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2007年10月17日
音楽における世界平和の難しさ
「ヴィットリオ広場のオーケストラ」というドキュメンタリー映画の試写会に行ってきた。
内容をチラシの紹介文から拾ってみよう。 「ローマ旧市街のヴィットリオ広場周辺は移民が多く、60以上の民族が暮らしている。急速に街が変化していくなか、イタリア指折りの古く美しい映画館“チネマ・アポロ”は閉館しようとしていた。  映画館の再生、そして多様な住民の相互理解のため、ピアノ弾きのマリオと映画監督アゴスティーノは立ち上がる。  映画館名から、人類の夢と実現という思いを込めて(月面初到達の)“アポロ11号”と名づけられたその計画には、ミュージシャン、知識人、俳優、あらゆるジャンルの芸術家たちが集まり、多国籍にして無国籍のオーケストラ結成を目指すことになる。」  この記録が始まったのは2001年ごろで、すでにこの旧市街では中国移民が多く流入し、イタリア経済に対して大きな影響を持つようになっていたため、排斥運動が顕在化していたらしい。 こうしたなかで、この旧市街を一掃し、中国系のみならずほかの移民を含めて追い出しを図ろうとした政策に対する反対運動が“アポロ11号”計画ということのようだ。 異民族を集めたオーケストラという構想は、この計画の象徴的な存在であり、また、活動資金を集める手段としても機能するはずだった。 ところが、風俗習慣がまったく異なった人間が集まっただけで、簡単に調和の取れた音楽を作ることは難しいことが、改めて実証される結果となった。 そもそも音楽は“イディオム”と解釈されるように、言語に等しい文化的な背景を持つものだ。 バベルの塔さながらに、シンパシーを共有するコミュニティのなかでのみ通用する“暗号”を多く秘めたこのコミュニケーション手段は、ある意味で言語よりも排他的な面を持っている。 だから、この映画においても、ヴィットリオ広場のオーケストラが継続して(現在も)活動を続けていることを必ずしも“成功”と呼べないと私が思うように、音楽的な成果をあげた記録では決してないと言えるだろう。 では、なにを見ればいいのか。 私が興味を持ったのは、ローマという古代から続く大都市に厳然として存在する異民族の流入経路。 “すべての道はローマに通ず”はいまだに生きていることに驚くとともに、このシステムこそが近世ヨーロッパにおける西洋音楽を作り出す源になっていたことを思い起こさせてくれる、実証理論を示した記録であるという点だ。 結果的に、政治的な方法論であった“アポロ11号”計画は、イタリア先住者たちの共感を得られずに空中分解したようだが、理念を押し殺して“音楽”という無害の(そして商業的な)マテリアルで構築された関係は、残った。 20世紀における商業音楽の発展と、各種異民族間の音楽要素の融合は、こうした商業的な枠組みに特化したことによってのみ成立したということが、この映像から確かに伝わってくる。 この映画は、いちばん安易だと思われていた音楽のジャンルにおいてこそ、最も世界平和の実現が難しいことを教えてくれる、とても興味深いテキストだと言える。 映画「ヴィットリオ広場のオーケストラ」公式サイトはこちら http://vittorio-hiroba.com/

Posted by えいち at 10:54 | この記事のURL
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