2015年05月04日
そう言えば「人魚シリーズ」高橋留美子(part1)
そう言えば、昔実家に高橋留美子の『人魚の森』『人魚の傷』というコミックスが置いてありました。これは、高橋留美子の、人魚にまつわる統一した世界観の中で描かれた短編を集めたものです。「人魚シリーズ」とも呼ばれています。
おそろしいですけど美しい話ですよ。
人魚の森 (るーみっくわーるどスペシャル)
さて、人魚シリーズとはいえ、これは美しい人魚が描かれるというようなものではありません。というか、人魚は理性あるようなものとして扱われてすらいない。
話の主題は「不老不死」です。人魚の肉を食べると不老不死になれる、とこういう訳です。
ただ、人魚の肉はほとんどの人間にとってはただの猛毒で、食べると死んでしまうのが常です。人魚の肉を食べて、不老不死になる体質を持った者はとても少ないのです。
また、死ぬだけならまだマシで、人魚の肉を食べると「なりそこない」というものになってしまう場合がある。不老不死になりそこなった「なりそこない」は、理性を失った醜い化け物です。若くて気立ての良い女性が、人魚の肉を食べて「なりそこない」になってしまう場面などは心をえぐられるようですよ。
要は、「人魚の肉」を食すと、
@死ぬ
A「なりそこない」になる
B不老不死になる
という可能性があり、「B不老不死になる」の確率は非常に低いというわけです。
さて、物語は人魚の肉を食べて不老不死になった主人公と、人魚の肉を巡って進んでゆくわけですが、どうでしょう? あなたなら、人魚の肉が手に入るとして、食べますか? あるいは、食べて不老不死になったとして、不老不死とは幸せなものなのでしょうか。少なくとも主人公は、普通の体に戻ることを切望していますし、不老不死なんて実際なってみたらろくなものではないことくらい軽く想像がつきますね。でも、仮に想像はできても、人は不老不死を求めてしまうのです。中でも、病気や死に直面した場合は特に。
そんな所が、このマンガのテーマです。
おどろおどろしい場面もありますが、無意味に残虐な場面を拵えているわけではありません。
また、絵もとても綺麗ですね。
ちなみに、人魚シリーズの中で一番好きなお話は「闘魚の里」でした。とても切ないお話ですよ。
人魚の森 (少年サンデーコミックススペシャル―高橋留美子人魚シリーズ)
人魚の傷 (少年サンデーコミックススペシャル―高橋留美子人魚シリーズ)
夜叉の瞳 (少年サンデーコミックススペシャル―高橋留美子人魚シリーズ 3)
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