2018年07月25日
【コラム】W杯ロシア大会が韓国サッカーに示した教訓
1カ月間にわたり全世界を熱くしたサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会。169回ネットを揺らしたゴールの1つ1つに世界は一喜一憂した。
その多くのゴールの中でも、特に2つのゴールが脳裏に焼き付いている。その1つは、世界ランキング50位の韓国サッカー界のスター、ソン・フンミンが、2014年W杯優勝国であり世界ランキング1位・ドイツとのグループリーグ戦でアディショナルタイムに決めた2本目のゴールだ。DFがボールを奪い、相手陣営に深々とクロスを飛ばした瞬間、ソン・フンミンが疾走を開始した。既に1−0とリードして勝利が決まったも同然だったのに彼は全力で走って、エンドラインを割るかと思われたボールをドイツのゴールに押し込んだ。ソン・フンミンのこの時の瞬間速度は時速34キロメートル。ロシアW杯のスター選手として注目されたフランスのキリアン・エムバペより速かった。
韓国の選手たちは当時、他会場で行われていた同組スウェーデン対メキシコ戦の状況を知らなかった。韓国がドイツに2−0以上で勝ち、メキシコがスウェーデンに勝てば決勝トーナメントに進出できるという不可能に近い希望を抱いてピッチにすべてを注ぎ込んだ。すでに100分以上ピッチを走り回っていたソン・フンミンが最後の力を振り絞ったのは、個人のゴール記録を狙っていたからではなく、韓国の決勝トーナメント進出を切望したからだった。
脳裏に焼き付いているもう1つのゴールは、人口415万人の小国、クロアチアが決勝でフランスを相手に前半に決めた同点ゴールだ。フリーキックのチャンスでキッカーがゴールではなく右サイドにボールを浮かせた時、「何やっているんだ」と思った。ところが、そのボールはクロアチアの選手たちの頭を3回、足を1回経て、イバン・ペリシッチの左足による強烈なシュートへとつながり、フランスのゴールネットを揺らした。
多くの人々がこのゴールを「まぐれだ」と言った。しかし、もともと前もって約束していたプレーを通じて不確実なことを可能にするのがセットプレー戦術だ。クロアチアの選手たちは何としてでもこのチャンスを生かそうと、空中のボールに向かって高く跳んで頭を合わせ、足を真っ直ぐに伸ばして必死にボールをつないだ。彼らはゴールを見ず、チームメートたちがどこにいるかだけを見ていた。
2000年初め、ブラジル代表としてプレーして人気を集めたカカは「私を信じる10人の『私たち』がいるのでピッチに立つ時は全然怖くない」と言った。リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウド、ネイマールなど個人技の面で現役トップクラスのFWたちは誰も決勝に上がれなかった。彼らは個人的にはスーパーヒーローのように強かったが、チーム対戦では相手チームのDF陣に封じ込められ、寂しくW杯を去った。
グループリーグ敗退後、ドイツでは「韓国に負けたのは最強のドイツではなく、『インターナショナル・チーム』だった」と自らを慰めているという。ポーランド・トルコ・ガーナの血筋を持つ選手がいるドイツ代表チームの価値を自らおとしめる言葉だ。しかし、優勝したフランス代表選手23人のうち21人がアフリカ系だ。フランス代表選手たちは肌の色は違っても、チームメートたちの声に耳を傾けた。つらい時は愛情をもってかばい合った。監督も犠牲を強いる戦術ではなく、個性の強い選手たちの長所と創意工夫を生かしてチームを「それぞれ違う1つ」に作り上げた。最強だと自負していたドイツが挫折したのは、肌の色が異なっていたからではなく内部分裂していたからだ。
韓国もかつて「ワンチーム」としてプレーし、全世界から称賛を浴びた時代があった。しかし、それがいつだったか記憶が定かでなくなって久しい。今のように社会の各方面で「私がすれば恋のロマンス、他人がすれば不倫」とばかり主張し、相手の言葉に耳を傾けなければ、その結果がどうなるかは自明の理だ。ロシアW杯でどのチームが成功し、どのチームが失敗したかを自らの目で目撃したはずではないか。
