聖人君子に程遠い

忌めば則ち怨み多し

出典は春秋左氏伝から。
誰かを忌み嫌えば、逆にその人から怨まれることになる。
つまり「自分が嫌えば相手も嫌う」「相手は自分の鏡」なのです。
心の中に忌み嫌う気持ちがあると無意識のうちに口から出てしまい、それが気づかぬうちに巡り巡って相手に届いてしまっていることもあるのです。
そして巡っていくうちに小言が大言になってしまっているのです。

コンビニで働いていた時の話。
その日、風邪をこじらせて5日目だった。
ピークは過ぎて軽くセキ込むぐらい。
初日から水分を採って、よく寝て、よく食べて、タバコも吸わず、周りにうつさないようにマスクをしていた。
そんな状態で2週間働き詰めて、完治まで2週間かかった。
休みが1日でもあればもっと早く治せていた。
何故休みが無かったのかと言うと、僕が風邪を引き始めて社員さんが風邪でダウンして先に交代を頼まれてしまったからだ。
駐車場まで20mもないのに30分もかかったぐらい酷い状態だったらしい。

掛け持ちと交代で1週間ぶりにその社員さんに会った。
明らかにここ数日、風呂に入ってないであろうテカりを見せる髪。
かなりかっぷくの良い体型なのに、妙に痩せている首回り。
目蓋回りも痩せて無駄に爽やかな目元。
瞳は少年のような輝きを宿している。
そして赤ちゃん言葉手前の甘い言葉使い。
腹立った。
休みを取っていながら未だ全快ではない。
不可抗力で風邪をひくのは仕方ないけれど治す努力をしないのは正直腹が立つ。
誰かが穴埋めで休み返上して働かないといけなくなる事ぐらい

40も半ばなら分かるやろ？
笑顔で「大丈夫ですから、ゆっくりしていて下さい」とは言いつつもイライラは積もる。
金曜日でお客さんも多い。
キャンペーン中で納品数も多い。
隣を見れば社員さん。
ひたすらイライラが積もる。

そんな時、あるおばちゃんが来た。

額になにやら緑っぽいモノを付けている。
インド人か？
とも思ったが普通の下町のおばちゃんだ。
さすがに気になるので額のモノを凝視。
直径5mmほどのシールだと分かったけど…何か書いてある。


じー…。



じー…。







見えたっ!!









『お誕生日』

ダメだ！今日はそれで全て許せます。
ありがとう、おばちゃん。
怒ったら、褒めたり和む空気になるように気をつけていますが、短気はよくないですね。
人間関係も職場も鏡だと思っています。
しかし、おばちゃんに「お誕生日おめでとうございます。これはお店から…」とか何かすれば良かったのだろうか？
随分と昔のことだけど、未だにあの時の正解が見えない。
接客て奥が深いですね。