発表後に反応を伸ばしたか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。驚くべきことに、その73%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは97%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
ところが、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは46%しかありません。最終的に反応を伸ばすことは2回に1回に満たないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
まず、直前10-1分足を下図に示します。
直前10-1分足は、過去平均跳幅が19pips、同値幅が12pipsです。そんじょそこらの指標発表直後の反応以上に動きます。
事前差異との方向一致率は71%あるので、市場予想が前回結果より良ければロング、悪ければショートをオーダーします。
さて、直前10-1分足跳幅が20pips以上だったことは過去16回(頻度38%)もあります。
注意すべきことは、この16回の直前10-1分足値幅方向と直後1分足値幅方向(跳幅方向ではありません)が一致したことは、8回(50%)だったことです。つまり、直前10-1分足が20pips以上も跳ねたからと言って、それが指標発表後の反応方向を示唆している訳ではありません。
次に直前1分足です。
直前1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は4pipsです。
過去陰線率は74%、直前10-1分足との方向一致率は37%(不一致率63%)です。但し、上図を見る限り、陽線側へのヒゲも目立ちます。だから、直前10-1分足が陽線だったとき、直前1分前後に数pips陽線側に動いたらショートをオーダーし、その数pips+1・2pipsの利確を狙うと良いでしょう。
直前1分足跳幅が10pips以上だったことは過去10回(頻度24%)あります。
注意すべきことは、この10回の直後1分足値幅方向と直後1分足値幅方向(跳幅方向ではありません)が一致したことは、4回(40%)だったことです。つまり、直前1分足が10pips以上も跳ねたからと言って、それが指標発表後の反応方向を示唆している訳ではありません。
指標発表直後1分足を下図に示します。
直後1分足の過去平均跳幅は30pips、同値幅は19pipsです。その差11pipsは大きく、利確幅を10pisにするのか20pipsにするのか、それとも指標発表直後に跳ねたらすぐに利確するのか、予め決めておいた方が良いでしょう。
指標発表時刻を跨ぐポジションをオーダーするか否かは、次のように判断します。ちょっと複雑です。
まず、直前10-1分足と実態差異の方向一致率は81%です。だから、直前10-1分足が陽線ならば、発表結果>前回結果、となる期待的中率は81%です。それにも関わらず、もし事前差異(=市場予想ー前回結果)がマイナスなら、前回結果>市場予想、という関係が成り立ち、発表結果>前回結果>市場予想の順となります。つまり、発表結果が市場予想を上回る可能性が高い訳です。もし逆に、事前差異がプラスだと、発表結果と市場予想の大小関係はわかりません。
よって、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足が逆ならば、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。
念のため、直前10-1分足が陰線だったときで、ロジックを確認しておきましょう。
直前10-1分足が陰線なら前回結果>発表結果となる可能性が高い訳です。それにも関わらず、もし事前差異がプラスなら、市場予想>前回結果という関係が成立しています。このとき、市場予想>前回結果>発表結果、の順になります。つまり、このとき発表結果が市場予想を下回る可能性が高い訳です。
よって前述の通り、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足が逆ならば、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。
こうした条件を満たすとき、指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切します。
次に指標発表後の追撃についてです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。その73%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは97%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
高値掴み/安値掴みを避けるためには、直後1分足終値の過去平均値(19pips)よりも小さいときに追撃ポジションを得たいものです。けれども、大きく反応する本指標発表直後は、そんな機会を待っていたら追撃の機会を失いかねません。
対策は、ポジションの大きさをいつもの半分にして、指標発表直後の反応方向を確認次第と、直後1分足終値の過去平均値(19pips)よりも小さいときを狙ってと、2段構えでポジションを取っても良いでしょう。そして、こんな期間にポジションを取るなら、数pipsの含損なんて気にしないことです。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは46%しかありません。最終的に反応を伸ばすことは2回に1回に満たないのなら、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。
直後11分足を下図に示します。
過去平均跳幅は40pips、同値幅は25pipsです。
ここからは、データに基づかない話です。
本指標発表から1分後と11分後を比べると、先述の通り反応を伸ばしていません。けれども、本指標が大きく動き、且つ、指標結果の影響持続時間が30分以上続くことも多かった覚えがあります。
この記憶に基づく取引を行うなら、事後差異と実態差異の方向が一致しているとき(発表結果の前回結果と市場予想との大小関係が一致しているとき)、且つ、直後1分足もその方向が一致しているとき、指標発表から1分を過ぎても追撃ポジションをオーダーしても良さそうです。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は、本指標で8回の取引を行い、指標単位で4勝4敗(勝率50%)、シナリオ単位で17勝9敗(勝率65%)でした。1回の指標発表前後で平均8分50秒のポジションを保有し、年間損益は+88pipsでした。
発表時刻を跨いだポジションでの損切が多かったものの、その後の追撃で取り返して損益をプラス化できたようです。
この結果は、指標発表直後の反応方向を当てるのは難しくても、基本(分析結果)に忠実にやっていれば、年間プラスに持ち込むことができることを示しています。おそらく、記録を見る限りでは、4勝4敗でなくても3勝5敗(年換算で5勝7敗)でもぎりぎりプラス化できたでしょう。
