就職したメーカーで、勝は、出身地の大阪勤務になった。
聖子は、東京の建設会社で事務の仕事をしている。
二人は、大学の同級生。
付き合い始めたのは、21歳の時。
ゼミのコンバの打ち上げで、三次会の店を出た時に、ふたりは、
仲間とはぐれた。
「終電もないし、朝まで飲むつもりだったのに・・・」
と、誰かの携帯を鳴らそうと思った時、勝がふいに聖子の
手を掴んだ。
「僕とこに泊まれば・・・」
あれから3年。
就職で半同棲状態だった恋愛から遠距離恋愛になった。
ふたりが会うために使うのは、ほとんど夜行バス。
値段も安いし、女性用のサービスもあって、なかなか快適。
それでも、バスに乗る瞬間、なんだか、とっても寂しくなる。
少なくとも一ヶ月は会えない。
今回も、ユニバーサルスタジオジャパンで遊んで、お好み焼きを食べて、
楽しい時間をいっぱい過ごした。
でも、聖子は、バスで帰る。楽しく遊んだ分だけ切なくなった。
バスに乗る瞬間、涙が出そうになった。
努めて明るく振舞う。
「またね」
「もういいよ」
「えっ?」
「結婚しょう。大阪に来いよ」
「ひょっとして、プロポーズ?」
また、嬉しくなって、涙が出てきた。
「今度は、結婚の打ち合わししながら、ゆっくりしょう」
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