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2016年02月24日

老後資金を心配する前にやるべきこと

毎月いくら貯蓄をしたらいいの?と考える前に、やるべきことがあります。老後資金に限らず、今の貯められない生活を変えてみましょう!
老夫婦(2)

まずは、家計の見直しで貯蓄の原資を確保

老後まで時間がある30代はどう備えればいいのか?
老後まで時間がある30代はどう備えればいいのか?
「30年後の年金制度が心配だからと言って、すぐに生命保険会社の個人年金保険の加入を考える人がいますが、その前にやるべきことがもっとあるのです」と深野さんは言います。

「老後資金の貯蓄のためだけではありませんが、まずは、普段の生活を見つめ直すことが大事です。家計にムダはないのか、ムリな生活スタイルをしていないか、そして漠然と親世代の価値観に流されていないか、ということです」。

毎月1万円でも老後資金のために貯蓄をしようとしたら、生活費のどこかを切り詰めないといけません。

食費を減らせばいい、趣味や旅行を我慢すればいい。こうした無計画の切り詰め方は長続きしません。30年という長丁場をストレスなく続けるには、一度見直しをしてしまえば自動的にお金を浮かせられるシステムを作ってしまうことです。たとえば、通信費。ガラケーとスマホの2台持ちは本当に必要なのでしょうか。契約を見直すだけでまとまった金額の節約になりそうです。ほかに、月に数回しか行かないジムは思い切って解約するなど、一度決めてしまえば自動的にそのお金が浮く項目がないか、一度、家計全般を見直してみましょう。
まずは固定費から見直してみよう


背伸びした生活スタイルはNG

消費増税の前に!と、十分な頭金がないままに住宅購入に走るのはキケン!「結果的に、自分の身の丈以上の住宅ローンを借りることになり、せっかくの退職金も住宅ローンの返済で消える、ということがないように、分相応の生活スタイルにしておくことが大切です」(深野さん)。

いくら住宅ローン金利が低いといっても、今後の経済状況では超長期固定金利でない限り、返済途中に金利上昇で返済額が増える可能性もあります。そのときに収入が増えていて返済額UP分をカバーできればいいですが、返済負担が重くなれば、それだけ貯蓄に回せるお金も少なくなってしまいます。余計な負担を先々に持ち越さないためにも、マイホーム購入は慎重に行うようにしましょう。

また、親の生活パターンが自分たちにも通用する時代ではありません。場合によっては、親が受け取っている年金のほうが、自分の収入より多いというケースもあるかもしれません。

「親の世代と自分たち世代の価値観は違うんだという認識を持って、親が大丈夫だったから自分たちもなんとかなるではなく、とにかく早く老後資金のための貯蓄をスタートさせるべきです」(深野さん)

次のページは、会社員の特権を生かした老後資金を貯める方法です


会社の制度を徹底的に使うことが先決!

会社にある有利な老後資金を作るための制度を活用できていますか?
会社にある有利な老後資金を作るための制度を活用できていますか?
「サラリーマンであっても、自営業者であっても、老後資金の貯蓄は、ほかの目的の貯蓄と口座を分ける必要があります。わざわざそのために口座を作るぐらい、引き出しにくく、解約しづらく、条件がいろいろあるほうがいいのです」(深野さん)。サラリーマンなら、会社の制度を徹底的に活用。なかでも、財形年金貯蓄か確定拠出年金制度が使えれば、第一候補になります。

財形年金貯蓄は、給与天引きで積み立てができ、60歳以降に年金として受け取れるというもの。財形住宅貯蓄と合わせて550万円までは非課税というメリットがあります。原則、60歳までは解約できないので、老後資金の積み立てにはぴったりの商品です。財形住宅貯蓄と併用する場合は、上限額を超えると全額課税になってしまうので、まずは財形住宅貯蓄を優先し、住宅購入が終了してから財形年金貯蓄をスタートさせるというのも賢い方法です。
杖で歩くお婆ちゃん(3)