スポーツ部=姜鎬哲(カン・ホチョル)部長
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その多くのゴールの中でも、特に2つのゴールが脳裏に焼き付いている。その1つは、世界ランキング50位の韓国サッカー界のスター、ソン・フンミンが、2014年W杯優勝国であり世界ランキング1位・ドイツとのグループリーグ戦でアディショナルタイムに決めた2本目のゴールだ。DFがボールを奪い、相手陣営に深々とクロスを飛ばした瞬間、ソン・フンミンが疾走を開始した。既に1−0とリードして勝利が決まったも同然だったのに彼は全力で走って、エンドラインを割るかと思われたボールをドイツのゴールに押し込んだ。ソン・フンミンのこの時の瞬間速度は時速34キロメートル。ロシアW杯のスター選手として注目されたフランスのキリアン・エムバペより速かった。
韓国の選手たちは当時、他会場で行われていた同組スウェーデン対メキシコ戦の状況を知らなかった。韓国がドイツに2−0以上で勝ち、メキシコがスウェーデンに勝てば決勝トーナメントに進出できるという不可能に近い希望を抱いてピッチにすべてを注ぎ込んだ。すでに100分以上ピッチを走り回っていたソン・フンミンが最後の力を振り絞ったのは、個人のゴール記録を狙っていたからではなく、韓国の決勝トーナメント進出を切望したからだった。
脳裏に焼き付いているもう1つのゴールは、人口415万人の小国、クロアチアが決勝でフランスを相手に前半に決めた同点ゴールだ。フリーキックのチャンスでキッカーがゴールではなく右サイドにボールを浮かせた時、「何やっているんだ」と思った。ところが、そのボールはクロアチアの選手たちの頭を3回、足を1回経て、イバン・ペリシッチの左足による強烈なシュートへとつながり、フランスのゴールネットを揺らした。
多くの人々がこのゴールを「まぐれだ」と言った。しかし、もともと前もって約束していたプレーを通じて不確実なことを可能にするのがセットプレー戦術だ。クロアチアの選手たちは何としてでもこのチャンスを生かそうと、空中のボールに向かって高く跳んで頭を合わせ、足を真っ直ぐに伸ばして必死にボールをつないだ。彼らはゴールを見ず、チームメートたちがどこにいるかだけを見ていた。
2000年初め、ブラジル代表としてプレーして人気を集めたカカは「私を信じる10人の『私たち』がいるのでピッチに立つ時は全然怖くない」と言った。リオネル・メッシ、クリスチアーノ・ロナウド、ネイマールなど個人技の面で現役トップクラスのFWたちは誰も決勝に上がれなかった。彼らは個人的にはスーパーヒーローのように強かったが、チーム対戦では相手チームのDF陣に封じ込められ、寂しくW杯を去った。
グループリーグ敗退後、ドイツでは「韓国に負けたのは最強のドイツではなく、『インターナショナル・チーム』だった」と自らを慰めているという。ポーランド・トルコ・ガーナの血筋を持つ選手がいるドイツ代表チームの価値を自らおとしめる言葉だ。しかし、優勝したフランス代表選手23人のうち21人がアフリカ系だ。フランス代表選手たちは肌の色は違っても、チームメートたちの声に耳を傾けた。つらい時は愛情をもってかばい合った。監督も犠牲を強いる戦術ではなく、個性の強い選手たちの長所と創意工夫を生かしてチームを「それぞれ違う1つ」に作り上げた。最強だと自負していたドイツが挫折したのは、肌の色が異なっていたからではなく内部分裂していたからだ。
韓国もかつて「ワンチーム」としてプレーし、全世界から称賛を浴びた時代があった。しかし、それがいつだったか記憶が定かでなくなって久しい。今のように社会の各方面で「私がすれば恋のロマンス、他人がすれば不倫」とばかり主張し、相手の言葉に耳を傾けなければ、その結果がどうなるかは自明の理だ。ロシアW杯でどのチームが成功し、どのチームが失敗したかを自らの目で目撃したはずではないか。
スポーツ部=姜鎬哲(カン・ホチョル)部長
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