軌跡

戦国武将で一番人気のある織田信長

桶狭間の戦いにおいて、『敦盛』を謡い舞い

陣貝を吹かせた上で具足を着け、立ったまま湯漬を

食したあと甲冑を着けて出陣したという『信長公記』の

伝記が有名であるが、この『敦盛』とはどう言うものなのかと言うと

源平合戦の一戦である須磨の浦における「一ノ谷の戦い」で

若き笛の名手、平家の武将平敦盛は

源氏方の武将熊谷直実に頸を討ち取られてしまう

しかし討ち取った熊谷直実は一ノ谷合戦で討死したばかりの

我が嫡男の面影を重ね合わせ若き敦盛を討ったことで

直実の心をしだいに苦しめる事になり

やがて直実は世の無常を感じるようになり、出家を決意する。

直実が出家して世をはかなむ中段後半の一節に

『思へばこの世は常の住み家にあらず

草葉に置く白露、水に宿る月よりなほあやし

金谷に花を詠じ、榮花は先立つて無常の風に誘はるる

南楼の月を弄ぶ輩も　月に先立つて有為の雲にかくれり

人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり

一度生を享け、滅せぬもののあるべきか

これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ』

という詞章があり、織田信長が好んで演じたと伝えられる

『敦盛』である。

この中にある下天とは六欲天の最下位の世で、一昼夜は人間界の

50年に当たり、住人の定命は500歳とされる。

「人間」を「人の世」の意味で使っていて

「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」の正しい意味は

「人の世の50年の歳月は、下天の一日にしかあたらない」と言う意味。

現代では二昼夜になるのかな・・・・・・＾＾；



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