そのうち、年間12回の取引で7勝できることもあるでしょう。いずれそういう運の良い年が来るのを待ちましょう。運の良さをコントロールできなくても、運の悪いときに負けを小さく抑え込むことならできそうです。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
@ 小売売上高の前月比と前年比
A コア小売売上高の前月比と前年比
を用います。
以下、「小売売上高」の前月比や前年比を単に「前月比」「前年比」、「コア小売売上高」の前月比や前年比を「コア前月比」「コア前年比」と略記します。
本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のGBPJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
なお、この分析の調査範囲は、2015年1月集計分〜2018年6月集計分(同年7月発表分)の42回分です。
T.指標分析
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
【1.1 指標概要】
本指標の調査対象は、自動車販売店を除いた小売業・飲食店など5000社です。英国の個人消費はGDPの約40%を占めるため、GDPの先行指標として本指標には意義があります。英国国家統計局が翌月中旬に前月集計分を発表しています。反応への影響は、コア指数>総合指数、前月比>前年比、となる傾向があります。
英国実態指標は、他の主要国のそれより反応が大きいという特徴があります。
本指標は、指標発表前から過去平均で20pips以上跳ねたことも多く、指標発表後は50pipsを超えて反応を伸ばすこともよくあります。
不用意にポジションを取るべきではありません。
小売売上高は英国に限らず天候・季節が影響しがちだ、と言われています。また以前は、1月発表(前年12月分)はクリスマス商戦の影響で毎月の結果よりも大きく変動しがち、と言われていました。
けれども、そんなことは経済情勢そのものに関心がある人か小売業者に向けての情報で、FX参加者にはあまり関係ありません。
【1.2 差異推移】
売上高とコア売上高の推移を下図に示します。
まずは、売上高前月比と前年比です。
次に、コア売上高前月比と前年比です。
ふたつのグラフは、前月比・前年比の上下動がほぼ同期しています。
そして、売上高にせよコア売上高にせよ、市場予想の上下動が発表結果の上下動に比べて小さいことに注目しましょう。こうした特徴のある指標では、前月の反動が市場予想をオーバーシュート(アンダーシュート)しやすいのです。
U.反応分析
分析には、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
【2.1 反応概要】
複数の発表項目の影響力の軽重を把握し、見るべきポイントを絞り込むため、各発表項目と反応方向の関係を求めておきましょう。
事前差異判別式は、1✕前月比の事前差異+1✕前年比の事前差異+3✕コア前月比の事前差異+1✕コア前年比の事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と直前10-1分足とは、方向一致率が71%です。
事後差異判別式は、2✕前月比の事後差異+1✕前年比の事後差異+3✕コア前月比の事後差異+1✕コア前年比の事後差異、です。この判別式の解の符号と直後1分足とは、方向一致率が80%です。
実態差異判別式は、2✕前年比の実態差異+1✕コア前月比の実態差異+3✕コア前年比の実態差異、です。この判別式の解の符号と直後11分足とは、方向一致率が76%です。
各差異とも対応するローソク足との方向一致率が高くなっています。これなら他の指標や物価との対比分析や、天候や季節要因を考える必要はありません。素直に大勢に従うことが、特に利確に繋がりやすい指標だと言えます。
ーーー$€¥£A$ーーー
下図は、事後差異(横軸)に対する直後1分足終値(縦軸)の分布です。
縦方向(反応程度)のばらつきこそ大きいものの、全体的には右上がりのドット分布(素直な反応)となっています。
次に、その反応が伸びるか否かです。下図は、直後1分足終値(横軸)に対する直後11分足終値(縦軸)の分布です。
回帰線(赤線)の傾きは1.06で、あまり反応を伸ばしてはいません。特に、直後1分足終値が△20pips〜+20pipsだったときは要注意です。反応を伸ばすどころか反転したことも目立ちます。
【2.2 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
直後1分足跳幅の過去平均値は30pipsに達しています。15pips以下しか跳ねなかったことは19%しかなく、30pipsを超えて反応したことは45%です。
かなり大きく反応しがちです。
2016年6月集計分では、直前10-1分足跳幅が54pips、同値幅が43pipsでした。また、2017年8月集計分では、直後1分足跳幅が94pips、直後11分足値幅が76pipsでした。驚きの反応です。
もしこんなときに逆方向にポジションを取っていたら、迷っている暇なんてありません。すぐに損切しないと、大変なことになってしまいます。
覚えておきましょう。
次に、2015年以降の反応平均値の推移を下図に示します。
比較のため、米国雇用統計を例に挙げると、2017年の同直後1分足跳幅平均は39pips、直後11分足値幅は28pipsでした。2017年の本指標は、同年米国雇用統計とほぼ同じだけ反応していたのです。
反応が大きい指標だけに、直後1分足・直後11分足ともに跳幅と値幅の落差が10pips以上あります。
と言っても、逆張りは薦められません。狙いは、直後1分足値幅(終値)を見て、直後11分足跳幅(高値か安値)を取る順張りです。
過去全平均を見る限りでは、その落差だけで23pipsもあります。ここを狙う方が、他の指標で発表直後の20pipsの跳ねを狙うより、順張りだけにずっと安全なはずです。
【2.3 反応方向】
指標一致性分析は、各差異と反応方向の一致率を調べています。
市場予想が前回結果より良ければ直前10-1分足は陽線、悪ければ陰線になりがちです(期待的中率71%)。また、市場予想に対する発表結果の良し悪しには素直に反応しています(期待的中率80%)。
次に、反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
直前1分足は過去陰線率が74%と、偏りが目立ちます。
直後1分足と直後11分足の方向一致率が73%と高い点を除けば、前述の直前10-1分足と直後11分足の方向一致率が68%と高くなっています。
そして、反応性分析では、指標発表後に反応を伸ばしたか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。驚くべきことに、その73%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは97%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
ところが、指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは46%しかありません。最終的に反応を伸ばすことは2回に1回に満たないのなら、先に早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
