軌跡

淡々と日課通りの行動をしていた私の前に

いきなり訪れたシリアスな場面

目前で倒れた初老の男性に近ずく

軽く肩をたたき、声をかけてみる

『大丈夫ですか？』

一声掛けるのだけで精一杯の状態だった

相手の反応は・・・・・・

荒い息ずかいの間から聞こえるかすかな声

『だ・・い・・丈夫・・・だから・・構うな』

小さく肩を揺らしながら彼はつぶやいた

『構うなって、ほって置けないですよ』

どうみても大丈夫って感じじゃないので

ジーンズの後ろポケットから携帯を取り出し

救急車を呼ぼうとした時

彼はいきなり私に飛びつき携帯を奪おうとした

『余計な事しなくて…いい』

腹の中から絞り出したような声で言った

『このままほっては行けないですよ』

又私がそう言うと

なんでも彼はここの近所で、家に帰れば薬があると言う

『家にいけばいいんだね？』

一声確認を入れて彼を肩をかして方向を聞き出し

ゆっくり歩きだした・・・・


心が疲れたら