評価：★★★★　recommend

流れにさらわれ、見知らぬあの人の胸に

岸洋子は偉大な女性シンガーです。例えば「オー・シャンゼリゼ」は多くのシンガーが歌っていますが、筆者は彼女のものがフェイバリットです。
彼女の歌唱には、美空ひばりのような圧倒的な「声の厚み」や、美輪明宏のような面白く聞かせるための「演技」、そうした特徴を挙げることは出来ません。それがどうして「良い」のか？それは歌のバランスの良さにあると思います。トガってない、なんだかホッとする、そんなよさ、森本レオの声みたいです。つまり、声を楽器とすると「完璧なコントロールの」歌唱を聞かせてくれます。対極としては、「ロマンスの神様」で有名な広瀬香美は、歌の特訓をしたせいか、時々鼻につく程、声を伸ばした歌い方をすることがあります。岸洋子は、時々レコードを引っ張り出して聞くと「やっぱりいいなぁ」としみじみ思える歌手です。

試聴：岸洋子の「群集」：原題は「La Foule」@youtube