【3.1 直前10-1分足】
まず、直前10-1分足を下図に示します。
直前10-1分足は、過去平均跳幅が19pips、同値幅が12pipsです。そんじょそこらの指標発表直後の反応以上に動きます。
事前差異との方向一致率は71%あるので、市場予想が前回結果より良ければロング、悪ければショートをオーダーします。
さて、直前10-1分足跳幅が20pips以上だったことは過去16回(頻度38%)もあります。
注意すべきことは、この16回の直前10-1分足値幅方向と直後1分足値幅方向(跳幅方向ではありません)が一致したことは、8回(50%)だったことです。つまり、直前10-1分足が20pips以上も跳ねたからと言って、それが指標発表後の反応方向を示唆している訳ではありません。
【3.2 直前1分足】
次に直前1分足です。
直前1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は4pipsです。
過去陰線率は74%、直前10-1分足との方向一致率は37%(不一致率63%)です。但し、上図を見る限り、陽線側へのヒゲも目立ちます。だから、直前10-1分足が陽線だったとき、直前1分前後に数pips陽線側に動いたらショートをオーダーし、その数pips+1・2pipsの利確を狙うと良いでしょう。
直前1分足跳幅が10pips以上だったことは過去10回(頻度24%)あります。
注意すべきことは、この10回の直後1分足値幅方向と直後1分足値幅方向(跳幅方向ではありません)が一致したことは、4回(40%)だったことです。つまり、直前1分足が10pips以上も跳ねたからと言って、それが指標発表後の反応方向を示唆している訳ではありません。
【3.3 直後1分足】
指標発表直後1分足を下図に示します。
直後1分足の過去平均跳幅は30pips、同値幅は19pipsです。その差11pipsは大きく、利確幅を10pisにするのか20pipsにするのか、それとも指標発表直後に跳ねたらすぐに利確するのか、予め決めておいた方が良いでしょう。
指標発表時刻を跨ぐポジションをオーダーするか否かは、次のように判断します。ちょっと複雑です。
まず、直前10-1分足と実態差異の方向一致率は81%です。だから、直前10-1分足が陽線ならば、発表結果>前回結果、となる期待的中率は81%です。それにも関わらず、もし事前差異(=市場予想ー前回結果)がマイナスなら、前回結果>市場予想、という関係が成り立ち、発表結果>前回結果>市場予想の順となります。つまり、発表結果が市場予想を上回る可能性が高い訳です。もし逆に、事前差異がプラスだと、発表結果と市場予想の大小関係はわかりません。
よって、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足が逆ならば、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。
念のため、直前10-1分足が陰線だったときで、ロジックを確認しておきましょう。
直前10-1分足が陰線なら前回結果>発表結果となる可能性が高い訳です。それにも関わらず、もし事前差異がプラスなら、市場予想>前回結果という関係が成立しています。このとき、市場予想>前回結果>発表結果、の順になります。つまり、このとき発表結果が市場予想を下回る可能性が高い訳です。
よって前述の通り、事前差異判別式の解の符号と直前10-1分足が逆ならば、直前10-1分足と同じ方向に直後1分足が反応する可能性が高い、と言えます。
こうした条件を満たすとき、指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切します。
次に指標発表後の追撃についてです。
直後1分足と直後11分足との方向一致率は73%です。その73%の方向一致時だけに注目したとき、直後1分足跳幅を直後11分足跳幅が超えて反応を伸ばしたことは97%です。指標発表時点から見たその後の方向一致率が高く、且つ、反応を伸ばしているのだから、指標発表後に反応方向を確認したら、追撃は早期開始です。
高値掴み/安値掴みを避けるためには、直後1分足終値の過去平均値(19pips)よりも小さいときに追撃ポジションを得たいものです。けれども、大きく反応する本指標発表直後は、そんな機会を待っていたら追撃の機会を失いかねません。
対策は、ポジションの大きさをいつもの半分にして、指標発表直後の反応方向を確認次第と、直後1分足終値の過去平均値(19pips)よりも小さいときを狙ってと、2段構えでポジションを取っても良いでしょう。そして、こんな期間にポジションを取るなら、数pipsの含損なんて気にしないことです。
指標発表から1分を経過すると、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が伸びていたことは46%しかありません。最終的に反応を伸ばすことは2回に1回に満たないのなら、早期追撃で得たポジションは、指標発表から1分を過ぎたら利確の機会を窺った方が良いということです。
【3.4 直後11分足】
直後11分足を下図に示します。
過去平均跳幅は40pips、同値幅は25pipsです。
ここからは、データに基づかない話です。
本指標発表から1分後と11分後を比べると、先述の通り反応を伸ばしていません。けれども、本指標が大きく動き、且つ、指標結果の影響持続時間が30分以上続くことも多かった覚えがあります。
この記憶に基づく取引を行うなら、事後差異と実態差異の方向が一致しているとき(発表結果の前回結果と市場予想との大小関係が一致しているとき)、且つ、直後1分足もその方向が一致しているとき、指標発表から1分を過ぎても追撃ポジションをオーダーしても良さそうです。
V.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
- 売上高にせよコア売上高にせよ、市場予想の上下動が発表結果の上下動に比べて小さい、という特徴があります。こうした特徴のある指標では、前月の反動が市場予想をオーバーシュート(アンダーシュート)しやすくなります。
- 指標発表前から大きく動きます。
直前10-1分足は、事前差異との方向一致率が71%あります。
直前1分足は、過去陰線率が74%、直前10-1分足との方向一致率が37%(不一致率63%)です。そして、陽線側への逆ヒゲ発生頻度が高くなっています。
注意すべき点は、直前10-1分足では38%、直前1分足では24%の頻度で、それぞれ20pips以上・10pips以上の跳ねが生じています。この大きな跳ねが起きても、直前10-1分足や直前1分足の方向は、直後1分足の方向と関係ありません。 - 指標発表後はかなり大きく動きます。
市場予想が前回結果よりも改善もしくは同値なのに、直前10-1分足が陰線ならば、発表結果は市場予想を上回る可能性が高く、逆に、市場予想が前回結果よりも悪化もしくは同値なのに、直前10-1分足が陽線ならば、発表結果は市場予想を下回る可能性が高くなっています。こうした条件を満たすとき、指標発表直前に直前10-1分足と同じ方向にポジションをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切します。
そして、指標発表後の追撃は早期開始、早期利確です。
ーーー$€¥£A$ーーー