住宅購入が終わってから財形年金スタートがベストか

導入企業が増えてきた確定拠出年金制度、いわゆる日本版401kも老後資金の準備には最適な商品です。掛け金が個人ごとの口座で管理され、いつでも自分の年金資産を確認できます。運用する金融商品は企業側で用意した商品から自分で選択し、その商品の運用次第で将来の受け取り年金額が変わるというものです。掛け金は企業が負担しますが、2012年からは、従業員も掛け金を上乗せできる「マッチング拠出」がスタートしました。自分が拠出した掛け金は所得控除になりますので、勤務先に確認して積極的に利用しましょう。確定拠出年金制度も60歳にならないと払い出しができないので、他の目的のために使いこんでしまう心配がありません。
老後資金の使い込みを防げる確定拠出年金


老後資金の使い込みを防げる確定拠出年金



次ページでは、自営業者の節税にも役立つ、老後資金の貯め方を紹介します

自営業者が活用したい「節税」もできる年金制度

自営業者に有利な年金制度を活用して貯めよう
自営業者に有利な年金制度を活用して貯めよう
公的な社会保障が少ないと思いがちな自営業者。確かに国民年金だけでは、老後の生活を維持していくのはムリ。でも不足する分を補うために、いきなり投資商品からスタートするのは間違いです。公的な制度で年金を上乗せすることができるのです。

「意外と見逃している人が多いのですが、自営業者なら節税もできる公的な制度をちゃんと利用して、そのあと余裕があれば投資商品などで老後資金を準備するのがいいでしょう」(深野さん)。深野さんが、まず加入すべきと言うのは、「国民年金基金」もしくは「国民年金付加年金」。名前は知っていてもメリットまで理解している人は多くないのでは。

国民年金基金は、国民年金の加入者(第1号被保険者)であれば、だれでも加入でき、掛け金は全額が所得控除になりますので、自営業者には税制上のメリットが大きい制度です。掛け金は、加入時の年齢や性別、将来の年金の受け取り方などで異なりますが、上限は月額6万8000円まで(個人型確定拠出年金と合算)となっています。たとえば、30歳男性で「終身年金A型」を選択した場合、掛け金は9740円。これで生涯にわたって基本月額年金2万円が受け取れるのです。当然、年齢が高くなれば掛け金は増え、受け取れる年金額も少なくなるので、早くから加入をしたほうがオトクというわけです。
節税にもなる国民年金基金


このほかに、通常の国民年金保険料に毎月400円の付加金を上乗せして支払う「国民年金付加年金」という制度もあります。上乗せされる年金額は「加入した月数×200円」で65歳から生涯受け取れます。1年加入した場合、掛け金は4800円で受取額は年2400円。つまり、2年で元が取れる計算になり、これもオトクな制度です。

自営業者の退職金代わりの「小規模企業共済」

サラリーマンと違って、自営業者には退職金はありませんが、それに代わる制度があります。(独)中小企業基盤整備機構が運営するもので、個人事業主や共同経営者、会社の役員などが加入できる共済です。個人事業を廃業したり、会社の役員を退職したときなどに共済金(解約手当金)が支払われます。掛け金は毎月1000円〜7万円までで自由に設定でき、全額が所得控除されます。


掛け金は全額が所得控除される小規模企業共済


個人型確定拠出年金も活用できる

サラリーマンしか使えないと思っている人も多いのでは? 確定拠出年金制度には、自営業者が利用できる「個人型」があり、仕組みは企業で導入しているものと同じで、自分で運用する金融商品を選び、その運用実績で将来受け取る年金が変動するというもの。企業型との違いは、当然のことながら、掛け金は個人が支払うことと、事務費などの手数料がかかるということです。最大のメリットは掛け金が所得控除されて節税が可能なこと、運用期間中に得た収益は非課税なこと、年金で受け取る場合は公的年金等控除が、給付金を一括で受け取る場合は退職所得控除が受けられることです。
自営業者が使える確定拠出年金の個人型


民間の個人年金保険に加入したり、投資信託などを利用して老後資金を準備する前に、こうした税制メリットのある公的な制度を徹底的に活用しましょう」(深野さん)

次は、老後のお金の貯め方、自分年金の作り方をご紹介します!
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