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2016年09月18日

来日外国人への診療と臍帯血医療に取り組む 医療法人秀正会理事長・坂元秀樹さん

海外に出かけたとき、「もしここで病気になったら…」と不安になった経験を持つ人もいるだろう。同じことは日本を訪れる外国人にも言える。

 医療法人秀正会理事長の坂元秀樹医師は、日本に赴任中、あるいは旅行で滞在中の外国人を対象に診療をする産婦人科医。

 「外交官や外資系企業の社員の家族はもちろんですが、研究者や留学生、宣教師など色々な職業の方が見えます」と坂元医師。キリスト教だけでなく、イスラム教徒の患者も少なくなく、それぞれの文化を理解した治療方針で、患者の安心感を醸成する。

 特に「契約」を重視する欧米人には、治療に入る前の説明がとりわけ大事になるが、得意とする英語とスペイン語で、高度なインフォームドコンセントを実現させる。

 そんな坂元医師が20年前から取り組む医療の一つに「臍帯血医療」がある。臍帯血とは、へその緒や胎盤に含まれる血液で、あらゆる血液細胞の元となる幹細胞が含まれている。これを保管しておくと、将来さまざまな病気の治療に役立てられる可能性があるのだ。

 「日本では公的と私的の2種類の臍帯血バンクがあり、公的バンクは白血病治療に役立てられます。ただ、こちらは“自分以外”に使われるのに対して、私的バンクは“自分自身と家族”の治療に使われる。日本では脳性麻痺や低酸素性虚血性脳症の治療に期待が持たれているほか、アメリカでは自閉症や小児難聴の治療での臨床試験も進んでいます」(坂元医師)

 臍帯血を取れるのは出産の時に限定されるので、そのタイミングで臍帯血保存を申し出る以外に手段はない。

 「何もしなければ“宝物”を捨てているようなもの」と坂元医師。

 生まれてくる子供の将来のために、親として「臍帯血バンキング」への最低限の知識を持っておきたい。 (長田昭二)

 ■坂元秀樹(さかもと・ひでき) 1949年、神戸市生まれ。75年、関西医科大学卒業。米軍海軍病院でインターンの後、日本大学大学院修了。米・エール大学フェロー、日大医学部産婦人科助教授などを経て、2003年、医療法人秀正会理事長。現在Dr・Sakamoto&Assosiatesともこレディースクリニック表参道、愛育クリニック、トウキョウメディカルエンドサージカルクリニックで診療。日本産科婦人科学会専門医。医学博士。趣味は家族とのゴルフ



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