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
2017年は、本指標で8回の取引を行い、指標単位で4勝4敗(勝率50%)、シナリオ単位で17勝9敗(勝率65%)でした。1回の指標発表前後で平均8分50秒のポジションを保有し、年間損益は+88pipsでした。
発表時刻を跨いだポジションでの損切が多かったものの、その後の追撃で取り返して損益をプラス化できたようです。
この結果は、指標発表直後の反応方向を当てるのは難しくても、基本(分析結果)に忠実にやっていれば、年間プラスに持ち込むことができることを示しています。おそらく、記録を見る限りでは、4勝4敗でなくても3勝5敗(年換算で5勝7敗)でもぎりぎりプラス化できたでしょう。
そのうち、年間12回の取引で7勝できることもあるでしょう。いずれそういう運の良い年が来るのを待ちましょう。運の良さをコントロールできなくても、運の悪いときに負けを小さく抑え込むことならできそうです。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
2018年08月11日
独国経済指標「四半期GDP速報値」発表前後のEURJPY反応分析(改訂版)
独国経済指標「四半期GDP速報値」の指標発表前後の反応分析には、
@ 前期比
A 前年比
を用います。
本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
なお、以下の分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年1-3月期集計分の21回分です。但し、2014年1-3月集計分、2015年1-3月集計分、2016年1-3月集計分の3回は、反応方向に関する分析から除外しています。反応方向に関する分析は、それら3回を除いた18回ということになります。
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
独国GDPはEUの2割弱を占め、英国のEU離脱後は2割強を占めるようになります。
今では盤石とも言える独経済も10年前までは、そんなことありませんでした。1990年台は東西統一によって、失業率が高止まりしていたため内需も振るわず、EUR高で輸出も不調でした(相対的に)。改善の兆しが見え始めたのは2010年頃からで、経済好調が明確になったのは2014年頃からではないでしょうか。
このタイミングは日本とほぼ同期しています。
さて、独経済の強みは、
が挙げられます。一部を除いて、何だか日本と似ている点が多いような気がします。
ただ、こうした強みは経済が不調だった10年前も同じでした。これらを数字を挙げて定量的に説明しても、その事実は変わりません。だから、これらは「強み」というより「個性」に過ぎないのかも知れませんね。
そんな個性には、
といった点もあります。
指標の推移を示します。グラフは、速報値市場予想・速報値発表結果・改定値発表結果をプロットしています。
まずは前期比です。
さすが独国です。速報値の段階で正しく集計し、改定値で修正されたことなんて、ただの1度もありません。
次に前年比です。
こちらも速報値が改定値で修正されたことは1度しかありません。
独国経済自体に興味がない限り、ここまでの話は予備知識です。我々の興味は、この指標でEURJPYがどう反応しがちなのか、です。
このブログでは、発表結果ー市場予想、を事後差異と呼んでいます。国や指標内容に関係なく、ほとんどの経済指標では、事後差異がプラスなら指標発表直後は陽線、マイナスなら陰線で反応します。こうした関係を「素直な反応」と呼んでいます。
よって、本指標が過去にどの程度の事後差異を生じたかを調べておきます。
分析を単純化するため、事後差異が+0.1でもー0.1でも差異の大きさは0.1と見なします。この差異の大きさ毎の頻度を調べておきました。これは、市場予想の精度を調べたことにもなります。
下図をご覧ください。前期比や前年比の事後差異の大きさをカウントしています。
過去平均の事後差異は、前期比が0.1%、前年比が0.37%です。
そして、前期比の事後差異の大きさは0.4以下に集中しています。それに対し、前年比の事後差異の大きさは1.6までばらついています。両者の事後差異は約3.7倍ということになります。
前期比の市場予想の精度が高いのに、なぜ前年比の市場予想精度がこれほど悪いのか、その理由はわかりません。本指標には、そんなことを調べるよりも、もっと優先して注目しなければいけないことがあります。
例えば、もし前期比の事後差異の大きさと前年比の事後差異の大きさが同程度の影響があるなら、+0.37✕前期比の事後差異+0.1✕前年比の事後差異、という式の解は、指標発表直後の反応方向との一致率が高くなっても良い訳です。
ところが、この式の解の符号がプラスのとき直後1分足が陽線だったことや、マイナスだったときに陰線だったことは、過去59%しかありません。
面倒な計算過程を省略して結論を記せば、この式は、+1.5✕前期比の事後差異+1✕前年比の事後差異、と係数を選んだ方が、直後1分足との方向一致率が65%に改善します。
これなら3回に2回程度は、前期比や前年比の事後差異が直後1分足の方向と一致します。この式を事後差異判別式と呼びます。
纏めます。
発表結果が市場予想とズレたときの直後1分足の反応方向への影響は(前期比>前年比)の関係があり、その影響力は前期比が前年比の1.5倍です。つまり、前期比が+0.2%・前年比が△0.3%だったとき、影響が中和されて直後1分足の値幅は0です。但し、指標結果の良し悪しと直後1分足の反応は、方向一致率が65%とあまり高くありません。
分析には、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
複数の発表項目の影響力の軽重を把握し、見るべきポイントを絞り込むため、各発表項目と反応方向の関係を求めておきましょう。
事前差異判別式は、1✕前期比の事前差異+2✕前年比の事前差異、とします。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足の方向一致率は27%です(不一致率73%)。事前差異に対し、指標発表直前は逆に反応しがちです。
事後差異判別式は、先に挙げた通り、+1.5✕前期比の事後差異+1✕前年比の事後差異、です。この判別式の解の符号と、直後1分足の方向一致率は65%です。指標結果の良し悪しが反応方向に影響しているものの、あまり素直に反応する指標ではありません。
実態差異判別式は、1✕前期比の実態差異+1✕前年比の実態差異、です。この判別式の解の符号と、直後1分足の方向一致率は71%で、直後11分足との方向一致率は56%です。前回結果(前期改定値)に対する良し悪しは、指標発表直後の短時間のみ反応方向に素直に現れます。
本指標は、事後差異に対してよりも実態差異に対しての方が、直後1分足が素直に反応しています。この点は、本指標の特徴だと言えます。
指標発表結果(横軸:事後差異判別式の解)と直後1分足値幅(縦軸)の関係を下図に示します。
回帰線(青線)の相関係数は0.39しかありません。けれども、それは事後差異が0付近での反応がばらついているからです。
それより、縦軸の値の小ささが問題で、直後1分足値幅が10pipsを超えたことは2回しかありません。グラフ上は1点しかありませんが、これは2点が重なっているためです。
