5年連続「100歳以上」が日本一多い「島根県」の秘密(1)
敬老の日を前に厚労省が発表した統計によれば、全国の「百寿者」は6万7824人。県別では東京都の5835人が最多で、島根県は9月15日現在、673人(男性80人、女性593人)。が、これを県民10万人あたりの「百寿者率」に換算すると、全国平均53・43人のところ、島根は97・54人で5年連続の堂々トップなのだ。
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島根大学医学部の矢野彰三准教授は、
「島根県は人口に占める65歳以上の割合『高齢化率』が、33・1%で全国3位。百寿者率が高い理由として、若い世代の人が少ないことが挙げられると思います」
としながら、地域の特性を指摘する。
「県の面積は6708平方キロと東京都の3倍以上ですが、人口は68万4000人で東京の江戸川区と同程度。山村地域ではみな顔見知りで、外部の人がほとんど入って来ません。私も検診に行って驚きましたが、皆さん鍵もかけずに外出するし、近所の人が勝手に上がって差し入れの野菜を置いて行ったりする。地域の信頼関係が強いから、泥棒が入ってくる心配もない。こうした安心感は、健康面では非常に大事なのです」
高齢になるにつれ、住む地域は重要になるというのだ。
「島根は土地に余裕があるので、高齢になっても農業に携わる方が多い。家庭菜園程度の畑仕事でもそれなりの身体活動になり、外で日光を浴びれば、骨粗鬆症や認知症、免疫力の低下などを防ぐビタミンDが作られます。また、そもそも土に触れるという行為自体が、精神に好影響を与えてくれるのです」(同)
サルコペニアの率も
都会の高齢者であれば、自宅と目と鼻の先にあるコンビニで弁当を買い、塩分を多く摂って運動もせずにテレビ三昧、といった光景も珍しくないのだが、
「島根の場合は、不便だからこそ健康的に過ごせるとも言えます。山間部在住で車も使わない人は、いちいち坂道や階段を上り下りしなくてはならず、筋肉も自然とつき、骨も丈夫になります」(同)
県内の市町村で百寿者率が最も高いのは、山間に位置する邑智(おおち)郡川本町で、実に10万人あたり326・89人。当地で医療の中核をなす加藤病院の加藤節司理事長が言う。
「若い人が少なく、高齢者は自分で草むしりや雪かきをしなければならない。生きていくため主体的に動き続けられる環境が整っているのです。また農作業や害獣対策など、全員参加型の濃密なコミュニティーが残っており、挨拶もはきはきと声を掛け合うのが当たり前。社会とのつながりのなさは、肥満体という健康リスクの3倍も寿命に影響するとの研究結果もあります」
実際に高齢者と日々接している、雲南市立病院の大谷順院長に聞くと、
「診察の時、お年寄りの身体を見て驚きます。男性も女性も、70歳80歳を過ぎて筋骨隆々の方がおられます。その多くが農業や林業に携わっていた方でした。そうした職業には定年もなく、体が動く限りは働くという人が多いので、筋肉の維持には有利だと思います」
それを裏付けるようなデータがある。
「2年前に、65歳以上の市民およそ9000人の栄養調査を行いました。回答者の平均年齢は76・6歳で、身長や体重とともにふくらはぎの周囲を計測、さらに過去3カ月の食欲不振やストレスなどを尋ねました。その結果、一般に65歳以上の20%はサルコペニア(加齢性筋肉減少症)とされるのに、該当者はわずか5%弱だったのです。つまり日常生活の中で自然に“筋トレ”ができていたということです」(同) やはり最後は筋肉なのだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/13971672/
5年連続「100歳以上」が日本一多い「島根県」の秘密(2)
県民10万人あたりの「百寿者率」が、5年連続で日本一なのが島根県である。しかも、一般的に65歳以上の20%が該当するサルコペニア(加齢性筋肉減少症)が、同県雲南市の場合には5%弱であるという。背景には、農業を続ける高齢者が多いなど、地域の特性があるようだ。
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そうした健康体を形成する要素のひとつが食生活であるのは自明の理。島根県は東西に長く、海あり山ありの地形なのだが、
「県は日本海に面し、山間部、汽水の宍道湖もあります。海と山の幸、そして『宍道湖七珍(しっちん)』も楽しめ、食材の多様さが特長です」
とは、県健康推進課の青木典子栄養士。海の幸では、血管をきれいに保つ働きのあるDHAやEPAが豊富なイワシ、サバなどの青魚、またカレイやイカも食卓にのぼる。武庫川女子大学国際健康開発研究所の家森幸男所長が言う。
定番のシジミ汁
「70年代末から度々健康調査で隠岐諸島に赴きましたが、島民は獲れたての魚やイカを内臓ごと野菜と一緒に炊き込んで食べていました。魚介類の内臓にはコレステロール値や血圧を下げるタウリンや、動脈硬化を防ぐと考えられる銅などの微量元素が含まれています」
島根のシンボルとも言える宍道湖に目を向けると、
「命を育む『七珍』はスズキ、モロゲエビ、ウナギ、アマサギ(ワカサギ)、シラウオ、コイ、シジミを指し、地元では頭文字を取って『すもうあしこし』と言います。春はシラウオで夏はウナギ、秋はエビで冬はスズキにアマサギと、旬が過ぎても次が出てきて途切れず、コイとシジミは通年食べられます。淡水だけで育つとコイやウナギは泥臭くなりますが、宍道湖産は臭みがなく、スズキやシラウオも深い旨味があります」(宍道湖漁業協同組合の高橋正治参事)
総務省の家計調査では、松江市の世帯あたりの年間シジミ消費量は約2200グラムと、全国平均の約7倍で堂々1位。管理栄養士の則岡孝子氏が言う。
「七珍は全般的に、タンパク質が多くて低脂肪。シジミには肝臓の解毒作用を活性化するタウリンのほか、肝臓強化作用で知られるオルニチンも豊富です。コイやスズキ、ワカサギやシラウオには、細胞の新陳代謝を促す、若返り効果のある亜鉛が含まれていますし、さらにシジミやコイにはビタミンB12もある。これには造血作用のほか、神経機能を維持・活性化する働きもあるので、高齢者の精神疾患予防に有効。宍道湖は長寿食材の宝庫といえます」 一年中“サプリ要らず”の食生活が送れるのだ。
http://news.livedoor.com/article/detail/13975375/
<コメント>
栄養バランスの取れた食事と筋肉の鍛錬が健康の秘訣。自然を大切にしましょう。
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