2018年04月15日
現状認識と2018年4月16日〜20日の主要経済指標
前週4月9日〜13日の今週に繋がる動きは、米大統領によるイラク化学兵器使用制裁予告ツイートと米国財務省の為替報告書公表がありました。
ツイートの方は11日の米株価を下げる影響があったものの、株価は翌12日には上昇に転じており、影響が限定的でした。14日未明に米英仏連合軍のイラク化学兵器使用への懲罰的攻撃が行われたため、その影響は今週16日朝の窓開けの形で現れるのではないでしょうか。
但し、その窓は意外と早く閉まるかも知れません。論拠は、昨年の同様のシリア攻撃時のリスク回避の動きで、こちらの「2017年4月7日10:12からのリスク回避反応」をご参照ください。事態終了から1時間後にはゆっくり値を戻し始めています。
そして、為替報告書は米国貿易赤字問題に絡めて論じられることが多いものの、公表されてしまえば以後のUSDJPYへの影響はあまりありません。というのも、今週17・18日に日米首脳会談が行われます。
そこでの経済関連テーマは、為替操作監視対象国のことより、米国のTPP復帰問題と鉄鋼・アルミ製品への追加関税課税問題となるはずです。どういう形で米国TPP復帰で日本が米国の面子を立てる代わりに、関税問題(二国間貿易収支問題)で米国の追及を躱すかが注目点だと思われます。
ただ、これも結果が判明するまではJPYにとってリスクと言えます。よって、もし中東問題のリスク回避終了の動きがあっても、あまりJPY売の深追いは禁物と考えます。
本来ならこの時期の日米首脳会談は、米朝首脳会談に向けての両国歩調統一といった政治課題中心であるはずでした。他国の対米首脳会談では、相手国トップの支持率の交渉への影響を考慮しなければならないものの、日本の首相支持率はそうしたことをあまり考慮せずに済みます。むしろ、国内の反対を押し切ってTPP協議を進めてきた現首相が対米交渉にあたることは、日本にとって幸いかも知れません。
貿易問題で大きな変化がなければ、もし大きな変化があってもそれが米国TPP復帰に繋がる内容ならば、USDJPYは上向くのではないでしょうか。
以上の現状認識に基づけば、週明け東証寄り付きでのリスク回避株価下落懸念でJPY買が起きる可能性があるものの、この事態は既に終了しており株価下落に伴うUSDJPYの下げは大したことがないでしょう。むしろ、日米首脳会談での米国からの圧力懸念の方が週前半のUSDJPYの頭を押さえる、と推察されます。それだけに、週後半は別の新たな要因で米株価が下げない限り、JPYが売られる展開を予想します。
今週の主要経済指標の発表予定を示します。
太字はその指標の過去傾向の詳細分析にリンクしています。但し、分析記事の日付にはご注意ください。
詳細分析記事は過去3年程度の全般的な傾向を示したもので、現在の市場環境が平常時と異なる場合には当然それに応じた解釈をご自身で加えなければいけません。
でも、現在の市場環境だけを見ていると、それは運や勘との違いがなくなってしまいがちです。それを避けるためには、過去の傾向通りになりそうなときに取引し、そうでないときには取引を避けることが大切です。
それ以外に確率的再現性をもって中長期の収益の裏付けなんて、初心者やアマチュアにはないのです。
4月16日(月)
21:30 米国3月集計分小売売上高・4月集計分NY連銀製造業景況指数
4月17日(火)
11:00 中国1-3月期GDP
17:30 英国3月集計分雇用統計
18:00 独国4月集計分ZEW景況感指数
22:15 米国3月集計分設備稼働率・鉱工業生産・製造業生産
4月18日(水)
17:30 英国3月集計分物価指標
4月19日(木)
10:30 豪州3月集計分雇用統計
17:30 英国3月集計分小売売上高指数
21:30 米国4月集計分Phil連銀製造業景況指数
4月20日(金)
08:30 日本3月集計分CPI
経済指標発表の予定を見る限り、今週は英国指標中心です。
英国雇用統計では、平均所得の伸びを+3%とする予想も出ています。一方、英国物価指標のCPI前年比は+3%を下回っています。前月発表(2018年2月集計分)では、平均所得前年比+2.8%>CPI前年比+2.7%、と所得の伸びが物価上昇を2017年1月集計分以来13か月ぶりに上回りました。その差0.1が広がりそうなら、そして実際に広がれば、GBPは買われる可能性があります。
但し、それら指標発表は17・18日なので、前述の通り、日米首脳会談での通商問題でJPYにはリスク回避の動きが起きているでしょう。よって、当月はGBPUSDでの取引を行った方が判りやすくて良いかも知れません。