次に、直後1分足と直後11分足の関係を下図に示します。
回帰式(赤線)の傾きは1.64で、平均的には反応を伸ばしていることがわかります。対角線(黒斜線)を見ると、直後1分足が陽線で5pips以上の値幅のとき、直後11分足は反応を伸ばしています。
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に対して素直に反応しがちな直後1分足跳幅は過去平均で7pipsです。平均値以下の反応だったことは61%、3pips以下の反応だったことが33%です。
反応が小さい指標です。
次に、過去の反応平均値の推移を下図に示します。
指標発表があっても、最近はほとんど反応していません。この指標は、1・2pipsを狙う指標だということがこの図からわかります。
予兆分析には、指標一致性分析と反応一致性分析を用います。ともに、程度や平均値を問題にせず、方向が一致した回数のみを扱う分析です。
まずは指標一致性分析です。指標一致性分析は、事前差異・事後差異・実態差異といった各差異の符号(プラスが陽線に対応、マイナスが陰線に対応)が、反応方向のどれだけ一致したかを調べています
結果は次の通りです。
次に反応一致性分析です。反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
結果は次の通りです。
反応性分析を用いて、過去発表後に反応を伸ばしたか否かを調べています。直後1分足と直後11分足の跳幅同士・値幅同士を比べます。この分析も、どの程度反応を伸ばしたかを問題にせず、反応を伸ばした回数だけを取り上げています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は76%です。この76%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは92%です。
方向一致率が高く、反応を伸ばしているのだから、初期反応方向を確認したら早期追撃開始です。
直後1分足と直後11分足の終値同士を比べると、指標発表から1分が経過してその後も反応を伸ばしたことは59%です。早期追撃開始で得たポジションは、指標発表から1分以内か数分以内に利確の機会を窺った方が良いでしょう。
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は5pipsです。がしかし、2015年10-12月期を除けば、過去平均跳幅は5pips、同値幅は3pipsです
事前差異判別式は、1✕前期比の事前差異+2✕前年比の事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足の方向一致率は27%です(不一致率73%)。
この判別式の解の符号がマイナスならロングを、プラスならショートをオーダーし、2・3pipsも取れたら利確した方が良いでしょう。
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足の過去平均跳幅は3pips、同値幅は2pipsです。過去の陰線率は86%と偏りがあり、直前10-1分足との方向一致率は29%(不一致率71%)です。
直前10-1分足が陽線なら指標発表1分ぐらい前にショートをオーダーし、利確/損切の目安を2pipsとしておいましょう。
そして、下図は直後1分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足は過去平均跳幅が7pips、同値幅が4pipsです。何度か説明したように、2017年以降の反応は小さく、過去平均の半分程度と見ておいた方が良いでしょう。
過去の陽線率は75%で、直前1分足との方向一致率は21%(不一致率79%)です。直前1分足が陰線になりそうなら、指標発表直前にロングをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。
そして、指標発表後は、直後1分足と直後11分足の方向一致率が76%です。この76%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは92%です。方向一致率が高く、反応を伸ばしているのだから、初期反応方向を確認したら早期追撃開始です。
最後に直後11分足です。
直後1分足と直後11分足の終値同士を比べると、指標発表から1分が経過してその後も反応を伸ばしたことは59%です。早期追撃開始で得たポジションは、指標発表から1分以内か数分以内に利確の機会を窺った方が良いでしょう。
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
@ 前期比
A 前年比
を用います。
本稿は、過去の指標結果と反応方向の関係を分析することによって、本指標発表前後のEURJPY取引に役立つ特徴を見出すことがテーマです。
なお、以下の分析範囲は、2013年1-3月期集計分〜2018年1-3月期集計分の21回分です。但し、2014年1-3月集計分、2015年1-3月集計分、2016年1-3月集計分の3回は、反応方向に関する分析から除外しています。反応方向に関する分析は、それら3回を除いた18回ということになります。
T.指標分析
以下、市場予想は発表直前の値を用い、発表結果は後に修正値が発表されても定時発表値のままを用います。これは本指標の推移そのものより、指標発表直前直後の反応程度や反応方向との関係を重視しているためです。
【1.1 指標概要】
独国GDPはEUの2割弱を占め、英国のEU離脱後は2割強を占めるようになります。
今では盤石とも言える独経済も10年前までは、そんなことありませんでした。1990年台は東西統一によって、失業率が高止まりしていたため内需も振るわず、EUR高で輸出も不調でした(相対的に)。改善の兆しが見え始めたのは2010年頃からで、経済好調が明確になったのは2014年頃からではないでしょうか。
このタイミングは日本とほぼ同期しています。
さて、独経済の強みは、
- 財政黒字・経常黒字・貿易黒字が今後も続きそうなこと(戦略的投資が多岐・長期に亘って可能になる)
- EU域外貿易でのドイツブランドによる顧客開拓のハードル低下と、見なし内需とも言える為替の影響なきEU域内市場を持っていること
- 長期雇用志向に基づく人材育成制度の充実によって、高い技術力を有する中小企業に、裾野の広さ・層の厚みがあること
が挙げられます。一部を除いて、何だか日本と似ている点が多いような気がします。
ただ、こうした強みは経済が不調だった10年前も同じでした。これらを数字を挙げて定量的に説明しても、その事実は変わりません。だから、これらは「強み」というより「個性」に過ぎないのかも知れませんね。
そんな個性には、
- GDP規模が3.8兆ドル(2014年)でEU全体の20%強を占める(2017年)
- GDPに占める公的債務比率が77%と低い(2013年)
- 国家予算規模は1.3兆ドル(2006年)、輸出額は1.5兆ドル(2013年)
- ビッグマック価格は3.90EUR(2016年、日本では390円、米国では5.28ドル)
といった点もあります。
【1.2 差異推移】
指標の推移を示します。グラフは、速報値市場予想・速報値発表結果・改定値発表結果をプロットしています。
まずは前期比です。
