アフィリエイト広告を利用しています
検索
<< 2015年11月 >>
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          
最新記事
カテゴリーアーカイブ

広告

この広告は30日以上更新がないブログに表示されております。
新規記事の投稿を行うことで、非表示にすることが可能です。
posted by fanblog

2015年11月10日

中国と東京裁判(8):『梅汝璈日記』5

1946年4月10日水曜日
午前九時に方秘書が来て、我々は一緒に自動車に乗って法廷に向かった。道すがら私は一般市民の投票の動きと熱意を観察したが、それは本日が日本有史以来の初の普通選挙だからである。しかし私がとても失望したのは、どこも極めて無関心なほど冷静で、二十年前に私が米国で見たような熱狂がまったくなかったからである。長期間にわたりファシズムの薫陶を受けてきた日本の民衆にとっては、選挙に何の意味があるのかどんなよい点があるのかおそらくよく理解していないのであろう。

十時に裁判官の談話会が開催され、代理裁判長のノースクラフト氏が主席に座った。彼は検察長キーナンからの手紙を報告した。4月15日に起訴書を提出する予定で、法廷が正式な日時を指定して受理してほしいとのことであった。これはとても意外でキーナンがこんな手を打ってくるとは思いもよらなかった。しかし私の内心ではこれはハッタリではないかと疑っていた。なぜなら私は検察処が忙しくて猫の手も借りたいほどで、起訴書が15日に正式に提出できるかどうか怪しいと言う事を知っていたからである。

しかしキーナンがこうして通告をしてきたからには、我々も彼の挑戦を受けて立たなければならない。私たちは議決で、15日にキーナンを法廷に呼んで起訴書を提出させ、この日にその副本を各被告戦犯に渡すということに決めた。同時にその時に提出から三日目か四日目を指定して開廷して起訴儀式を挙行し、検察官に起訴書を朗読させ、各被告に法廷に出席させ「有罪」か「無罪」かを確認する。この儀式を挙行した後に、被告と弁護士が十分に答弁を準備する時間を与えるため、およそ一ヶ月を隔てて審判を開始する。私は15日に起訴書を受理し、その副本は法廷から各被告に渡すべきで、検察処から渡すべきではないと意見を述べた。みんなが私の主張に同意した。

私たちはこのように決定してから、ノースクラフト氏を推薦して午後にキーナンと詳細な点を話し合うよう勧めた。みんながようやくことが動き始めたと感じて、心中で大いにほっとした。マクドゥガル氏とレーリンク氏はとても熱心で、彼らは「訴訟手続き細則」の第二次草案の提出を討論したいようであったが、しかしノースクラフト氏はウェッブ氏がまだ戻っていないことを理由に、それに断固反対であった。会議が終了してから、私は法廷の事務主任であるヘンリー大佐に会ったので、ついでに秘書処に私の名前の綴りがよく間違って書かれてあることについて抗議した。彼は謝罪してすぐに修正することを約束し、以後はこのような間違いが起こらないようにすると言った。これは大した問題ではないが、彼らは何でも真面目に処理して、決していい加減にしようとはしない。

ヒギンズ氏と一緒にバーでコーヒーを飲んだ。私たちはとても気が合い、それに酒も飲めないので、話し始めるととても親切で話が弾む。これは中国と米国の一貫した友好関係を象徴しているようだ。彼は私よりおよそ十五歳くらい年上なので、兄を自任しており、ときに私やレーリンク氏を弟のように呼ぶ事がある。バーを出てから私たちは一緒に自動車に乗ってレストランで食事をした。

昼寝から起きるとすでに三時になっており、私は約束しておいた方秘書が来たので、自動車に乗って上野公園に皇居博物館を参観しに出かけた。これは元々は皇居の一部であったが、投降後に連合軍が日本人に公共の博物館に改造させ、人々の観覧のために公開したのである。中に陳列されているのは日本の歴代の衣服文物や陶器の模型などである。展示物はあまり多くなく、なにやら「装飾だけ豪華で、内容は空虚」という感じであった。すでによい物のの多くは別の場所に運ばれてしまったそうである。

参観して博物館から出てくると、我々は中国連絡参謀事務所へ行きここ最近数日の中央者の電報を見た。いろいろと見たがどれも国共の東北争奪戦のことと物価が飛ぶように高騰しているというニュースであった。

五時から七時まで、私と方秘書は遠東国際軍事裁判の「訴訟手続き細則」(ウェッブ氏起草)の第二次草案を読んだ。私たちは逐条朗読し、逐条研究し、オリベッティ大佐(第8軍で裁判と戦犯を主管している法律実務家)が提出した個人意見書と対照し、私たちは多くの部分でまだ修正の余地があることを発見した。さらに細かく一、二度研究した後、私は「判事会議」で書面のメモランダムを提出するかもしれないし、少なくとも会議で討論する時に私は十分な準備と理解をもって臨むことができる。各国が派遣してきた同僚はみな経験があり、地位のある裁判官ばかりなので、私は十分慎重に丁寧に事を行い、決していい加減にする事はできない。八時に王将軍が彼の日本語教師を招いて食事し、私もそれに付き合った。私たちは食べて、話をしてとても愉快であった。しばらくすると、向検事が来て、我々は十一時まで語り合って別れた。部屋に戻り太極拳を練習して、シャワーを浴びて、十二時に就寝した。

東京裁判 [ 日暮吉延 ]

価格:1,188円
(2015/11/12 08:10時点)
感想(2件)


×

この広告は30日以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。