2018年01月08日
フジモリ氏恩赦 長女・次男の対立鮮明に フジモリ派政党分裂の危機
【リマ=住井亨介】恩赦を受けたペルーのフジモリ元大統領の長女でフジモリ派政党「フエルサ・ポプラル」の党首、ケイコ氏と、同党所属議員で次男のケンジ氏との対立が鮮明化している。ケンジ氏が恩赦にあたり、汚職疑惑をめぐる罷免を回避したかったクチンスキ大統領と取引したとされることを同党が公式声明で批判。ケンジ氏らはこれまで「党内分裂の元凶」とされる側近を重用するケイコ氏を非難しており、両者の対立が党分裂に発展するとの見方が強まっている。
同党が発表した声明は、「恩赦の方法には賛成できないが、フジモリ氏の自由、解放をたたえる」とし、暗にケンジ氏と政権側とで「裏取引」があったことを認め、批判した。
過去2回の大統領選で父の存在が足かせとなって敗北したケイコ氏は、「公私混同」との批判を避けるため公党の党首として恩赦を強く求めることはせず、恩赦に奔走したケンジ氏とは一定の距離を保ってきた。巷間(こうかん)伝えられていた確執の顕在化に、地元大手紙「ラ・レプブリカ」が「恩赦におけるケイコ氏、ケンジ氏の対決」との見出しを掲げるなど各紙とも党分裂の可能性を指摘し始めている。
また、恩赦に反対する左派出身閣僚が去り、新たな組閣が急務のクチンスキ政権が和解、再協調を訴えてフエルサ・ポプラルへの接近を模索している状況にあって、党の声明はケンジ派に対して閣僚登用などの「論功行賞」があるとみられていることを牽制(けんせい)。「党は責任ある建設的野党として汚職との戦いを続ける。党員には行政府への任用に応じないよう忠告する」と宣言、政権との対決姿勢を鮮明にした。
一方で、ケイコ氏は自身やケンジ氏ら4人の子供に囲まれたフジモリ氏の写真をツイッターに投稿し、親の退院を機に姉弟の和解をアピールしてみせたが、そうした演出がどこまで奏功するかは不透明だ。
今後の政局について、中道系の「ペルー21」紙は「ポスト恩赦」と題し、両者の対立を前提に「党の分裂、クチンスキ政権の弱体化と続き、罷免問題が再燃する可能性がある」と指摘した上で、「クチンスキ氏はケンジ派、ケイコ派のどちらに近づくのか」と問い掛けつつ、組閣での人選が今後を占う試金石となるとの見方を示している。
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