さすが独国です。速報値の段階で正しく集計し、改定値で修正されたことなんて、ただの1度もありません。
次に前年比です。
こちらも速報値が改定値で修正されたことは1度しかありません。
独国経済自体に興味がない限り、ここまでの話は予備知識です。我々の興味は、この指標でEURJPYがどう反応しがちなのか、です。
【1.3 予想乖離】
このブログでは、発表結果ー市場予想、を事後差異と呼んでいます。国や指標内容に関係なく、ほとんどの経済指標では、事後差異がプラスなら指標発表直後は陽線、マイナスなら陰線で反応します。こうした関係を「素直な反応」と呼んでいます。
よって、本指標が過去にどの程度の事後差異を生じたかを調べておきます。
分析を単純化するため、事後差異が+0.1でもー0.1でも差異の大きさは0.1と見なします。この差異の大きさ毎の頻度を調べておきました。これは、市場予想の精度を調べたことにもなります。
下図をご覧ください。前期比や前年比の事後差異の大きさをカウントしています。
過去平均の事後差異は、前期比が0.1%、前年比が0.37%です。
そして、前期比の事後差異の大きさは0.4以下に集中しています。それに対し、前年比の事後差異の大きさは1.6までばらついています。両者の事後差異は約3.7倍ということになります。
前期比の市場予想の精度が高いのに、なぜ前年比の市場予想精度がこれほど悪いのか、その理由はわかりません。本指標には、そんなことを調べるよりも、もっと優先して注目しなければいけないことがあります。
例えば、もし前期比の事後差異の大きさと前年比の事後差異の大きさが同程度の影響があるなら、+0.37✕前期比の事後差異+0.1✕前年比の事後差異、という式の解は、指標発表直後の反応方向との一致率が高くなっても良い訳です。
ところが、この式の解の符号がプラスのとき直後1分足が陽線だったことや、マイナスだったときに陰線だったことは、過去59%しかありません。
面倒な計算過程を省略して結論を記せば、この式は、+1.5✕前期比の事後差異+1✕前年比の事後差異、と係数を選んだ方が、直後1分足との方向一致率が65%に改善します。
これなら3回に2回程度は、前期比や前年比の事後差異が直後1分足の方向と一致します。この式を事後差異判別式と呼びます。
纏めます。
発表結果が市場予想とズレたときの直後1分足の反応方向への影響は(前期比>前年比)の関係があり、その影響力は前期比が前年比の1.5倍です。つまり、前期比が+0.2%・前年比が△0.3%だったとき、影響が中和されて直後1分足の値幅は0です。但し、指標結果の良し悪しと直後1分足の反応は、方向一致率が65%とあまり高くありません。
U.反応分析
分析には、事前差異(=市場予想ー前回結果)と事後差異(=発表結果ー市場予想)と実態差異(発表結果ー前回結果)を多用します。差異がプラスのとき陽線・マイナスのとき陰線と対応していれば、反応が素直だと言うことにします。
【2.1 反応概要】
複数の発表項目の影響力の軽重を把握し、見るべきポイントを絞り込むため、各発表項目と反応方向の関係を求めておきましょう。
事前差異判別式は、1✕前期比の事前差異+2✕前年比の事前差異、とします。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足の方向一致率は27%です(不一致率73%)。事前差異に対し、指標発表直前は逆に反応しがちです。
事後差異判別式は、先に挙げた通り、+1.5✕前期比の事後差異+1✕前年比の事後差異、です。この判別式の解の符号と、直後1分足の方向一致率は65%です。指標結果の良し悪しが反応方向に影響しているものの、あまり素直に反応する指標ではありません。
実態差異判別式は、1✕前期比の実態差異+1✕前年比の実態差異、です。この判別式の解の符号と、直後1分足の方向一致率は71%で、直後11分足との方向一致率は56%です。前回結果(前期改定値)に対する良し悪しは、指標発表直後の短時間のみ反応方向に素直に現れます。
本指標は、事後差異に対してよりも実態差異に対しての方が、直後1分足が素直に反応しています。この点は、本指標の特徴だと言えます。
ーーー$€¥£A$ーーー
指標発表結果(横軸:事後差異判別式の解)と直後1分足値幅(縦軸)の関係を下図に示します。
回帰線(青線)の相関係数は0.39しかありません。けれども、それは事後差異が0付近での反応がばらついているからです。
それより、縦軸の値の小ささが問題で、直後1分足値幅が10pipsを超えたことは2回しかありません。グラフ上は1点しかありませんが、これは2点が重なっているためです。
次に、直後1分足と直後11分足の関係を下図に示します。
回帰式(赤線)の傾きは1.64で、平均的には反応を伸ばしていることがわかります。対角線(黒斜線)を見ると、直後1分足が陽線で5pips以上の値幅のとき、直後11分足は反応を伸ばしています。
【2.2 反応程度】
過去の4本足チャートの各ローソク足平均値と、最も指標結果に素直に反応する直後1分足跳幅の分布を下表に纏めておきます。
最も指標結果に対して素直に反応しがちな直後1分足跳幅は過去平均で7pipsです。平均値以下の反応だったことは61%、3pips以下の反応だったことが33%です。
反応が小さい指標です。
次に、過去の反応平均値の推移を下図に示します。
指標発表があっても、最近はほとんど反応していません。この指標は、1・2pipsを狙う指標だということがこの図からわかります。
【2.3 予兆分析】
予兆分析には、指標一致性分析と反応一致性分析を用います。ともに、程度や平均値を問題にせず、方向が一致した回数のみを扱う分析です。
まずは指標一致性分析です。指標一致性分析は、事前差異・事後差異・実態差異といった各差異の符号(プラスが陽線に対応、マイナスが陰線に対応)が、反応方向のどれだけ一致したかを調べています
結果は次の通りです。
- 市場予想は前回改定値を上回りがち(60%)、発表結果は市場予想を下回りがち(59%)、発表結果は前回改定値を上回りがち(60%)です。
- 直前10-1分足は事前差異の良し悪しとの方向一致率が27%(不一致率73%)です。前回改定値に対する市場予想の良し悪しは、直前10-1分足の方向を示唆しがちです。
- 直後1分足は実態差異の良し悪しとの方向一致率が71%です。前回改定値に対する発表結果の良し悪しに直後11分足は素直に反応しがちです。「市場予想に対する」ではない点に注意が必要です。
次に反応一致性分析です。反応一致性分析は、先に形成されたローソク足と後で形成されるローソク足の方向一致率を調べています。
結果は次の通りです。
- 直前10-1分足の陽線率は53%、直前1分足の陰線率は80%です。両者の方向一致率は27%(不一致率73%)です。直前10-1分足は直前1分足の方向を逆方向に示唆していたことが多いようです。
- 直前1分足の過去陰線率は80%、直後1分足の過去陽線率は76%です。両者の方向一致率は27%(不一致率73%)です。直前1分足は直後1分足の方向を逆方向に示唆していたことが多いようです。
- 直後1分足と直後11分足の方向一致率は76%です。反転の恐れは小さいので、問題は反応を伸ばすか否かです。
【2.4 伸長分析】
