薔薇の会釈
野原に咲いた薔薇の背中
通り過ぎたお花畑
どこかへいったこんぺいとう
野原と共に列車に乗った
プレゼント用のパンを買うと
次第に減る祝福を貰った
子供は僕にプレゼントをくれた
ふっくらした大きなパンを食べ始めた
話題は採れたてのレタス
みずみずしい青が台所に届くまで
太陽は黙り込む
雨を降らせるもう一つの恒星は
おしゃべりが止まらない
私達の手に届くとき
ハッピーエンドに涙を流す
明日のために頂くなら
フレッシュな話題が止まらない
こんな辺境の地に人などいない
それを確認したら折り返し
やってきた道を辿る
それの繰り返し
終点のメロディ
何回も鳴る
繰り返し繰り返し何回でも鳴る
あまい
ライオンの近衛隊が生命に対して激昂している
しかめっ面のライオンは
鎧や兜を身に纏い
羽根が生えていて空を飛ぶこともできる
荒野を駆け巡る
へらへらしてる飛び魚でさえも
海だけでなく空も泳ぐ
にがい
寝て遊んで笑ってる僕も
飛んで泳いで走る
直角に
水平に
空も海も山も
あの地平線と同じように生きたがる
こんな仮想の世界でさえ
黒い草や黒い花が生い茂る
黒い明日もまた
時計台の作業員達がせっせせっせと歯車回し
アナログ時計からデジタル時計
デジタル時計からLED
僕らは妄想している
一秒たりとも休まず働きかけている力の上で
ブリキが動く
新しいメカもそれにつられて動く
日本列島縦断する
メタリックカラーの無機質な日中に
どうやら赤や白などの旗を携え
明日の天気を知らせるものらしい
けどなぜか昨日の雨のような
懐かしい色のような
北海道から沖縄まで撫でるようにゼンマイ回す
車掌は急に方向感覚を失う
そこは崖だったから
虹の線路に乗って新しい大陸を迎えると
再び方向感覚を取り戻す
そこはトンネルだったから
平衡感覚は失わず旅は続く
汽笛の音を響かせて
急にトンネルや森や山を突き抜ける
車掌は新しい大陸の地図を完成させるのに必死だった
最後に映画を見る
遠くかけ離れた黄緑色の高原で一人
フィルムを巻く音は
どこまでも響く
青か赤か白か紺の私は
シネマの空の下
最後に残ったのは
花火が上がった
最後まで映画を見ていた