そして、小売売上高指数前月比は、前回発表結果がそろそろ下がる+1%付近(+0.8%)となっています。けれども、物価上昇を所得の伸びが上回り始めたのです。その差が前月より広がり、且つ、小売売上高指数が予想を上回れば、ちょっと大きな反応する可能性があります。
米国指標は、小売売上高とNY連銀製造業景況指数が同時発表されます。反応は、小売売上高>NY連銀製造業景況指数、なので(小売売上高発表項目が全て予想と同値だった場合を除く)、事前分析は小売売上高に限定しても良いでしょう。
NY連銀製造業景況指数やPhil連銀製造業景況指数は、米大統領による貿易収支絡みでの関税問題の影響が悪材料と予想されています。確かに、日欧中韓から見れば悪材料ですが、少なくとも米大統領とそのスタッフはそれが支持率UPに繋がると見込んだ訳です。それに景況感というものが、仕入れ材料の値上げよりも国内での競合製品排除に効くのなら、悪材料という予想は的外れということになります。
なお、NY連銀製造業景況指数とPhil連銀製造業景況指数は、過去の単月毎の実態差異の方向一致率が50%程度で高くありません。
豪州指標は、中国1-3月期GDPと豪州雇用統計が発表されます。
中国指標のAUDへの影響は、11時に指標が発表されてから10分間の方向がその後10分程度継続されることが多いので(定量分析データはありません)、欲張らずに5〜10pips取れたら逃げると良いでしょう。
雇用統計は、最近豪州指標全般に勉強不足のためわかりません。
取引には全く適していないものの、日本3月集計分CPIは注目しています。
CPI前年比・コアCPI前年比は2016年9月集計分以降上昇基調となっています。2月集計分では、CPI前年比が+1.5%、コアCPI前年比が+1.0%です。
関連するスケジュールは、2018年9月に現首相続投があるか否か、コアCPI前年比が+2%に達して日銀金融政策見直しがいつか、次回消費税増税は2019年10月の予定、です。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
ツイートの方は11日の米株価を下げる影響があったものの、株価は翌12日には上昇に転じており、影響が限定的でした。14日未明に米英仏連合軍のイラク化学兵器使用への懲罰的攻撃が行われたため、その影響は今週16日朝の窓開けの形で現れるのではないでしょうか。
但し、その窓は意外と早く閉まるかも知れません。論拠は、昨年の同様のシリア攻撃時のリスク回避の動きで、こちらの「2017年4月7日10:12からのリスク回避反応」をご参照ください。事態終了から1時間後にはゆっくり値を戻し始めています。
そして、為替報告書は米国貿易赤字問題に絡めて論じられることが多いものの、公表されてしまえば以後のUSDJPYへの影響はあまりありません。というのも、今週17・18日に日米首脳会談が行われます。
そこでの経済関連テーマは、為替操作監視対象国のことより、米国のTPP復帰問題と鉄鋼・アルミ製品への追加関税課税問題となるはずです。どういう形で米国TPP復帰で日本が米国の面子を立てる代わりに、関税問題(二国間貿易収支問題)で米国の追及を躱すかが注目点だと思われます。
ただ、これも結果が判明するまではJPYにとってリスクと言えます。よって、もし中東問題のリスク回避終了の動きがあっても、あまりJPY売の深追いは禁物と考えます。
本来ならこの時期の日米首脳会談は、米朝首脳会談に向けての両国歩調統一といった政治課題中心であるはずでした。他国の対米首脳会談では、相手国トップの支持率の交渉への影響を考慮しなければならないものの、日本の首相支持率はそうしたことをあまり考慮せずに済みます。むしろ、国内の反対を押し切ってTPP協議を進めてきた現首相が対米交渉にあたることは、日本にとって幸いかも知れません。
貿易問題で大きな変化がなければ、もし大きな変化があってもそれが米国TPP復帰に繋がる内容ならば、USDJPYは上向くのではないでしょうか。
以上の現状認識に基づけば、週明け東証寄り付きでのリスク回避株価下落懸念でJPY買が起きる可能性があるものの、この事態は既に終了しており株価下落に伴うUSDJPYの下げは大したことがないでしょう。むしろ、日米首脳会談での米国からの圧力懸念の方が週前半のUSDJPYの頭を押さえる、と推察されます。それだけに、週後半は別の新たな要因で米株価が下げない限り、JPYが売られる展開を予想します。