反応性分析を用いて、過去発表後に反応を伸ばしたか否かを調べています。直後1分足と直後11分足の跳幅同士・値幅同士を比べます。この分析も、どの程度反応を伸ばしたかを問題にせず、反応を伸ばした回数だけを取り上げています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は76%です。この76%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは92%です。
方向一致率が高く、反応を伸ばしているのだから、初期反応方向を確認したら早期追撃開始です。
直後1分足と直後11分足の終値同士を比べると、指標発表から1分が経過してその後も反応を伸ばしたことは59%です。早期追撃開始で得たポジションは、指標発表から1分以内か数分以内に利確の機会を窺った方が良いでしょう。
V.取引方針
以下に過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示し、それぞれの期間の取引方針を纏めておきます。
【3.1 直前10-1分足】
下図は直前10-1分足の始値基準ローソク足です。
直前10-1分足の過去平均跳幅は8pips、同値幅は5pipsです。がしかし、2015年10-12月期を除けば、過去平均跳幅は5pips、同値幅は3pipsです
事前差異判別式は、1✕前期比の事前差異+2✕前年比の事前差異、です。この判別式の解の符号(プラスが陽線、マイナスが陰線)と、直前10-1分足の方向一致率は27%です(不一致率73%)。
この判別式の解の符号がマイナスならロングを、プラスならショートをオーダーし、2・3pipsも取れたら利確した方が良いでしょう。
【3.2 直前1分足】
次に、下図は直前1分足の始値基準ローソク足です。
直前1分足の過去平均跳幅は3pips、同値幅は2pipsです。過去の陰線率は86%と偏りがあり、直前10-1分足との方向一致率は29%(不一致率71%)です。
直前10-1分足が陽線なら指標発表1分ぐらい前にショートをオーダーし、利確/損切の目安を2pipsとしておいましょう。
【3.3 直後1分足】
そして、下図は直後1分足の始値基準ローソク足です。
直後1分足は過去平均跳幅が7pips、同値幅が4pipsです。何度か説明したように、2017年以降の反応は小さく、過去平均の半分程度と見ておいた方が良いでしょう。
過去の陽線率は75%で、直前1分足との方向一致率は21%(不一致率79%)です。直前1分足が陰線になりそうなら、指標発表直前にロングをオーダーし、指標発表直後の跳ねで利確/損切です。
そして、指標発表後は、直後1分足と直後11分足の方向一致率が76%です。この76%の方向一致時に、直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは92%です。方向一致率が高く、反応を伸ばしているのだから、初期反応方向を確認したら早期追撃開始です。
【3.4 直後11分足】
最後に直後11分足です。
直後1分足と直後11分足の終値同士を比べると、指標発表から1分が経過してその後も反応を伸ばしたことは59%です。早期追撃開始で得たポジションは、指標発表から1分以内か数分以内に利確の機会を窺った方が良いでしょう。
W.分析結論
本指標の特徴は以下の通りです。
以下の特徴を踏まえた取引を行うか、その日の値動きが異常なら取引を止めるかがベターな選択肢と考えています。少なくとも過去の傾向に反した取引方法は、長い目で見ると勝率をさげてしまいがちです。
- 発表結果が市場予想とズレたときの直後1分足の反応方向への影響は(前期比>前年比)の関係があり、その影響力は前期比が前年比の1.5倍です。但し、指標結果の良し悪しと直後1分足の反応は、方向一致率が65%とあまり高くありません。
- 反応は小さいものの、いくつかの傾向に従えば取引しやすい指標です。
但し、1回のポジションでたった2・3pipsしか狙えません。欲張ると勝率を下げてしまい、1度でも大きく負けると年間の損益をプラスにできなくなってしまいます。 - 直前10-1分足は、事前差異の良し悪しとの方向一致率が27%です。
直前1分足は、過去陰線率が86%で、直前10-1分足との方向一致率が29%です。
直後1分足は、過去陽線率が75%で、直前1分足との方向一致率が21%です。
直後1分足と直後11分足の方向一致率は75%で、その75%の方向一致時に直後11分足跳幅が直後1分足跳幅を超えて反応を伸ばしたことは92%です。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
注記以上
2018年08月08日
GBPがどこまで下げるか
GBPJPYが2017年9月以来、GBPUSDは同年8月以来、EURGBPは2017年10月以来、のGBP安となっています。英首相のソフトブリグジット路線が内外で支持を得られず、合意無きEU離脱による混乱が現実味を帯び始めたことが売材料となっているようです。
下図は月足チャートで、上がUSDJPY、中がGBPJPY、下がGBPUSDのです。
ここ数か月は、USDJPYの上昇分がGBPUSDの下降分を中和し、GBPJPYらしくない小さな動きが続いていました。もしUSDJPYが明日の日米貿易交渉をきっかけに下げに転じると、GBPJPYは週足で139円台まで下げてくる可能性もありそうです。そもそも先の日銀の政策微調整によって、やな雰囲気が続いていました。
下図は月足チャートで、上がUSDJPY、中がGBPJPY、下がGBPUSDのです。
ここ数か月は、USDJPYの上昇分がGBPUSDの下降分を中和し、GBPJPYらしくない小さな動きが続いていました。もしUSDJPYが明日の日米貿易交渉をきっかけに下げに転じると、GBPJPYは週足で139円台まで下げてくる可能性もありそうです。そもそも先の日銀の政策微調整によって、やな雰囲気が続いていました。
以上
2018年08月06日
英国経済指標への反応要点
掲題につき、以下に一覧整理します。ここに挙げた数値の論拠は、各指標発表前後のGBPJPY反応分析の記事に詳述しています。そちらもご参照願います。
但し、以下の数値は、それら記事の調査開始日から本日(2018年8月7日)までの最新値で、各記事記載の数値とは異なります。
当然、発表毎に以下の数値は変化します。けれども、各詳細分析記事に記載している判別式を改訂しない限り、この数値はあまり大きく変化しません。下表の改訂は半年〜1年に1回程度しか行いませんが、いちいち詳細分析記事に目を通さなくても、各指標への反応の特徴をざっくり一覧・比較するために纏めました。
各指標の直前10-1分足と直後1分足の跳幅と値幅を一覧します。
MPCの項における(予想維持)とは、市場予想通り現状維持だったときの数値です。(それ以外)とは、市場予想通り政策変更が行われたときと、市場予想に反して政策変更が行われたときと、市場予想に反して政策変更が行われなかったとき、を指しています。
※ 表中数値の単位は[pips]です。
各指標の指標一致性分析結果と反応一致性分析結果を下表に一覧します。
例えば、事前差異(=市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率とは、市場予想が前回結果よりも改善/悪化しているなら、指標発表前に陽線/陰線になりがちか否かを調べています。
事後差異(=発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率とは、発表結果が市場予想を上回った/下回ったとき、指標発表直後に陽線/陰線になったかを調べています。
