つずれおりの見聞録

午後に上がった雨は数人のサーファーを
波のない海に誘い出したものか、

半身をほとんど海水につけたままの
初心者ばかりが優しい波と戯れている。

５月の午後の空気は肌寒かろうと思うけれども
仲間たちとやってきた若いサーファーには
心地よいに違いない。

そんな海辺の近くの空き地にたんぽぽの
綿毛が時折の激しい風に揺れていた。

風の一日...........................................
　
まだ旅立つ前の夕暮れの
タンポポの綿毛は
　
激しく風にあおられて
飛び立つときを待つばかり

綿毛は完璧で美しい

より高くより遠くへ届くために
いま欲するものは強い風

気高くてまばゆいその姿は
もっと激しい風を待つ

それにしても
なんと大変身したものよ

花びらの黄色は
透き通った白い綿毛になって
何処へ飛んで行くのだろう

タネを何処に連れ去ろうとも
使命は完結するはず

高ければ高いほど
遠ければ遠いほど

ただ風の向くまま旅をして
着地したところが目的地

ふたたび風が吹くとき

やがてはあの花の　

黄色に会える.....ときがくる。


サーファー達の黒い影と
たんぽぽの綿毛の白さが

５月の風を待つ
５月の強い波を待つ
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