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■ Type Bオーロラの謎
なぜピンク色に染まるのでしょうか? オーロラカーテンの主成分は緑色で、これは酸素原子の発光によるものです。スペクトル観測によって、窒素分子の放つ赤色のオーロラと窒素分子イオンが放つ青色のオーロラが混ざることによってピンク色に見えることが分かっています。 1950年代以降、「Type B」オーロラの原因として、ピンク色のオーロラが増光したか、あるいは緑色のオーロラが何らかの原因で消光したかのどちらかが考えられてきました。この考えでは、より低い高度まで侵入できるエネルギーの高い電子が宇宙空間から降り込んでいることが条件になります。また、1990年代には、緑色のオーロラが光るまでの時間と、ピンク色のオーロラが光るまでの時間には差があることが「Type B」オーロラの原因であるという指摘がなされました。
これまで考えられてきたType Bオーロラの原因
赤色オーロラ(670 nm)が増光
緑色オーロラ(557.7 nm)が減光
赤色オーロラのバンドの遷移
電離圏内で局所的に加速を受けた電子による赤色オーロラの増光
赤色オーロラと緑色オーロラの発光時定数の相違
周囲より高いエネルギーを持つ電子が降り込んでいるかどうかが、ピンク色に光るオーロラを解明する鍵となるわけです。しかしながら、ピンク色のオーロラは希にしか現れませんし、ましてやピンク色のオーロラの上空をの上空をタイミング良く人工衛星が通過して、降り込む電子を詳細に観測することなど、滅多にないことです。殆ど不可能と思われていたピンク色のオーロラと降り込み電子の同時観測を、日本のオーロラ観測衛星「れいめい」が可能としました。
「れいめい」衛星が初めて実現したType Bオーロラと降り込み電子の同時観測。
上の図は、「れいめい」衛星が観測したオーロラの画像と、降り込み電子を示しています。一番上に示されている白い四角い点が、「れいめい」衛星の足下のなります。衛星はオーロラを右上から左下へ向けて移動していきます。パネル(C)は、衛星の足下に沿ってオーロラの発光強度を示したもので、緑色のオーロラ(波長557.7 nm)よりも赤色のオーロラ(波長670.0 nm)が先に上昇します。これがまさに「Type B」オーロラの中心部にあたります。パネル(D)は、衛星が観測した降り込み電子のエネルギー量を示したものです。「Type B」オーロラの中心部ではそのエネルギー量は約6 mW/m2 です。時間が経つにつれ、緑色のオーロラが卓越している領域では、降り込み電子のエネルギー量は10-16 mW/m2 にも達します。平均エネルギーは、殆ど変化がありません。つまり、赤色のオーロラが卓越している領域は、他の領域と比べて高いエネルギーの電子が降っているわけではないのです。これは、ピンク色のオーロラを作る原因として、より高いエネルギーを持つ電子は必要条件ではなく、むしろ、電子が降り込む位置が素早く移動していることで容易に説明できることを意味しています。
電子が降り込んでから緑色のオーロラ(波長557.7 nm)が発光するまで約0.7秒かかります。それに対して赤色のオーロラ(波長 670.0 nm)が発光するまではマイクロ秒程度で殆ど一瞬です。電子が降り込む位置が素早く移動する、つまり、オーロラカーテンが素早く移動すると、先端部分で赤いオーロラが光り、続いて緑色のオーロラが遅れて光る、ということです。緑色のオーロラは明るいため、赤いオーロラが光っていても肉眼では赤色に認識できなくなります。ピンク色に光るオーロラの写真を撮るためには、数秒以下の短い露光時間が必要となるなのは、このためです。
(磁気嵐より引用)
ノルウエーのオーロラ
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