また、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率とは、指標発表前のローソク足と指標発表直後のローソク足の方向一致率を調べています。
※ 表中数値の単位は[%]です。
伸長分析(反応性分析)は、各指標発表直後の反応方向に、その後も反応を伸ばし続けるか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率とは、指標発表後に陽線側/陰線側への反応が続いたか否かを調べています。
次に、両者の方向が一致したときに、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしたか否かを調べています。
そして、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同じ方向に反応を伸ばしたか、直後1分足終値とは逆方向に直後11分足終値になったかを調べています。これら数字から、100−(伸長率+反転率)で、直後11分足終値が直後1分足終値を削った頻度もわかります。
※ 表中数値の単位は[%]です。
以上の英国主要経済指標の詳細分析は以下のリンク先に記載しています。
なお、本稿数値が現時点で最新であり、以前に投稿済の以下のリンク先分析記事では本稿と数字が異なります。
・MPC(予想維持)
・製造業PMI
・サービス業PMI
・物価統計
・雇用統計
・GDP速報値
・GDP改定値
・GDP確定値
・小売売上高指数
・鉱工業生産指数・製造業生産指数
但し、以下の数値は、それら記事の調査開始日から本日(2018年8月7日)までの最新値で、各記事記載の数値とは異なります。
当然、発表毎に以下の数値は変化します。けれども、各詳細分析記事に記載している判別式を改訂しない限り、この数値はあまり大きく変化しません。下表の改訂は半年〜1年に1回程度しか行いませんが、いちいち詳細分析記事に目を通さなくても、各指標への反応の特徴をざっくり一覧・比較するために纏めました。
【反応程度】
各指標の直前10-1分足と直後1分足の跳幅と値幅を一覧します。
MPCの項における(予想維持)とは、市場予想通り現状維持だったときの数値です。(それ以外)とは、市場予想通り政策変更が行われたときと、市場予想に反して政策変更が行われたときと、市場予想に反して政策変更が行われなかったとき、を指しています。
※ 表中数値の単位は[pips]です。
【予兆分析】
各指標の指標一致性分析結果と反応一致性分析結果を下表に一覧します。
例えば、事前差異(=市場予想ー前回結果)と直前10-1分足の方向一致率とは、市場予想が前回結果よりも改善/悪化しているなら、指標発表前に陽線/陰線になりがちか否かを調べています。
事後差異(=発表結果ー市場予想)と直後1分足の方向一致率とは、発表結果が市場予想を上回った/下回ったとき、指標発表直後に陽線/陰線になったかを調べています。
また、直前10-1分足と直後1分足の方向一致率とは、指標発表前のローソク足と指標発表直後のローソク足の方向一致率を調べています。
※ 表中数値の単位は[%]です。
【伸長分析】
伸長分析(反応性分析)は、各指標発表直後の反応方向に、その後も反応を伸ばし続けるか否かを調べています。
直後1分足と直後11分足の方向一致率とは、指標発表後に陽線側/陰線側への反応が続いたか否かを調べています。
次に、両者の方向が一致したときに、直後1分足跳幅を超えて直後11分足跳幅が反応を伸ばしたか否かを調べています。
そして、直後1分足終値を超えて直後11分足終値が同じ方向に反応を伸ばしたか、直後1分足終値とは逆方向に直後11分足終値になったかを調べています。これら数字から、100−(伸長率+反転率)で、直後11分足終値が直後1分足終値を削った頻度もわかります。
※ 表中数値の単位は[%]です。
ーーー$€¥£A$ーーー
以上の英国主要経済指標の詳細分析は以下のリンク先に記載しています。
なお、本稿数値が現時点で最新であり、以前に投稿済の以下のリンク先分析記事では本稿と数字が異なります。
・MPC(予想維持)
・製造業PMI
・サービス業PMI
・物価統計
・雇用統計
・GDP速報値
・GDP改定値
・GDP確定値
・小売売上高指数
・鉱工業生産指数・製造業生産指数
以上
2018年08月05日
2018年8月6日〜8月10日の主要経済指標
【1. 先週備忘】
前7月30日〜8月3日週の主要通貨ペアの動きを下図に纏めます。この図の始値は先週終値を採用しています。
前週も日足と見間違うぐらい動かない週でした。
ーーー$€¥£A$ーーー
31日、日銀金融政策決定会合では、短期政策金利と10年債金利目標と資産買入規模を維持する一方、長期に亘る緩和政策の副作用を緩和するため、長期金利誘導目標(0%程度)の変動幅をこれまで(0.1%)の倍程度(0.2%)まで容認する点で政策を変更しました。
その結果、前週は何度か長期金利が+0.1%を超え、USDJPYの上値を抑えました。
USDは、売買材料が拮抗しています。
米大統領は、2000億ドル相当の中国製品に課す制裁関税の税率を、先に発表した10%から25%に引き上げることを提案していると報道されました。対する中国は、3日、600億ドル相当の米国製品に追加関税を課す報復措置を講じると発表しました。
2日、FOMCでは、高い成長率が今後も続くとの認識により、現在の利上げ政策を継続することが確認されました。9月FOMCでは利上げが確実視されています。
GBPは、売材料の方が多いものの、BOE(英中銀)の考えは違うような気がします。
2日、MPCでは政策金利を0.75%に利上げすることを決定しました。但し、2019年のEU離脱の影響が見通せないため、暫くは利上げを急がない旨が報道解説されています。
同時発表されたインフレレポートでは、1年後・2年後・3年後のインフレ率をそれぞれ2.15%・2.09%・2.03%としており、EU離脱の影響を踏まえて前回発表時よりやや高めになっています。ただ、この数字はBOEのインフレ目標2%とほぼ一致しており、この水準に維持するという決意表明なのか否かはわかりません。
成長率は、2018年・2019年・2020年がそれぞれ+1.4%・+1.8%・+1.7%となっており、これら数字も現状を踏まえるとEU離脱の影響が良い側に働くことになってしまいます。
【2. 今週予習】
今週は、8月10日に日英のGDP速報値が発表されます。また、米国物価指標発表が予定されています。
今週の主要経済指標の発表予定を示します。太字は過去の指標発表直後の反応分析にリンクしています。
8月6日(月)
注目指標無し
8月7日(火)
13:30 RBA(豪中銀)金融政策
8月8日(水)
注目指標無し
8月9日(木)
06:00 RBNZ(NZ中銀)金融政策
21:30 7月集計分米国PPI
8月10日(金)
08:50 4-6月期集計分日本四半期GDP速報値
17:30 4-6月期集計分英国四半期GDP速報値
21:30 7月集計分米国CPI
以上
ーーー注記ーーー
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。詳細は「1. FXは上達するのか」もしくは孤独な英国人は減ったのかを参照願います。
注記以上