聖人君子に程遠い

気が付くと巨大なショッピグールの中央休憩所にいた。
周りには色んな店がひしめき合い、様々な音を反響させながら人波でごったかえしている。
革製品と音響専門店を覗いてみたいが、案内板を無視して散策する。

ふと声を掛けられて振り向くと、来年に結婚が決まった女友達がいた。
近況と世間話をしながらも抑えきれない幸せオーラを発していたので、去り際にブラのホック部分を引っ張って離してやった。
パチン！と音を立てる。
バチン！と本気のビンタをされた。
痛かった。

頬っぺを撫でつつ周りをよく見てみると見知った顔がちらほらといる。

カフェやバイキングで家族サービスを楽しむ学生時代の親友達。
飲み会なのか、えらく盛り上がってる長く働いたバイトの仲間達。
ギャンブルに興じる今まで職場で仲良くなった人達。

他にも色んな店で、今まで知り合った色んな人達が嬉しそうに働いていたり楽しそうに遊んでいたりしていた。

皆、生きる事を謳歌しているんだなと思いつつ自分の道を振り返る。

何を目指して何を成したのか。
いつか自分が目指す道の先にたどり着くのか。
そんな内省ばかりに思いを馳せる。

何度も繰返した自問自答に嫌気が差して周りを見渡す。
本当に楽しそうで幸せの中に生きている人達ばかりだ。
なのに・・・
なのに・・・

なぜ、


みんな、




坊　主　頭　な　ん　だ　！


そうですよ！
最近サボり気味で2〜3週間に1回のペースで頭を刈ってましたよ！
夢の中でまで「はよ刈れよ」なんてプレッシャーをかけてこんといてれ！
くそう！
くそう！

妙な歯軋りをしながら目が覚めた。
その日、出勤30分前のギリギリの時間なのに頭を刈って出勤した。