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今週の主要経済指標の発表予定を示します。
太字はその指標の過去傾向の詳細分析にリンクしています。但し、分析記事の日付にはご注意ください。
詳細分析記事は過去3年程度の全般的な傾向を示したもので、現在の市場環境が平常時と異なる場合には当然それに応じた解釈をご自身で加えなければいけません。
でも、現在の市場環境だけを見ていると、それは運や勘との違いがなくなってしまいがちです。それを避けるためには、過去の傾向通りになりそうなときに取引し、そうでないときには取引を避けることが大切です。
それ以外に確率的再現性をもって中長期の収益の裏付けなんて、初心者やアマチュアにはないのです。
4月16日(月)
21:30 米国3月集計分小売売上高・4月集計分NY連銀製造業景況指数
4月17日(火)
11:00 中国1-3月期GDP
17:30 英国3月集計分雇用統計
18:00 独国4月集計分ZEW景況感指数
22:15 米国3月集計分設備稼働率・鉱工業生産・製造業生産
4月18日(水)
17:30 英国3月集計分物価指標
4月19日(木)
10:30 豪州3月集計分雇用統計
17:30 英国3月集計分小売売上高指数
21:30 米国4月集計分Phil連銀製造業景況指数
4月20日(金)
08:30 日本3月集計分CPI
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経済指標発表の予定を見る限り、今週は英国指標中心です。
英国雇用統計では、平均所得の伸びを+3%とする予想も出ています。一方、英国物価指標のCPI前年比は+3%を下回っています。前月発表(2018年2月集計分)では、平均所得前年比+2.8%>CPI前年比+2.7%、と所得の伸びが物価上昇を2017年1月集計分以来13か月ぶりに上回りました。その差0.1が広がりそうなら、そして実際に広がれば、GBPは買われる可能性があります。
但し、それら指標発表は17・18日なので、前述の通り、日米首脳会談での通商問題でJPYにはリスク回避の動きが起きているでしょう。よって、当月はGBPUSDでの取引を行った方が判りやすくて良いかも知れません。
そして、小売売上高指数前月比は、前回発表結果がそろそろ下がる+1%付近(+0.8%)となっています。けれども、物価上昇を所得の伸びが上回り始めたのです。その差が前月より広がり、且つ、小売売上高指数が予想を上回れば、ちょっと大きな反応する可能性があります。
米国指標は、小売売上高とNY連銀製造業景況指数が同時発表されます。反応は、小売売上高>NY連銀製造業景況指数、なので(小売売上高発表項目が全て予想と同値だった場合を除く)、事前分析は小売売上高に限定しても良いでしょう。
NY連銀製造業景況指数やPhil連銀製造業景況指数は、米大統領による貿易収支絡みでの関税問題の影響が悪材料と予想されています。確かに、日欧中韓から見れば悪材料ですが、少なくとも米大統領とそのスタッフはそれが支持率UPに繋がると見込んだ訳です。それに景況感というものが、仕入れ材料の値上げよりも国内での競合製品排除に効くのなら、悪材料という予想は的外れということになります。
なお、NY連銀製造業景況指数とPhil連銀製造業景況指数は、過去の単月毎の実態差異の方向一致率が50%程度で高くありません。
豪州指標は、中国1-3月期GDPと豪州雇用統計が発表されます。
中国指標のAUDへの影響は、11時に指標が発表されてから10分間の方向がその後10分程度継続されることが多いので(定量分析データはありません)、欲張らずに5〜10pips取れたら逃げると良いでしょう。
雇用統計は、最近豪州指標全般に勉強不足のためわかりません。
取引には全く適していないものの、日本3月集計分CPIは注目しています。
CPI前年比・コアCPI前年比は2016年9月集計分以降上昇基調となっています。2月集計分では、CPI前年比が+1.5%、コアCPI前年比が+1.0%です。
関連するスケジュールは、2018年9月に現首相続投があるか否か、コアCPI前年比が+2%に達して日銀金融政策見直しがいつか、次回消費税増税は2019年10月の予定、です。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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